
歯の治療を巡るトラブルが後を絶ちません。東京・上野にある老舗の矯正歯科が突然閉院しました。治療が終わらず、返金の見通しも立っていない状況に、患者からは不安の声が上がっています。
【画像】「跡形も面影もない…」突然閉院した東京・上野の矯正歯科
55万円前払い矯正歯科閉院
患者の父親(40代)
「気持ちの整理がつかない。頭が真っ白になる。怒りもあるが悲しい」
こう話すのは、小学5年生の娘を矯正歯科に通わせていた都内に住む40代の父親。4年前、近所にあった富岡矯正歯科に55万円を前払いして、矯正の治療を契約しました。
「(Q.55万円ってかなり高額だと思うが、悩まなかったか?)悩んだ。それよりも子どもの未来にかけたと言うか、ちょっとでも歯並びがきれいな状態で大きくなってほしい思いが強かったので、お支払いした」
JR上野駅近くで1991年に開業した富岡矯正歯科。独自の矯正治療で、地元では知られたクリニックでした。
「院長先生が編み出した治療法の説明を受けて、通常ワイヤ・マウスピースをつける治療法が一般的だと思うが、(奥歯に)セメントを塗って、あごの動きや食い縛りを抑えながら歯を動かしていく治療法が結構珍しいという印象だった」
しかし、治療開始から4年が経過しても、歯並びは良くならなかったといいます。
「毎月行って5分ぐらいで終わるが、本当にこれで歯が動くかなという心配と、いつまでかかるんだろう」
いつまでかかるのかや治療を受ける回数の具体的な説明もないまま、前払いをした55万円のほか、来院のたびに別途、診察料を支払っていた男性。今年2月には、急に予約も取れなくなったといいます。
「現在、院長の体調が大変悪く診療できない状況です」と、医院の入り口に貼られた手書きの紙。院長の体調を心配していた男性ですが、2カ月経っても、何の連絡もありませんでした。
番組が、父親である男性と一緒に、矯正歯科を訪ねてみると、受け付けや治療機器、電気などの道具はすべて取り払われていて、ごみ袋だけが残った状態でした。
「跡形もない。面影がない。もうガランとした状態。もう言葉が出ない。ひざから崩れ落ちる感じ」
むき出しワイヤ健康被害も
矯正歯科を巡っては、健康被害を訴える患者もいます。
患者(20代)
「やっぱり(ワイヤーが)むき出しになっていると、唇の裏に刺さるので、口を閉じているだけでも常に刺さる状況」
20代の女性は、4年前から110万円を支払い契約。しかし、治療で使用されたワイヤーが唇に刺さって出血したうえ、いまだに歯の並びも改善されていません。
台東区の保健所にはこれまでに(先月30日時点)富岡矯正歯科の閉院に関する相談や苦情が40件寄せられています。
台東区保健所
「4月に医院に立ち入り調査を行い、事実上の閉院を確認しました。区は『廃止届』を受け取っておらず、今後、患者などに対して、どのように周知するかを検討しています」
番組は院長の自宅を取材しましたが、応答はありませんでした。
近年、相次いでいる医療機関の閉院トラブル。専門家は、価格競争の末の自転車操業が背景にあるとみています。
たきざわ法律事務所 瀧澤輝弁護士
「例えば、10回10万円を12回のコースで10万円。一括でやると安くなるところもあって、そのコース契約で医療機関側は大きな金額が一気に入るので、それを元手に広告費用に大きなお金を出すと、投資を多くするなど医療機器にも多額の費用がかかる。そうすると継続してコース契約がどんどん来ないと事業が回らなくなるケースもある。自転車操業になりやすい」
(2026年5月5日放送分より)
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