レバノンへ最大規模の空爆 死者200人超…停戦に“暗雲”遠のくホルムズ海峡の開放

レバノンへ最大規模の空爆 死者200人超…停戦に“暗雲”遠のくホルムズ海峡の開放
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アメリカとイランによる停戦合意。そのタイミングで、イスラエルが、レバノンに今回の戦争が始まって以降、最大規模の空爆を行いました。

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親イランの武装組織『ヒズボラ』の壊滅を図るとして、攻撃を続けてきたイスラエル軍。8日は、10分間で100カ所以上を狙ったと誇りました。

CNN ナダ・バシール特派員
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CNN ナダ・バシール特派員
「イスラエル軍は、100を超えるヒズボラ関連施設の一つと言いますが、背後に見えるのは集合住宅です。爆撃時も大勢の人がいたはずで、いまも被害者の捜索が続いています」

レバノンの死者
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アメリカとイランの停戦前までに死者は、1500人以上に上っていました。この日、犠牲者は一日で200人を超えています。

CNN スティーブン・コリンソン記者
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CNN スティーブン・コリンソン記者
「悲しい真実だが、中東における停戦は、必ずしも攻撃を止めることにはつながらない。今回の戦闘停止は、すでにそのパターンに当てはまっている」

イラン 海峡“完全封鎖”主張

レバノンへの攻撃は、ホルムズ海峡開放の行方に影を落としています。

ペルシャ湾
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ペルシャ湾でタンカーの船員が、爆発音を聞き、撮影した映像。停戦合意が発表された後のものですが、黒い煙が映っています。そして、空には轟音(ごうおん)をあげる戦闘機。戦闘機の国籍は不明ですが、機体はF16とみられます。イランは、保有していない戦闘機です。

無線では、革命防衛隊からの警告が届きます。

革命防衛隊からの無線
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革命防衛隊からの無線
「ペルシャ湾、オマーン海を航行するすべての船舶に告ぐ。海峡の航行は依然として閉鎖している。通過には海軍の許可を必要となる。許可なく通過を試みた船舶は破壊する」

イランの国営放送が、一度、「停戦後初めて船舶がホルムズ海峡を通過した」と伝えたものの…。

イラン ファルス通信
「イスラエルによるレバノン攻撃を受け、ホルムズ海峡を通過するタンカーの航行が停止した」

船舶の動き
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船舶追跡サイトを見ると、この日、ホルムズ海峡方面へ向かっていたタンカーが方向を変え停止。元の方へ戻っていく様子が確認できました。

アメリカ参戦の内幕 イスラエルの“プラン”

停戦合意後にむしろ激しくなったレバノンへの攻撃。
イランと仲介国のパキスタンは、レバノンも停戦の対象としています。
しかし、アメリカとイスラエルの主張は。

アメリカ バンス副大統領  
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アメリカ バンス副大統領  
「イランは、レバノンも停戦対象だと誤解したようだが、そんな約束はない。対象は、イランと我々の同盟国であるイスラエルと湾岸諸国だ」

イスラエル ネタニヤフ首相
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イスラエル ネタニヤフ首相
「イランとの暫定的な停戦にヒズボラは含まれないと私は主張した。ヒズボラには強力な攻撃を加え続ける」

アメリカとイスラエルが始めたイラン攻撃。開戦の判断には、ネタニヤフ首相の行動が大きく影響したとみられています。

ニューヨーク・タイムズによりますと、攻撃開始の2週間ほど前、ネタニヤフ首相は、トランプ大統領に攻撃計画をプレゼン。イランは、ホルムズ海峡の封鎖をできず、民衆蜂起によって新たな統治体制に移行するという内容だったといいます。

シナリオ
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そのシナリオについて、CIAのラトクリフ長官は「茶番」、ルビオ国務長官は「でたらめ」と指摘。それでも、トランプ大統領は、開戦に踏み切りました。その結果、踏み入れた泥沼の入り口。そこから脱出するために、アメリカは、イスラエルの手綱を握ることができないのでしょうか。

アメリカ バンス副大統領  
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アメリカ バンス副大統領  
「イスラエルは交渉成功のため、レバノンへ攻撃を多少は自制する意向だ。次はイランが動く番だ。大統領は再び開戦も選べる」

11日に“直接協議” 交渉行方は

ウラン濃縮の容認など、ほかにも主張の食い違いが目立つなか、11日にパキスタンで直接協議が開かれます。

アメリカ側
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イラン側
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アメリカからは、バンス副大統領をトップとする交渉団が現地入りする予定です。イラン側からは、ガリバフ国会議長とアラグチ外相が交渉にあたるといいます。

かつて、イランとの交渉を主導した元国務省の高官はこう指摘しました。

元国務次官補代理 ブレット・マクガーク氏
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元国務次官補代理 ブレット・マクガーク氏
「私の経験から、数日の交渉で、合意に至る可能性はゼロです。イランとの交渉は順調に行っても、数カ月を要するほど複雑です。双方の主張に深い溝があり、合意にはほど遠いのが実情です。合意を願いますが、この停戦は“もろい”というより、卵と同じで、一度、割れたら、元に戻りません」

協議に向けてようやく動き出した矢先に、なぜ、イスラエルは攻撃したのか

同志社大学大学院 三牧聖子教授
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アメリカ政治に詳しい同志社大学大学院の三牧聖子教授は「アメリカ側も、イスラエル側も停戦の条件に“レバノンも含む”と認識はしていたのでは。そのうえで、イランをこの機会に徹底的に弱体化したいイスラエルは、戦争をやめる気はそもそもない。アメリカ側も“暴走するイスラエルを制御できていない”」といいます。

また、バンス副大統領が、攻撃のすぐ後に、『イスラエルがレバノンへの攻撃を多少自制する意向』としていますが、三牧教授は、この発言から「停戦協議に差しさわる“アメリカの懸念”がみてとれる」と指摘します。

イランは協議に臨むのか

イラン情勢に詳しい中東調査会の斎藤正道研究主幹は「イラン側も協議に臨むだろうが、その形は“2パターン”ある」と指摘します。

中東調査会 斎藤正道研究主幹
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中東調査会 斎藤正道研究主幹
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「一つ目は、国内経済のダメージや周辺国との関係から、イランが妥協して協議を行う。ただし、合意の条件として、『イスラエルの攻撃は止めさせる』『弾道ミサイルは制限せず、自衛能力を維持』は譲らない」と見ています。「二つ目は、時間稼ぎのための協議。その間に、ドローンや弾道ミサイルを補充する。話し合いが決裂、再び緊張状態になる可能性がある」としています。そのうえで、ホルムズ海峡に関しては、「2週間の停戦中も“事実上の封鎖状態”は変わらず、“抑止力”として、最後まで管理権を求めるだろう。今後もイスラエルからの攻撃が続くようなら、無断で通航する船舶には攻撃することもあり得る」と見ています。

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