国会支える職員 今年採用は3人、100倍の難関突破 最初の壁は専門用語【詳細版】

国会支える職員 今年採用は3人、100倍の難関突破 最初の壁は専門用語【詳細版】
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 公務員のなり手不足がさけばれる一方で、倍率100倍と大人気なのが国会で働く公務員です。どんな仕事なのでしょうか。

【画像】速記者の驚きテクニック 「高市内閣総理大臣」はどう書く?

今年採用の国会職員は3人

 日本の行く末を決める「国会」。その舞台を、陰で支えている人たちがいます。

議事課に数年ぶりの新人
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 河合翼さん(24)は今年4月、本会議の運営を担当する議事課に数年ぶりの新人として配属されました。その「初仕事」は、議事の進行に合わせて発言する大臣たちに、席を移動するよう声をかけることです。

 この日は小泉防衛大臣や茂木外務大臣が説明に立つことになっています。緊張した面持ちの河合さん。先輩職員とともに、声をかけるタイミングを待ちます。

 小泉大臣が移動するタイミングです。いざ踏み出しますが、先に小泉大臣が立ち上がったため、声かけは必要なかったようです。

茂木大臣に声をかける新人職員
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 さて今度は…無事に茂木大臣に声をかけることができました。

河合翼さん
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河合さん
「まずは無事に終われてよかった」
「(Q.なぜ国会職員に?)公共政策大学院で主に政策を学んでいました」
「国会職員という仕事を知って、国会は唯一の立法機関なので国会職員になった」

 新人職員にとって“最初の壁”となるのが、国会特有の専門用語です。

「業務で使っているメールにも知らない言葉がたくさん出てきて」

国会用語の例
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 国会用語で「ガチャン」は、与党が強行採決すること。質問に立つ人の順番が書かれたものを「バッター表」と言います。他にも審議入りを引き延ばすことを「つるし」と呼んで、党に持ち帰ることは「本国と相談」などなど。

「自分は政治にのめり込んだり“国会マニア”ではなかった。同期には数人。歴代の事務総長や議長の名前を順番通りに全部言えるとかスラスラ出てきていて、自分は本当にいいのかなと不安になったりします」

今年採用は3人 100倍の難関突破
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 今年採用された「国会職員」は、河合さんを含めて3人。応募者は313人で、倍率は100倍を超える“狭き門”でした。

「まず議事課に入ったので本会議の業務をしっかりとできるようになりたいですし、将来的には国会の運営議事がより良くなるよう、そういったものに関わっていきたい」

調査局とは?中立立場でサポート

国会を支える仕事
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 国会を支える仕事には「議事課」以外にも、衛視がいる「警務部」や「調査局」などがあります。

 調査局は議員からの依頼で情報収集を行い、議員立法や国会質問などを中立の立場でサポートします。

衆議院 経済産業委員長
工藤彰三衆院議員

「与野党の質問者は助かっていると思います。特に今、海外がいろんなことがありまして、『この資料はないか?』というと、すぐ出てきますから」

 調査局の部屋は、議員会館の地下にありました。1人なのに、なぜか電話が2台置かれています。

右が問い合わせ電話 左が個人の内線
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衆議院 経済産業調査室
深谷陵子主席調査員

「こっちが問い合わせ電話で、こっちが個人の内線。依頼はこっちにかかってきます。これはちょっと中身はあれなんですけど、調査依頼が来ると、内容を書いたものを調査員に配って、締め切りですとか、内容ですとか」

 今国会で目立つのが、中東情勢に関する質問です。この日も職員が調べた内容が活用されたといいます。

 委員会後、すぐに問い合わせが来ることもあるので、水も飲まずにメモを取ります。

 午前中、3時間の委員会を終えて…。

3時間の委員会を終え…
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衆議院 経済産業調査室
花島克臣室長

「まだ経済産業委員会での質疑は始まったばかりなので、これからさまざまな問題について議論されると思います」
「(Q.これから帰っても対応が待っている?)まずはお昼ご飯を食べて、午後の委員会に備えたいと思います」
「(Q.ちなみにお昼ご飯は?)きょうはパンです」
「(Q.何パンですか?)低糖質クロワッサンです。あまり食べると眠くなるので」

時代とともに変化するものも

先例集
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 こうした努力によって積み重ねられたものが「先例集」です。

衆議院 議事課
渡辺容子さん

「あんまり一般公開していないものになるんですけど」

 先例集は、国会に関するさまざまな“作法”や“事例”がまとめられていて、これをもとに運営が行われます。

渡辺さん
「すごく古いやつもあるんですけど、帝国議会時代の明治24年ころから発行が続けられていて、衆議院事務局で責任をもって編集・編纂(へんさん)してきた」

今年3月から「AI点呼」導入 以前は…
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 そんな中、時代とともに変化するものもあります。今年3月から導入された「AI点呼」です。以前は、ベテランの職員が1人で読み上げていました。

衆議院 国際部
吉田早樹人部長

「仮に間違えてしまうと、投票自体が無効になったり、やり直しになったりしますので、非常に緊張するところです」
「(Q.練習したりする?)そうですね。名簿をもらって、自宅などで練習は何回かしていました。子どもが“何をやってるんだ”というリアクション。なるべく隠れて、人がいない部屋でやっていました」

点呼名簿
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 ただ、AIが動かなかった場合に備えて、今でも読み上げるための大きな名簿は用意しています。

衆議院 議事課
村井くるみさん

「トラブルがあった場合とか、人が読む可能性がありますので、一応、毎回作っております」
「(Q.ここはめくりやすいように?)めくりやすいように」
「(Q.重い?)改良を重ねておりまして、持ちやすいようになっております。前よりも軽くなりまして。ここに木の柱みたいなのがたっておりまして、重心が安定するようになっております」

速記者の驚きテクニック

 演壇の前でペンを走らせるのは「速記者」たちです。点や線で構成される「符号」を駆使して、スピーディーに記録を取ります。実際に見せてもらいました。

「高市内閣総理大臣」と書かれている
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衆議院 記録部
高橋美咲さん

「(Q.よく使う言葉ってありますか?)高市内閣総理大臣」
「(Q.えっこれで?)はい」
「この縦線がタ、横がカ、この丸まっているところがイ、この小さいのがチ。この符号を『タカイチ』に引っ掛けて書くことで、これが『内閣総理大臣』になります」
「(Q.すごいですね。一瞬でしたね)もう音に対して手が勝手にというか」

 試しに、実演してもらうと…。

実演
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室長が読み上げて高橋さんが速記
「今の暮らしや未来への不安を希望に変え、強い経済をつくる。そして日本列島を強く豊かにしていく」

 こんな言葉も…。

「グッド!モーニング」と書かれている(一番下)
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室長が読み上げて高橋さんが速記
「グッド!モーニング」

自動文字起こしシステムを導入
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 ただ15年前から、自動で文字起こしするシステムが導入され、現在は本会議など限られた時だけ、速記者が活躍しています。

衆議院 記録部
楯京子室長

「だんだん使える人は少なくなってきていて。ですが、今も現役であることは変わりないですね」

(2026年5月4日放送分より)

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