
京都府南丹市で小学生・安達結希さん(11)の遺体が見つかった事件で、京都府警は同居する父親について逮捕状を請求することが捜査関係者への取材で分かりました。また、男の子の父親が警察の調べに対し、事件への関与をほのめかす供述をしていることが分かりました。
【画像】父親の逮捕状請求へ…男子児童の自宅“10時間以上”捜索 京都・南丹市
男児宅 敷地内を“全て捜索”

結希さんが行方不明になったのは先月23日。そして、遺体発見から2日。15日朝、京都府警の捜査が動きを見せました。警察は、行方不明になった経緯などについて、両親などの親族から改めて話を聞いています。さらに、何者かが結希さんの遺体を遺棄した疑いが強まったとして、自宅を家宅捜索しました。その敷地には、複数の住宅のほか、蔵や倉庫のような建物も確認できます。近所の人によると、結希さんはここで両親や祖母などの親族と暮らしていたといいます。

捜索の対象について、警察は「敷地内の全て」としています。捜査員が何度も出入りを繰り返し、自宅の前でメジャーを手に道路の幅や長さを測っていました。それは敷地内でも同じでした。建物内の捜索の様子は分かりませんが、庭の幅や倉庫とみられる建物の幅、フェンスの高さなどを入念に測っています。さらに、そのフェンスを開け、裏山の方に向かう捜査員の姿もありました。家宅捜索は10時間以上続いたとみられています。
仲の良い家族として知られていたという結希さん。

近隣住民
「ママがお仕事に行かれているから、おばあちゃんが面倒をみていたと思う。初孫だから可愛かったと思う」
祖母と過ごす時間も長かったといいますが、家族での姿を記憶している住民もいます。

近隣住民
「田んぼが隣同士だから、もの言ったり。たまに家族で栗拾いに来ていた。結希くんも元気そうな声で。いい家族。にぎやかでわいわいと仲良く」
行方不明になる前には「家族旅行の計画を立てていた」と聞いた人も。

安達さん家族を知る人
「(先月)24日から3日間休みを取って家族旅行に行くという話は聞いていた。新婚旅行を兼ねてと」
(Q.そうした中、行方不明に)
「なぜだろうばっかりですね。疑問符がたくさんつきました。それだけ楽しみにしていたら、こんなことは起きなかっただろうし」
結希さんの行方が分からなくなると、家族や親族は憔悴しきっていたといいます。

南丹市消防団 野中大樹団長
(Q.捜索を始める時、両親に会ったか)
「はい。捜索をお願いしますと」
(Q.どんな様子)
「傷心されているので、色んなこと聞くわけにもいかない。ただ私たち消防団は一刻も早く、保護することに全力を注ぎたかったので、長い話はあんまりしていません」
安達さん家族を知る人
「もう泣いて泣いて。チラシを作って、ご両親とおじさまも探して歩いていたと聞いている」

13日に結希さんの遺体が見つかった山中の様子が明らかになりました。3年前に撮られた、遺体発見現場につながる道の写真を見ると、竹藪と雑木林に挟まれた細い道は舗装もされておらず、辺り一面が鬱蒼としています。撮影した人によると、山林にはこうした場所が広がっているといいます。そして、この山林のどこかで結希さんは倒れていました。
園部小学校では15日から登校が再開されました。子どもたちには校長から伝えたといいます。

南丹市教育委員会 山田啓亮教育参事
「とても悲しいお話をなければなりませんというような冒頭から始まりまして、結希くんが無事に戻ってきてくれることを皆で信じて待っていましたけれども、このような結果になってしまったことに、悔して悲しくてたまりませんと」
涙を流す児童もいたといいます。学校や教育委員会はカウンセラーと連携し、心のケアにあたるとしています。

結希さんが見つかった現場付近では、15日も花を手向ける人の姿がありました。悲しみは地域全体に広がっています。

献花した人
「こんな悲しい事件があったので、居ても立っても居られなくて。せめて花を供えて、ご冥福を祈ろうかなと。高校は園部町で3年間通ってて、濃い思い出が詰まってる街なので、どうしても来て献花したいなと」
警察は、親族などからの話をもとに事件の経緯を慎重に調べています。
父親の逮捕状 請求へ
15日夜、警察は結希さんの父親の逮捕状を請求をすることが捜査関係者への取材で分かりました。

元埼玉県警捜査1課・佐々木成三さんに聞きます。
(Q.父親の逮捕状を請求する見通しとなりました。結希さんの遺体が発見されてから2日間の警察の動きをどう分析しますか)
元埼玉県警捜査1課 佐々木成三さん
「もちろん供述だけで逮捕状は請求していないと思います。これまで3週間、警察は色んな捜査を積み上げてきました。その中で、行方不明となった当日の父親の供述の矛盾点が多くなったのではないかと。その矛盾点を裏付けるための証拠がなかったことで、自宅を捜索したと思います。その中で、父親の供述、現場の状況、結希さんの遺体が遺棄された状況が一致したことで、逮捕状請求になったのだと思います」

(Q.通学リュック、靴、遺体が別々の場所で見つかりました。警察の捜査のフェーズが変わったのはどこだと考えますか)
元埼玉県警捜査1課 佐々木成三さん
「僕は通学リュックが見つかったところだと思います。それまで捜索というフェーズでやっていましたが、通学リュックが見つかった時に、結希さんが1人でそこまで行くとは思えないと。防犯カメラや目撃情報もなく、ここで捜査が力強く進展したんだと思います。その中で大きくフェーズが変わったのが4月7日。自宅周辺を捜索したということは、父親の供述に矛盾がある中で、警察が捜索を行った可能性が高いと思います」
(Q.通学リュックや靴が見つかったのが、子ども1人が行くとは思えない場所だったことで、警察は事件とみたと言ってもいいですか)
元埼玉県警捜査1課 佐々木成三さん
「この事件の特徴は、結希さんが1人で歩いている証跡が何1つ見つからなかったことだと思います。目撃情報がない、防犯カメラがない中で、リュックが見つかった山中、靴が見つかった山中、これを1人で歩けるかどうかとなります。この捜査の蓄積も大きな要因になっていると思います」
(Q.15日朝、容疑者不明のままで家宅捜索が行われました。これはあまり聞いたことがありません。さらに、その捜索先が被害者の自宅でした。警察はどういう判断で、こうした捜査に出たのでしょうか)
元埼玉県警捜査1課 佐々木成三さん
「今回、死体遺棄容疑で捜索差押許可状を請求していますが、まず遺体が誰の遺体なのか特定が必要だと思います。身元が特定してから、捜索差押許可状の請求を行ったのだと思います」
(Q.警察は15日、家宅捜索と並行して、複数の親族に任意で事情を聞きました。これはどういう理由ですか。そして、“複数に聞いた”のは何を意味しますか)
元埼玉県警捜査1課 佐々木成三さん
「行方不明になった当初、親族から詳しい情報を聞いていると思います。結希さんの服装はどうだったのか。何を食べたのか。学校には何で行く予定だったのか。通学リュックが見つかって、靴が見つかって、遺体が見つかった中で、当初聞いていた情報に矛盾があった。その矛盾点を裏付けるために、家族全員から話を聞かないといけない状況だったと思います」

京都府警本部前にいるABCテレビ・中村想人アナウンサーに聞きます。
(Q.最新の状況を伝えてください)
ABCテレビ 中村想人アナウンサー
「京都府警は15日朝早くから、結希さんの両親を含む親族複数人を、容疑者ではなく参考人として、結希さんが行方不明になった当日の状況について、警察署で聞いていたということです。その親族の中には、聴き取りを終えて自宅に戻る人もいる中で、父親だけが警察署から出てこず、取り調べが長時間に及んでいました。通常、取り調べは8時間以内に終えるということで、夜まで警察署にいることが異例でした。その取り調べの中で容疑が固まったとして、逮捕する方針を固めたということです」
元埼玉県警捜査1課・佐々木成三さんに聞きます。
(Q.京都府警本部前からのリポートを聞いて、注目した点を教えてください)
元埼玉県警捜査1課 佐々木成三さん
「警察も早い段階で、父親の容疑は深いのではないかと掴んでいたと思います。その中でポイントは靴が見つかったことだと思います。自宅の裏の捜索を行った後に、靴が見つかったことは、父親が立ち回った場所から証拠品が見つかって、関与の疑いが強くなり、任意聴取を行った可能性も高いと思います」
(Q.通学リュックが離れた場所から見つかったことが、捜査に及ぼした影響をどう考えますか)
元埼玉県警捜査1課 佐々木成三さん
「通学リュックが見つかった時から事件の可能性が高いと、警察は疑いを持ったと思います。警察は、通学リュックがどこに・どのように落ちていたのか公表しませんでした。本来であれば、見つかった情報を公開すべきですが、事件の可能性が高い場合、通学リュックがどう置かれていたかは犯人しか知り得ない情報なので、公表を差し控えていた。これは靴が見つかった状況もそうです。犯人しか知りえない情報というのが、15日の任意聴取に生きてきた感じがします」
(Q.複数の親族から話を聞く中で、警察は、父親の単独犯という見方を強めているのでしょうか)
元埼玉県警捜査1課 佐々木成三さん
「逮捕状を請求しているということは、単独犯の可能性があったと思います。もしかすると、元々疑いが強かったのは父親だけの可能性もあります。ただ、家族全員から聴取をしなければ、父親の犯行の裏付けも取れない。家族バラバラに聞く訳にはいかないので、同時に話を聞く態勢を整えた可能性があります」
(Q.今後想定される捜査の流れはどうなりそうですか)
元埼玉県警捜査1課 佐々木成三さん
「まずは死体遺棄の立件だと思います。ただそれ以上に、結希さんが亡くなった要因は何なのか。死因が他殺となった場合、父親の疑いも強くなってくると思います。まずは死体を遺棄した立証を高めていく。どのような犯罪の構成要件だったのか。取り調べだけではなく、今まで積み上げてきた証拠・捜査も必ず生きてくるので、裏付け捜査も重要になってくると思います」
(Q.死体遺棄容疑での逮捕状請求になりますが、今後、殺人容疑などに発展する可能性もありますか)
元埼玉県警捜査1課 佐々木成三さん
「今後、死因が明らかになることがあると思います。容疑者の供述に裏付けがあれば、他殺を立証できることもあると思います。ただ、まずは次の事件ではなく、死体遺棄容疑を立証することに力を入れると思います」
父親 関与ほのめかす供述

捜査関係者への取材で、結希さんの父親が警察の調べに対し、事件への関与をほのめかす供述をしていることが分かりました。
(Q.任意の聴取の中で、事件への関与が出てきたことが大きかったのでしょうか)

元埼玉県警捜査1課 佐々木成三さん
「警察は緻密な鑑識作業を行っています。鑑識の結果、現場の状況と、父親がほのめかした供述が一致して、関与の疑いが強まったうえでの逮捕状請求だと思います」
(Q.警察が父親の行動を確認していた可能性はありますか)
元埼玉県警捜査1課 佐々木成三さん
「4月7日に自宅周辺の捜索を行ったことが、父親が立ち回った先を1つ1つ捜索していたということだと思います。これがどのような情報かは分かりません。ただ、父親への疑いはこの時点で持っていた。7日の時点で、父親が結希さんを学校に送っていった裏付けが全くなかったとも言えます。捜査の積み上げで、父親の関与の疑いが強まったということになると思います」
(Q.通学リュック・靴・遺体が見つかった場所が大きく離れているのは、犯人が警察をかく乱しようとしたのか、慌てて行動を取ったのか。どういう心理が働いたと思いますか)
元埼玉県警捜査1課 佐々木成三さん
「通学リュックと靴がそれぞれ見つかっていますが、それぞれ意図が違うとみています。通学リュックは親族が見つけています。結希さんは亡くなっていない、どこかで遭難している可能性がありますよと、かく乱する目的があったと思います。ただ、靴は、警察の懸命な捜索で発見されています。靴を遺棄した時は、見つからないだろうという憶測が、容疑者にはあったと思います。警察の懸命な捜索で靴が見つかったことは、大きな要因だったと思います」
(Q.遺体発見場所について、近所の人が出向いた時には異常を感じなかったと話しています。一方で遺体はかなり傷んでいたといいます。ここから考えられる可能性は何ですか)
元埼玉県警捜査1課 佐々木成三さん
「これは重要な参考情報だと思います。遺棄したのは亡くなった直後なのか、亡くなってしばらくしてから遺棄したのか。落ち葉が落ちていなかったことも1つの情報になりますし、付近の住民の供述も裏付けを取るためには重要な情報になります。ただそれ以上に、現場の鑑識作業。遺体が見つかった後、1日かけて鑑識をしています。遺体が長時間にわたって外に遺棄されていたのか、屋内に遺棄されていた可能性もあります。遺体の損傷状況と現場の鑑識で、遺棄した時期を推測できる可能性があります」
(Q.司法解剖では死因の特定に至りませんでした。今後どうやって特定するのでしょうか。また、どれくらい時間がかかりますか)
元埼玉県警捜査1課 佐々木成三さん
「死亡推定時期が3月下旬ということは3週間ほど経っています。ここ最近、温度も高かったので、遺体の損傷は激しかったと思います。山中で遺棄されていた場合は、さらに損傷が激しくなる可能性があります。司法解剖時点において死因が不詳というのは、僕も理解できます。捜査の経験上、よくあったことで、決して珍しいことではありません。ただ、臓器の検査や血液の検査で死因が明らかになることが多々あります。どの理由で亡くなったのか後に判明すれば殺害の立証にもなります。これが殺人になるかは分かりませんけども。死体遺棄事件を固めているうちに、亡くなった要因は何だったのか、両面から捜査をしていくことになると思います」
