
東京23区内の賃貸マンションの家賃が上がり、22カ月連続で最高値を更新しています。全国的にも家賃が値上がりしているという状況の中で、今「激せま物件」が注目されています。
寝に帰る人に「なおメリット」
代々木上原駅から徒歩10分、東京・渋谷区にある築6年の賃貸アパート。入居して1年余りの山根飛来さん(29)。
「靴、2つ置いちゃって結構パンパンになっている」
玄関の横幅は、わずか70センチほど。入ってすぐに洗濯機置き場とキッチンがあります。奥の居室スペースの広さは、なんと3畳。実際に測ってみました。
「205センチくらい。もうちょっと(手の長さ)あったらついちゃう」
「本当に使うものだけ置いてます」
天井までの高さは、一般的な部屋の1.7倍の約4メートル。ロフトを寝室として使っています。
「高さがあるので、狭さはあんまり気にはならないですね。リラックススペースと仕事場が分けられているのが、結構いい」
トイレと浴室が別ですが…。
「浴槽はついてない。こんな感じでシンプルな必要最低限に整っている」
山根さんがこの物件を選んだポイントは?
「場所が良い。築年数が浅い。バス・トイレ別っていう所、なかなかなくて。あるとしたら、めちゃくちゃ古い建物とかになっちゃう。私はそっちよりも、きれいでコンパクトな住宅のほうが生活にフィットする」
一月の家賃は管理費込みで7万5500円。周辺の家賃と比べて2万円ほど安くなっています。自炊をする際もミニキッチンで手狭なため、みじん切りされた冷凍タマネギを使うなど、切る作業を省く工夫も。
激せま物件で暮らす中で、不自由に感じることは?
「ないですね。寝に帰る人とか、なおメリットだと思います。単身者には結構向いているっていうのは客観的にみても思います」
2階にキッチン・風呂も
家賃を抑えつつ、広々と暮らしたい。そんな若者の希望をかなえるのが、都内にある一見何の変哲もない一軒家。
この家で暮らす84歳の飯野巳恵子さんと、大学生の木田美映ミシェルさん(21)。祖母と孫の2人暮らしと思いきや、実は赤の他人同士です。
自宅に空き部屋を持つ高齢者と、部屋を探す学生をNPOがマッチングし、共同生活をサポートしています。
8年前に夫に先立たれた飯野さん。自宅に一人で暮らす中、この取り組みを知り、これまでに8人の学生と一緒に生活してきました。
飯野さん
「一人になって、いろいろ衰えてくると、やっぱり寂しさが違うね。やっぱり何かしてみたいというのがあったのかな」
一方、滋賀県から上京し、現在大学4年生の木田さん。大学1年生の頃にはシェアハウスで暮らしていましたが、人と会話することがない都会での生活に寂しさを覚え、2年前から飯野さんと暮らしています。
木田さん
「東京に来たら、通り過ぎる人にあいさつとかもしないじゃないですか。すごく寂しかったです」
飯野さん
「ここは私が暮らしているところです」
4DKの一軒家。1階のダイニングキッチンと6畳の和室が飯野さんの生活スペースです。
木田さんが使っているのは、2階の一部屋。
「(Q.割と広いですね?)7畳」
「(Q.7畳の部屋にキッチンもあるんですか?)あります」
「お風呂です。一人でこんなの使っていいのかっていうぐらい立派なお風呂で」
備え付けの冷蔵庫には。
「大根が安くなったっていうので(飯野さんから)もらったんですけど。お漬物ですね。(飯野さんの)手作りです。結構もらえますね。本当にありがたいです。学生としては」
家賃の代わりに、光熱費など毎月3万5000円を支払っていますが、相場の家賃と比べても半額ほどです。
「自分が勉強したいことがあって大学に来ているから、その時間を家賃を稼ぐためのバイトにあてるのは違うかなみたいな。人もいて安心だし、家賃も抑えることができるし、自分のやりたいことのために、こういう選択肢を取ってもいいんじゃないかなと」
母「心のよりどころ」
基本的には1階と2階、別々の生活をしていますが、週に1回程度は2人で食卓を囲みます。
飯野さん
「しばらくぶりの赤飯」
木田さん
「おいしい」
「(Q.飯野さんのお赤飯どこが違いますか?)愛情」
時には木田さんが飯野さんをフォローすることもあります。
飯野さん
「これやってみてくれる?これ使えないのかもしれない」
スマホに保存している写真のプリントアウトがうまくいかないという飯野さんに代わり、木田さんが設定をし直すと…。
木田さん
「やったー」
飯野さん
「出来た」
「これをクリアしなきゃ私も生き残れない。一緒にいて分からないことは聞けるし、元気をもらっている」
付かず離れず、程よい距離感でお互いに助け合う現代版の下宿。
滋賀県で暮らす木田さんの母・伊久美さんは、このように話します。
「彼女の心のよりどころという面で、年配の方にアドバイスをいただけるというのは、大きかったと思っています。知らない者同士ですけど、家族対家族の縁だなと感じました」
「私は本当に幸せ者」
この日、2人は地元の飲食店へ。
木田さん
「二十歳の誕生日もここで」
「(Q.ここで誕生日?)はい。初めてお酒飲ませてもらって」
飯野さん
「皆が教えてくれたの」
二十歳の誕生日も、飯野さんと近所の人たちが祝ってくれました。
木田さん
「普通に東京で一人暮らしをしているだけだと、絶対に出会わないような人まで出会わせてもらえる」
学生にとっては家賃を抑えられ、地域交流もでき、高齢者にとっては一人暮らしの不安を解消できる双方にとってメリットの多い共同生活。
この春に契約期限を迎え、木田さんが一人暮らしをすることに。
木田さん
「2年間ありがとうございました」
飯野さん
「ありがとう」
手渡したのは、飯野さんの好きな日本酒と感謝の気持ちを込めた手紙。
「私は5人家族で育ってきたので、いざ東京に出てくると、家に帰っても誰もいないし、話し相手もいない。何かあったときに頼れる人がどこにもいないという事実に、日々不安と寂しさでいっぱいでした」
「休日に石神井公園まで一緒に散歩に行って、2人でコーヒーを飲んだり、居酒屋さんで近所の常連さんたちとご飯を食べる時間が私の日々の楽しみでもありました。きっと二度と忘れることのないような貴重な経験をさせてもらえて、私は本当に幸せ者です」
飯野さん
「ゆっくり読むわ。良い子だもんね」
(2026年5月5日放送分より)
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