
京都・南丹市で安達結希くん(11)の遺体が見つかり、父親の安達優季容疑者(37)が逮捕された事件で、警察は、安達容疑者の車を押収しました。結希さんの遺体が遺棄された際に使われたとみている車です。黒いセダンタイプで、通勤などにも使われていたようです。
【画像】逮捕の父「首を絞めて殺した」趣旨の供述 車を押収…遺体の遺棄に使用か 男児遺棄事件

行方不明当日の朝もこの車に乗っていました。安達容疑者は、結希さんを「小学校に送り届けた」と話していたとされています。ただ、これは、あくまでも安達容疑者の供述。警察は、結希さんが乗っていたかどうかも確認はできていないとしています。
安達容疑者は「首を絞めて殺した」という趣旨の供述をしていることが、捜査関係者への取材で新たにわかりました。
スマホを解析 “遺体発見”へ
警察の捜索の手法についても明らかになりました。
所村武蔵アナウンサー
「警察は、安達容疑者のスマートフォンを解析して得られた位置情報の履歴などから捜索範囲を絞り込み、遺体の発見に至ったことが取材で新たにわかりました」

一般的なスマホにはGPS機能がついていて、ナビを使うときなどにも使用されています。設定によっては、過去の位置情報が記録されます。いつ、どこにいたのかが、あとから確認できる場合もあります。
スマホのデータなどの解析から導き出されたのが、スニーカー、そして、結希さんの遺体の場所です。
12日に発見されたスニーカーに関して、警察は、同じエリアを4日続けて、大規模に捜索していました。その後、山林で遺体が見つかったのは翌日の13日。捜索を始めたその日のうちに発見されました。
行方不明当日の行動を解明へ
17日夕方、安達容疑者の自宅の近くの山林沿いで、警察が作業していました。警察は、この周辺で聞き込み捜査も行っていました。何を聞いていたのでしょうか。

聞き込みされた住人
「『3月23日はここにいましたか?』と。(Q.当時、行方不明になったときは来た)いや、何にも。(Q.行方不明になってから初めて警察が)そうです」
先月23日は、安達容疑者が、学校まで結希さんを送り届けたと主張している日です。そして、そのあと「別の場所に連れて行って殺害し、その場に遺棄した」といった内容の供述をしています。それがどこなのかは、まだわかっていません。

7日朝早くから、安達容疑者の自宅近くの裏山では、大規模な捜索が行われました。その大規模な捜索から少し離れた場所で、17日の聞き込み捜査が行われていました。安達容疑者は、遺体を複数の場所に移動させて隠したとみられています。
「突発的に机を…」同級生語る人物像
安達容疑者の人物像も見えてきました。
結希さんが行方不明になったあと、「傷心していた」と感じた人がいる一方で、別の印象を持った人もいます。

地元の消防団員
「奥さんの方は泣いて『(捜索)お願いします』と言っていたが、旦那の方は、特にそんな表情を変えることなく、頭だけ下げている感じだったので、なんとなく違和感はありました。表情を変えることなく、無表情で感情が出ているというか、助けてほしい、捜してほしいと、こちらから見えなかった」
学生時代、大人しく優しい子だったという印象の多い安達容疑者ですが、意外な一面を覚えている人もいました。

中学校の同級生
「誰かが何か言い過ぎて、突発的にキレて、机がバーンとなって、みんながどうしたどうしたみたいな。(その後)しゅんってなって、自分、何してたんやろって」
安達容疑者は、ほとんど怒ることがなかったため、特に印象に残っているといいます。

遺体が発見された現場付近に設置された献花台。日に日に手向けられた花は増えています。

献花に来た人
「寂しかっただろうし、雨が降っているなか、1人で寂しかっただろうし。子どもが幸せであってほしい。まず、そこを思うのに、もう最悪です」
◆元埼玉県警捜査1課の佐々木成三さんに聞きます。

(Q.安達容疑者は首を絞めて殺したという趣旨の供述をしているということですが、これについて、どう見ますか)
元埼玉県警捜査1課・佐々木成三さん
「現時点で、死因は不詳ということですが、実は、首を絞めて殺害した窒息死という所見においては、遺体の損傷が激しい場合、司法解剖で不詳となることは、多々、ある。なので、容疑者の供述の裏付けということで、今後、司法解剖の検査の結果で、窒息死という所見が得られれば、死因が窒息死になる可能性もあると感じます。実際、遺体に大きな外傷はない、大きな骨折はない。そういったものは、警察としては、事故・遭難・転落死というのは打ち消せると思います。そうなってくると、そのほかの死因は何なのか。ここを容疑者の供述の裏付けという形で、懸命に捜査をしていくということだと思います」

(Q.首を絞めるという行為自体から、犯人の犯行当時の状況、心境をどう見ますか)
元埼玉県警捜査1課・佐々木成三さん
「動機が、計画的なのか、突発的なのか。計画的であれば、警察が何を重視するかというと、時間と場所と道具。そして、共犯者がいるのかどうか。今回、時間は朝の8時過ぎ。この時間で計画的にやる必要があるのか。場所において、車なのかどうかわかりませんが、結希さんと二人でいる場所を選んでいるわけですから、自分が疑われてしまう。いま、道具を使っているという供述はないということ。いまのところ単独犯ということなので、これを踏まえると、突発的な犯行という可能性は高いと思います」
(Q.行方不明になった23日について、改めて、警察が自宅周辺で聞き込み捜査を行っているということですが、これについてはどう考えますか)
元埼玉県警捜査1課・佐々木成三さん
「いま、警察は、容疑者の逮捕で新たな供述を得ていると思います。供述の裏付けのためには、付近の人の情報提供というのは必要になってきますので、それに基づいた聞き込み捜査をしていると感じます」

(Q.スマホなどのデジタル情報から遺体発見につながったということですが、佐々木さんは、埼玉県警でデジタル捜査班に従事していましたが、解析の手法というのは具体的にどういうものなのでしょうか)
元埼玉県警捜査1課・佐々木成三さん
「いま、警察の捜査も、防犯カメラのリレー式とともに、スマートフォンの解析もかなり重要視しています。このスマートフォンは“ライフログ”というデータが多く残っているんです。誰に電話したのかだけでなく、いつ、誰にメッセージを送ったのか。その時間、何を調べたのか。その時間帯、どこに行こうとしたのか。こういったいろいろな情報が残っています。これを、警察は、デジタル・フォレンジックの一つ、つまり犯罪証拠、デジタルの証拠ということで、このデータの解析を、かなり重要視していると思います。いまは、もちろんアナログ、聞き込みの捜査も重要ですが、アナログとデジタルの捜査、ハイブリッドな捜査というのは、警察の捜査手法の一つ。その中で、カーナビとスマホの位置情報というのは、今回の立証には大きく関与した、大きな要因だったと思います」
(Q.これまで、どのように、どういったデータを調べて犯罪を立証してきたのですか)
元埼玉県警捜査1課・佐々木成三さん
「いま、警察も、スマートフォンの解析にはすごく力を入れていまして、このハイエンド、いろいろな情報を取れる解析機を導入しています。スマートフォンも、一つのパソコンと同様なので、解析機を使って、消したデータも復元できる。ただ、スマートフォンがある場合は、情報の押収ができるのですが、ない場合は、警察もあきらめるわけにはいかないので、スマートフォンに入っているアプリだったりで、その情報で何を使っているのか。もしくは、その情報を持っている会社に対して協力を得る。もちろん必要性があれば強制捜査といって、差押許可状。これはかなりハードルが高いです。この情報を差し押さえるというのは、裁判所からの許可ももらわなきゃいけませんので、こういった形でない場合でも、警察は、あきらめずに証拠をつかんでいた可能性はあると思います」

(Q.当初から不可解な点がいくつかありました。警察としても、父親が怪しいと踏んでいたなかで、もっと早く逮捕につなげることができなかったのでしょうか)
元埼玉県警捜査1課・佐々木成三さん
「23日に行方不明届を受けて、警察だけではなくて、消防団、消防職員の方、延べ1000人以上の捜索をしたなかで、結希くんを元気な姿で戻したいという思いは強かったと思います。最初は遭難、行方不明という事案のなかで、事件としてわかっていたのは、さまざまな裏づけ捜査の積み上げだと思います。特に、このエリアは、防犯カメラの数が少ない。どこを歩いて行ったのかわからない。ここの防犯カメラに映っていないから、歩いて行っていないんじゃないかではなくて、すべて網羅しなければ、打ち消しはできないんだと思います。そうなると、捜索の方に最初は力を入れていたんだと思います。そのなかで、供述に矛盾があって、これは事件の可能性が高いとなったときに、警察の捜査は、早く進んでいたと思います。アナログとデジタルの捜査。このハイブリッド捜査、いろんな可能性を考えながら、蓄積していった。残念ながら、ご遺体として発見となったのですが、僕は、この捜査というのはすごい早かったなというのは感じています」
(Q.位置情報の捜査は、時間がかかるものなのですか)
元埼玉県警捜査1課・佐々木成三さん
「かかります。簡単に、これはわかるものではないです。警察は、7日の自宅裏の捜索からフェーズを上げたと言うのですけれど、僕は、この容疑者の位置情報がわかったのは、この直前だと思うんです。わかっていて、それをしない理由がないです。まずは、結希さんを発見・保護したいという強い思いがありますので、この情報を得て、すぐに行動を移していますので、位置情報がわかったというのは、若干時間が経ったというのは間違いないと思います」

(Q.今後、死体遺棄の容疑を固めていくという作業になるかと思いますが、改めて、大切なポイントを教えてください)
元埼玉県警捜査1課・佐々木成三さん
「警察は、車の押収をしました。この中にはカーナビの履歴、ドライブレコーダー、こういったものの解析になると思います。これは死体遺棄で使った車両ということなので、この車両の綿密な鑑識作業も必要になってきます。殺害行為を本人は供述していますので、殺人の立証をしなければいけないのですが、その前に、死体遺棄の立証はとても重要だと思います。どこに、いつから遺棄したのか。ここを立証することが、殺人の立証につながると思いますので、警察は、懸命に事案の解決をしていただきたいなと思います」
