イランのW杯出場 FIFA会長が総会で明言「もちろんアメリカでプレーする」

イランのW杯出場 FIFA会長が総会で明言「もちろんアメリカでプレーする」
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 FIFAワールドカップ2026(W杯)の開幕が約1か月半後に迫る中、国際サッカー連盟(FIFA)は先月30日、カナダ・バンクーバーにてFIFA総会を開催しました。議題の1つとなったのが「イラン代表のワールドカップ出場可否」でしたが、インファンティノ会長は「もちろんイランは2026年のFIFAワールドカップに参加する。そしてもちろんイランはアメリカでプレーする」と明言しました。「理由はとてもシンプルだ。私たちは団結しなければならないからだ。それは私の責任であり、私たちの責任だ。サッカーは世界を1つにする」と述べ、イランの予定通りの参加を改めて強調する形となりました。また、これを受けてアメリカのトランプ大統領は「ジャンニ(インファンティノ会長)がそう言ったならかまわない。問題ない」などと話し、会長の意見を支持したということです。総会には加盟211協会のうち、210の国と地域の代表団が出席しましたが、イランサッカー連盟の幹部はカナダへの入国が認められず、唯一欠席となりました。

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第 76 回 FIFA 総会
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 今大会はアメリカ、カナダ、メキシコ、3カ国での共催です。
 しかし、核合意をめぐってイランとアメリカは対立していて、2月下旬にはアメリカとイスラエルがイランに大規模な軍事攻撃を行いました。これに対し、イランも報復攻撃し、両国は戦闘状態となっています。現在は一時停戦中ではあるものの、いつ戦闘が再開するかわかりません。イランはアジア最終予選を経てW杯の出場権を得ていますが、すでに発表されている1次リーグ3試合の会場がアメリカであることから「イランのW杯出場可否」をめぐり各所でさまざまな意見が出ています。
【イラン代表 W 杯試合予定】
6月15日(月)イランvsニュージーランド(ロサンゼルス・スタジアム)
6月21日(日)イランvsベルギー(ロサンゼルス・スタジアム)
6月26日(金)イランvsエジプト(シアトル・スタジアム)
※現地時間

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会場で映し出されたイランの国旗
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イラン代表のこれまで

 イランはFIFAランク21位で、これは日本(18位)に次いでアジア勢で2番目です。
 身体能力の高さを活かし、「失点しない守備」、「高い得点力を誇るストライカー」を持ち合わせるチームで、アジアサッカー界を牽引しています。
 こういったこともあり、軍事衝突の渦中にあるアジア強豪国のW杯出場可否は高い関心を集めています。※FIFAランクは4月1日時点

アメリカとイスラエルから大規模攻撃…「いかなる状況でもW 杯に参加できない」

 アメリカとイスラエルによる大規模攻撃から2週間弱が過ぎた3月11日、イランのドンヤマリ・スポーツ・青年相が国営放送にて「腐敗した政権が我が国のリーダーを暗殺した」とアメリカなどを強く批判したうえで、「いかなる状況でもW杯に参加することはできない」と述べました。さらに、アメリカのトランプ大統領が翌12日、「イラン代表の(W杯)出場は歓迎されるが、彼らの生命や安全にとって適切ではない」と自身のSNSに投稿し、イランの出場に難色を示しました。

「辞退しない」と発言 試合会場の変更を要請

 直後の3月16日、イランサッカー連盟のタージ会長は、W杯での試合会場をアメリカからメキシコに変更するようFIFAと協議していると明らかにしました。渡航した場合の安全面に懸念があるためとしています。これを受けてメキシコのシェインバウム大統領は17日、イランの試合を受け入れる準備があるとの見方を示し、「メキシコは世界中のすべての国と外交関係を維持しているため、FIFAの決定を待つ」と話しました。タージ会長は18 日、「アメリカには行かないとしても、W杯を辞退するつもりはない」と述べたということです(ロイター通信)。

FIFA会長が親善試合視察「イランは出場する」

 FIFAのインファンティノ会長が3月31日、トルコで行われた「イラン対コスタリカ」の親善試合の会場を訪れました。W杯について「イランは出場する」と述べ、「チームの様子も見たし、選手や監督とも話をした。全て問題ない」と主張しました。イランの1次リーグ3試合についても「抽選結果に従う」と話し、予定通りアメリカで開催することを主張しています。

 また、イランサッカー連盟のナビ副会長は、「我々にとって最も重要なのはFIFAの規則と規定だ。決定には何でも従う。各開催国はFIFAに約束し、それを守らなければならない」と述べ、FIFAの決定を支持する姿勢を見せました。

親善試合の視察に訪れたインファンティノ会長(左)
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親善試合に挑むイラン代表
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メキシコへの会場変更「FIFA認めず」

 メキシコのシェインバウム大統領は4月10日、アメリカ内で予定されているイランの1次リーグ3試合について「FIFAが最終的に、当初の会場から移すことはできないと決定した」と明らかにしました。シェインバウム氏は、会場計画の変更はFIFAにとって「多大な労力が発生するため」と述べています。

イランに代わりイタリアがW杯へ?

 英フィナンシャル・タイムズは4月22日、アメリカ トランプ政権の特使であるザンポリ氏が、イランの代わりにイタリアを出場させるようFIFAに要請したと報じました。
 これに対し、イタリアのアボディ・スポーツ相は23 日、「不適切だ。出場権はピッチで勝ち取るべきものだ」と否定的な見解を示すなど、複数のイタリア高官らが反論しました。
 フィナンシャル・タイムズによりますと、提案はトランプ大統領とイタリアのメローニ首相の関係を修復する狙いもあるとされています。
 一方で、スペインのスポーツ紙「AS」は、イランが出場辞退した場合、その出場枠はイランと同じアジアサッカー連盟(AFC)に所属するチームが埋めることになるとして、アジア予選での成績を踏まえ、アラブ首長国連邦(UAE)が代替出場する見通しだと報じました。ただし、イランは現時点で辞退をしていません。

 約2カ月の間に大きな混乱をみせているイランのW杯出場可否問題。
 今回の総会ではインファンティノ会長が、イランの「W杯出場」と「アメリカでのプレー」を明言したことで、予定通りの参加が再び強調される形となりました。しかし、イランサッカー連盟の幹部がカナダへの入国が認められないなど、本大会へ向け新たな不安要素もあらわになりました。イランの出場可否問題はいつ落ち着くのか、W杯開幕は約1か月半後にまで迫っています。

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