3日、ミラノ・コルティナオリンピック、フィギュアスケートのメダリストが集結し、アイスショー「スターズ・オン・アイス」が行われました。
五輪メダリストが大阪に集結
三浦璃来選手(24)と木原龍一選手(33)の「りくりゅうペア」は世界歴代最高得点を獲得したフリープログラムの演技を披露しました。
続いて、女子シングル金メダリストのアリサ・リウ選手(20)は、華麗な演技で観客を魅了していました。
そして、坂本花織選手(25)が登場しました。2月、ミラノ・コルティナオリンピックでの涙。先週、チェコで行われた世界選手権での涙。同じ表彰台での涙でも大きく違います。
坂本選手はオリンピック終わったら、引退すると決めていました。オリンピックから世界選手権までの1カ月、坂本選手は挑戦したからこそ、さまざまな気づきがあったといいます。松岡修造さんが聞きました。
五輪の重圧から1カ月で…
坂本選手の最後のオリンピックは、銀メダルでした。
松岡さん
「『世界選手権に出る』と言った時、花織さんらしくないと思った。花織さんの中で、五輪は終わっていなかったんですか?」
坂本選手
「今までいろんなものを捨てて、スケートに捧げてきたので、本当に五輪で終わっていいんだったら別にいいけど、この終わり方だと今までの自分がかわいそうだと思った」
松岡さん
「周りは違うんですよ、『銀メダルおめでとう』はどう感じました?」
坂本選手
「『おめでとう』と言ってくれるけど、悔しいが混ざっているおめでとう。しみじみしたおめでとうが大多数すぎて、聞くたびにずっと涙が出る。世界選手権出場はめっちゃ悩んで考えた決断だった」
しかし、世界選手権に出るとなれば、金メダルが必須。オリンピックの重圧からたった1カ月で、再びピークへと持っていかなければなりません。
そんな難しい状況の中、坂本選手が取った行動は意外なものでした。
坂本選手
「10日間、全く氷に乗らずに」
「(Q.そんなことできるんですか?)できちゃいました」
「(Q.今までやったことあるんですか?)ないです」
ただでさえ調整期間が短い中で、あえて最初の10日間を完全オフに。
坂本選手
「体力も落ちたし、元あった筋力もめちゃめちゃ落ちて、もうヘロヘロの状態だった。でもそこから元の自分に戻す過程がめっちゃ楽しくて」
「(Q.一番きついのが楽しかった?)五輪までは良い調子を維持しなきゃいけない。落としてもダメ。それが結構きつかった。ダメな状態から良い状態にするのは、常に右肩上がりの状態だから。ちょっとでも、きのうよりできるようになったら、それだけでもうれしくて。『よし、きょうはここまできたぞ』というのが、毎日積み重なって。楽しさを再確認することができた」
涙の五輪から得た気づき
「スケートが楽しい」という、オリンピックの時には足りていなかった感情でした。さらに…。
坂本選手
「ミラノ・コルティナ五輪では、コケたくない、ミスしたくないという気持ちが強すぎて、自分で引っ張ってしまった」
「(Q.守り花織?)全然、攻められていなかったな」
松岡さん
「守り花織が五輪にいた。世界選手権はどんな花織さんだった?」
坂本選手
「攻め、ベタ攻め、超攻め」
「(Q.“花織さんらしい”という感じ?)世界選手権は、本来の自分の姿」
守りに入らず攻める演技が自分らしさ。これも世界選手権に出る決断をしたからこそ、気づけたことでした。
オリンピックから1カ月。あの時とは違った自分で迎えた最後の舞台。オリンピックでミスのあったジャンプは完璧。21年で築き上げた、スケーター「坂本花織」の集大成は4年ぶりの自己ベストという自分史上最高の形でフィナーレを飾りました。
坂本選手
「もう本音、本心でもうやりきれたって思う演技ができた」
「(Q.出し切った?)出し切れました。こんな幸せな終わり方できない」
試合後のエキシビションでは、特別演出とともに選手、そしてファンから送り出されました。
坂本選手の演技を見た仲間たちは…。
三浦選手
「時差的にいい時間で見ることができて、ずっと泣いていました」
木原選手
「試合前に2人でメッセージを送って、『かおちゃん頑張れ』という動画を送って。かおちゃんが喜んでくれて、うれしかった」
リウ選手
「カオリはすごく頑張った。ランチ食べながら、大声を出しながら応援した。カオリは洗練されたスケーター。カオリのジャンプ・スケート技術がとても好き」
今後は指導者として育成へ
今後は指導者として、恩師・中野園子コーチと共に次世代の育成に携わっていきます。
坂本選手
「いいことばかりの経験だと、(生徒たちは)共感しにくい。どう声をかけたらいいか。いろんな悔しいを経験して、最後(五輪で)一番やりたくなかった悔しいを経験できた。どんな悔しいにもきっと対応できる」
「(Q.それは指導者として大きいですよ)『中野先生みたいになりたい』と言ったら、まず一言目に『じゃあ嫌われるのを恐れないことだね』と言われて。指導者としていいことばかり言っても生徒は育たないから、『ダメなこともはっきり言えるようになりなさい』とずっと言われている」
松岡さんは正直、世界選手権に出るべきではなかったといいます。
「もし結果が悪かったら…。オリンピック出し切ったと思っていた。完全に間違ってました。話を聞いていて、花織さんは自分の心を許さなかった。許せなかったのは、金メダルを取れなかったのではなく、それよりも自分らしい演技ができなかったということです。花織さんをインタビューしていつも思っていたのは、彼女は正直、ピュアです。ピュアだからこそ、こういう決断ができた。ピュアだからこそ、さまざまな気づきがあったと思う」
大越健介キャスター
「よくスポーツの神様がほほ笑むような選手がいますが、坂本選手の場合は偶然、ほほ笑んでくれるわけではなく、自分で神様の笑顔を持ってくる。そのような人ですよね」
松岡さん
「だからこその笑顔。この笑顔が次の世代に育っていく。花織さん、ありがとう。おめでとう!」
(2026年4月3日放送分より)
