【報ステ解説】OTC類似薬“追加負担”どう変わる?健保法改正案が衆院通過

【報ステ解説】OTC類似薬“追加負担”どう変わる?健保法改正案が衆院通過
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病院など医療機関で処方される医薬品のうち『OTC類似薬』と呼ばれる薬の自己負担額が今、上がろうとしています。どのような仕組みが議論されているのでしょうか。

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OTC類似薬 負担どう変わる?

28日の衆議院本会議、与野党の賛成多数で健康保険法改正案が可決されました。その柱の1つが『OTC類似薬』の購入時に追加負担を求める制度です。何が、どう変わるのでしょうか。

OTC類似薬
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OTCとは英語で「オーバー・ザ・カウンター(Over The Counter)」の略。“カウンター越し”という意味で、処方箋なしで購入できる薬と似た成分や効果を持つ医薬品を『OTC類似薬』と呼びます。

市販薬も扱う、東京都内の調剤薬局では。

薬局の利用者
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薬局の利用者
「肺の音とか診てもらえると助かるので、そういう面だと市販薬よりお医者さんの方がいいかなって。大人は全然、市販薬でもういいんですけど」

薬剤師 栗原薬局 栗原貴彦さん
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薬剤師 栗原薬局 栗原貴彦さん
「市販の薬を自分でチョイスした時に、何の薬だったか分からない状態で購入してしまった場合、眠気が強く出てしまったり、別の副作用が出てしまったりとか、体の不調が出てしまう懸念はある。そこは受診していただいて、先生とチョイスしていただいた方が本当はいいはず」

今回の法改正。年々拡大し続ける医療費を抑制する狙いがあります。医療費は2023年度、過去最高となる48兆円を突破。現役世代の保険料や、政府の財政を圧迫する大きな要因になっていて、改正案には高額療養費制度についても自己負担の月額上限額引き上げなども盛り込まれています。

高市早苗総理大臣
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高市早苗総理大臣
「世代間や世代内での負担の公平性を確保することと共に、限られた財源および医療資源を効率的に活用することを目的として、本法案を提出したわけです」

負担額の違い
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実際に負担はどの程度増えるのでしょうか。例えば1000円のOTC類似薬を、医療費3割負担の人が購入する場合。現在の患者の窓口負担は300円。残りの700円は保険料などから賄われます。これが改正案では、まず“特別の料金”として薬の値段の4分の1が新たな負担になります。この場合250円です。残りの750円に対する3割と合わせて患者の窓口負担となるため、合計475円に値上がりします。

上野賢一郎厚労大臣
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上野賢一郎厚労大臣
「別途の負担については、急激な負担増とならないように薬剤費の4分の1に設定しております。また、施行にあたっては引き続き必要な受診が確保されるように、がん・難病患者等に対しての配慮措置も今後検討していく」

今回の法案ではOTC類似薬、約7000品目のうち、1100品目ほどが対象です。国は年間900億円の医療費削減につながると試算しています。

薬剤師 栗原薬局 栗原貴彦さん
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薬剤師 栗原薬局 栗原貴彦さん
「患者さんの負担を考えると、少し悪い面の方が多いのかなと。金額の負担が増えるところで、患者さんが(薬を)チョイスするところで迷うことがあるとは思う。保険料が高騰しているところで、国としても下げたいというのも十分理解できるので、非常に悩ましい」

難病患者など“対象外”も課題は

国民医療費
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毎年の国民医療費は年々膨張して、2023年度は年間48兆円に上ります。このペースで増えていくと、現役世代の負担はますます大きくなっていくことが予想できます。

今回の改正で国の医療費削減にどのくらい効果があるのかというと、厚労省は約900億円を見込んでいます。内訳は、今回の特別料金によるものが500億円、残り400億円は、病院に行くのを控えるなど行動の変化によるものだといいます。

医薬品政策に詳しい、神奈川県立保健福祉大学の坂巻弘之シニアフェローに聞きました。

神奈川県立保健福祉大学 坂巻弘之シニアフェロー
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神奈川県立保健福祉大学 坂巻弘之シニアフェロー
「高齢化社会で医療費は今後どんどん増えていき、立ち行かなくなる恐れがある。医療費の膨張を可能なところからコントロールしていくことが、社会保障制度維持のためには必要」

負担する側にもそれぞれ事情があるため、追加負担には例外も設けられています。厚労省は「子ども・がん患者・難病患者・低所得者・入院患者・薬の長期使用が必要な方などは対象外」としていますが、「詳細は法案成立後に有識者の意見を聞いて決める」ということです。

神奈川県立保健福祉大学 坂巻弘之シニアフェロー
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神奈川県立保健福祉大学 坂巻弘之シニアフェロー
「例えば胃潰瘍(かいよう)や十二指腸潰瘍などは、継続的に長期間、薬の服用が必要。そうした病気の種類に応じた、きめ細かい制度を本来は先に決めるべきだった。今後はできるだけ早期の制度設計を望む」

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