トランプ大統領の演説、市場直撃 “海峡解放に関与しない”「石油自力で調達して」

トランプ大統領の演説、市場直撃 “海峡解放に関与しない”「石油自力で調達して」
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 世界が注目したトランプ大統領の演説は、これまでとは少し様子が違いました。そんな演説の中でも専門家が注目したのは「原油は自力で確保すべき」。日本にも関係する、ある狙いが見えてきました。

【画像】「通航料」ホルムズ海峡開放協議の最大の論点に

トランプ大統領の狙いは?

 前の日から予告していたトランプ大統領の演説が、日本時間の2日午前10時過ぎから始まりました。

トランプ大統領
「Thank you very much」

 予告では“イランに関する重要最新情報”を話すとしていましたが…。

演説は、いつもの軍事的成果の強調から
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「この4週間で私たちの軍は迅速かつ決定的、そして圧倒的な勝利を収めた。これほどまでの勝利は、これまで誰も目にしたことがない」

 演説は、いつもの軍事的成果の強調から始まりました。なぜ攻撃に踏み切ったのか、その理由は…。

なぜ攻撃に踏み切った?
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「2015年に大統領選に出馬した、その1日目から、私は“イランに核兵器を持たせない”と誓っていた。(去年)6月、イランの主要な核施設への攻撃『ミッドナイト・ハンマー作戦』を命じた。我々は核施設を完全に破壊したが、イランは全く別の場所で核計画を再建しようとして、核兵器の追及を断念する意思がないことを明らかにした。また弾道ミサイルを急速に大量に備蓄していて、まもなくアメリカ本土・ヨーロッパ、地球上のあらゆる場所を射程に収めるミサイルを保有するところだった」

 「イランが再び核開発を始めた」「アメリカ本土を射程に収めるミサイルをまもなく保有する」いずれもトランプ大統領が繰り返してきたことですが、アメリカの情報機関の“裏付け”はありません。

「今夜、断言する。アメリカはすべての軍事的な目標を、まもなく達成する。今後2~3週間のうちに極めて激しい打撃を与え、イランを本来あるべき“石器時代”に逆戻りさせる」

 重要な最新情報を伝えるとした演説でしたが、何か目新しい内容はあったのでしょうか。

何か目新しい内容は?
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明海大学 小谷哲男教授
「演説の中身自体は、ここ数日のトランプ氏の発言を見ていれば想定外のものはなかった。先週あたりからイランの問題に関心がないと言われている。交渉もうまくいくか分からないので、事実上この問題から一方的に手を引くという内容。この数日のトランプ氏の発言の延長線上にあったもの」

 では、なぜ演説を行ったのでしょうか。

なぜ演説を?
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小谷教授
「原油価格が上がり、ガソリン代も上がっている。このまま中間選挙に向かうと、共和党やトランプ大統領に不利になる。できるだけ早く軍事作戦を停止する、そういう道筋を示しておきたかったんだと思う」

高まる不支持率
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 イランがホルムズ海峡を事実上封鎖したことで原油価格は跳ね上がり、それを受けてか、トランプ大統領の支持率はイランへの攻撃を始めてから明確に下がり、逆に不支持率は高まっています。

演説受け 株価↓石油↑

 アメリカ国内でも高騰するガソリン価格について、トランプ大統領は…。

「多くのアメリカ国民が、ガソリン高騰を懸念している。この短期的な高騰は、イランが商業タンカーや、紛争とは無関係な近隣諸国にテロ攻撃を仕掛けたことが原因だ」

 そもそもアメリカとイスラエルが攻撃を仕掛けなければ、ホルムズ海峡の封鎖という事態は発生していません。トランプ大統領はホルムズ海峡の開放をイランに迫っていましたが、この演説では…。

「紛争が終われば、海峡は自然に開かれるだろう。自然に開かれるはずだ」

演説中から急騰
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 原油価格は演説が始まる前には期待感から値下がりしていましたが、演説中から急騰しました。

一時、1000円以上値を下げた
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 また株価も…演説後に日経平均は値を下げ始め、午前11時10分過ぎの時点では1000円以上値を下げていました。

マーケットを落ち着かせようとしたが…
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小谷教授
「トランプ氏としては軍事作戦に一定のめどがついたと発表することで、マーケットを落ち着かせようとしたが、具体的な中身がホルムズ海峡の開放につながるようなものではなかった。マーケットは、さらに原油価格が上がる、株価が下がるということで、トランプ氏の狙い通りにはいかなかった。事態を『丸投げ』『放り出す』形なので、逆に批判は高まることもある。客観的に見れば追い込まれているんでしょうが、トランプ氏としては追い込まれているとは、おそらく考えていなくて(イランへの)関心を失ったというのが一番大きい」

「石油自力で調達して」狙いは?

 今回の演説ではっきりしたことが1つあります。ホルムズ海峡の開放に、アメリカは関与しないということです。

ホルムズ海峡の開放に、アメリカは関与しない
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トランプ大統領
「ホルムズ海峡を通った石油を受け取っている国々が、航路を自ら守らなければならない。ホルムズ海峡に行って自力で石油を調達し、守って使えばいい」

 ホルムズ海峡封鎖の影響で、今もペルシャ湾内に足止めされているタンカーの船員がANNの取材に応じました。

ペルシャ湾で停泊 三等航海士(中国人)
「先月末からの数日で情勢が悪化した気がします。きのうときょう、ドバイとカタールの近くでタンカーが攻撃されました。以前と比べて頻繁になっています」

フレンチトーストと牛乳
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 残りわずかになっているのが野菜や果物などの生鮮食品。葉もの野菜の多くがしなびた状態に。これは朝食でしょうか、フレンチトーストと牛乳。限られた食材での食事を強いられています。

残りわずかになっているのが野菜や果物などの生鮮食品
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ペルシャ湾で停泊 三等航海士(中国人)
「食料は5月まではもつということです。ただ肉料理が多くなり、野菜は減ってくると思います。野菜と違って肉は冷凍庫で保存しています」

 足止めされた船舶の明かりが海面に並ぶペルシャ湾。光を放ちながら飛行する物体の姿も確認できました。

ペルシャ湾で停泊 三等航海士(中国人)
「けさ、爆弾を搭載したイラン製ドローンが頭上を通過しました。すごい音でした。これ以上、ここにはいたくありません。家族が気をもんでいますし、怖がっています」

 ペルシャ湾に留め置かれたままの日本関連船舶は45隻。いつになったら安全に航行できるのでしょうか。

イランへの軍事作戦の幕引きを図ろうとするアメリカ
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トランプ大統領
「韓国にやらせればいい。日本にやらせればいい。彼らは石油の90%を(ホルムズ)海峡から得ている」

 ホルムズ海峡の開放に関与することなく、イランへの軍事作戦の幕引きを図ろうとするアメリカ。この状況については…。

アメリカが手を引けば…
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小谷教授
「アメリカはイランを攻撃していたわけですから、そのアメリカが手を引けば、国際社会としてはイランとの交渉をしやすいという側面はあると思う」

 ホルムズ海峡の通航再開に向け、イギリス主導で35カ国による閣僚会議が日本時間の2日夜に開催される予定です。

35カ国による閣僚会議が開催予定
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外務省幹部
「軍事ではすぐには乗れないが、外交の話であれば貢献できるだろう」

3億円?「通航料はイラン復興」

 そんな中、イラン議会はホルムズ海峡を通航する船舶に対し、通航料を徴収する計画を承認したとイランメディアが報道。通航料がホルムズ海峡開放協議の最大の論点になると小谷教授はみています。

通航料が、ホルムズ海峡開放協議の最大の論点に
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小谷教授
「通航料をイランの復興に充てることはあり得る。イランは一度封鎖したホルムズ海峡を簡単に開放することはない。イランの主権を認めるような形、とりわけ通航料を取るような仕組みを強く日本を含めた国際社会に要求してくることになるので、この点についてはその要求を受け入れるべきかどうか、難しい課題になると思います」

 この1カ月でホルムズ海峡を通過した船舶のうち、少なくとも1隻がおよそ3億円を支払ったと海外メディアは報じています。

(2026年4月2日放送分より)

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