トランプ氏“米企業トップ同行”狙いは選挙? 中国“おもてなし変化”思惑を分析

トランプ氏“米企業トップ同行”狙いは選挙? 中国“おもてなし変化”思惑を分析
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 米中首脳会談の中で、習近平国家主席が「双方の経済貿易のチームが合意に達した」と述べたことが分かりました。今回、同行した大企業のトップたちの顔ぶれから見えてくるトランプ大統領の狙いを検証します。

【画像】トランプ大統領 中国へ出発前に「ハグ宣言」

経済貿易チームが合意

およそ9年ぶりとなるトランプ大統領の中国訪問
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 「双方の経済貿易のチームが合意に達した」「世界にとって良い知らせだ」と、習近平国家主席(72)がトランプ大統領(79)との会談の中で話したと、中国外務省が明かしました。

 その会談に先立ち、両首脳は国歌とともに何発もの礼砲が鳴り響く歓迎式典に臨みました。

 両首脳が近くに来たタイミングで、両国の国旗を持った子どもたちが声援を送ると、トランプ大統領は足を止め、習近平国家主席に何か声をかけた後、拍手で声援に応えました。

 第1次政権以来、およそ9年ぶりとなるトランプ大統領の中国訪問です。そして今回も、最上級のもてなしをする「国賓待遇」です。

「安定した中米関係は、世界全体に利益をもたらす」
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習近平国家主席
「北京でお会いできて、大変うれしく思う。あなたにとって9年ぶりとなる2度目の訪問だ。きょうの会談は、まさに世界から注目されていると言える」
「中国とアメリカの共通の利益は、互いの違いよりも大きく、それぞれの成功は互いにとってのチャンスでもある。安定した中米関係は、世界全体に利益をもたらす」

 習主席が強調したのは、「対立相手」ではなく「パートナー」となることです。

習近平国家主席
「2026年を、中米関係にとって過去を受け継ぎながら未来を切り開く、歴史的で象徴的な年にしよう」

 これに対し、トランプ大統領は…。

 歓迎式典に対する謝礼を口にした
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トランプ大統領
「習主席に感謝をする。見たことのないような歓迎を受け、光栄だ。特に子どもたちが心に残った。うれしそうで、美しかった」

 歓迎式典に対する謝礼を口にした後、やはり友好的な姿勢を強調しました。

トランプ大統領
「あなた(習主席)と私は、もう知り合って長い。我々の、どの首脳同士よりも長い付き合いだ。光栄なことだ。素晴らしい関係を築いてきたし、困難があっても共に解決してきた」

 さらに習主席のことを繰り返し、持ち上げました。

トランプ大統領
「中国とあなた(習主席)が成し遂げてきたことに敬意を抱いている。あなたが偉大な指導者だと、誰に対しても言っている。それを嫌う人もいるが、私は言っている。それが真実だからだ」

狙いは?米企業トップ同行

 ただアメリカと中国の関係、とりわけトランプ大統領と習主席の関係は、必ずしも良好なものであったとは言えません。

 両国の緊張を高めてきたのが「トランプ関税」です。

「トランプ関税」
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 トランプ大統領は、第1次政権時代も、政権に復帰した去年も、中国に対して高い関税をかけ、これに中国も対抗し、報復合戦が繰り広げられてきたのです。

 しかし14日は、お互い友好ムードを演出しました。それぞれ、何を期待しているのでしょうか。

それぞれ、何を期待?
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明海大学 小谷哲男教授
「トランプ氏は当然、中間選挙を見ているし、習主席も来年の党大会で4期目を目指すと。それに向けた第一歩と位置づけている」

同行したメンバー
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 トランプ大統領の狙いは、同行したメンバーにも表れています。両首脳が対面をした人民大会堂前の広場には、その同行メンバーが顔をそろえていました。

 ルビオ国務長官に、ベッセント財務長官、ヘグセス国防長官といった閣僚のほかに、テスラなどのCEOを務めるイーロン・マスク氏や、アップルのCEO、ティム・クック氏、半導体大手、エヌビディアのCEO、ジェンスン・ファン氏の姿も確認できます。

17人ものビジネス界のトップを連れてきた
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 トランプ大統領は今回の中国訪問に、実に17人ものビジネス界のトップを連れてきているのです。

小谷哲男教授
「中間選挙もあるので、経済・貿易で中国側から譲歩を引き出したい。特に上院の改選州は農業州が多いので、中国が農産品をできるだけ多く買ってくれれば、中間選挙に向けて共和党に有利な流れができるということになる」
「商談として額が大きくなるという意味ではボーイング、航空機、このCEOも同行しています。ボーイングも、アメリカのかなり広い州で工場を持っていて、部品なども含めて工場を持っていますので、アメリカの広い地域に対しての経済効果が高いということがあります」
「そして何より半導体ですね。半導体企業の幹部たちも連れていっていますけども、トランプ政権1期目の時からハイテク技術の対中輸出規制を始めた。今回半導体企業の幹部を連れていっているということは、アメリカの最先端の技術も中国に輸出する可能性がある」

習主席は、台湾問題の対応を誤れば衝突することになると強調
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 一方、習主席は台湾問題が最も重要であり、対応を誤れば両国は対立し、衝突することになると強調したといいます。

小谷哲男教授
「アメリカは台湾関係法にもとづいて、長年台湾に対して武器の売却を行ってきましたが、中国はずっとこれに反対してきた。中国からすればトランプ大統領であれば武器売却をやめてくれる、あるいは縮小してくれる、遅らせてくれるという期待があると思います」

 会談後、トランプ大統領は台湾について話し合ったか聞かれましたが…。

質問を無視
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トランプ大統領
「(Q.台湾については話した?)……」

 質問を無視。改めて聞かれても、やはり無視して立ち去りました。

“おもてなしの変化”に見える思惑

 また番組では、習主席がトランプ大統領への“おもてなし”を前回2017年からどう変えてきたのかに注目します。

握手、前回と違う?
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 1つ目の違いは、握手にあります。

 前回の2017年に2人が出会うシーンです。握手は1秒もない短さだったのですが、今回は手を握ったところから、見つめ合って何か会話をします。結局、およそ14秒と、前回の10倍以上の時間、手を握り合っていた計算になります。

 専門家は、この違いについて…。

違いについて…
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東京女子大学 高原明生特別客員教授
「両方の都合だったと思う。米中関係は、安定できますということを習近平の側でもトランプの側でも内外に示したい。前回と比べると、長めの握手になったのではないか」

服装にも変化が
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 変化は習主席の服装にも表れています。

 2017年にはブルー寄りのネクタイを着けており、赤のトランプ大統領とは対照的でした。一方の今回は、えんじ色を選んでいます。これは習主席の“歩み寄り”なのでしょうか。

2017年にはブルー寄りのネクタイ
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高原特別客員教授
「演出か分からないが、可能性はある」

本番前のリハーサルも
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 ちなみに会談の前、全身で大歓迎を表現していた子どもたちですが、この本番より、およそ50分ほど前の様子です。本番前のリハーサルも行われていました。

 子どもによる出迎えは、中国では一般的な手法だといいますが…。

中国では一般的な手法だというが…
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高原特別客員教授
「信頼できる子どもたちじゃないと、何があるか分からないことに備えるというのは、中国共産党の習性。選ばれた子どもが出てきている」

 会談とは別に、トランプ大統領を案内した場所も、前回とは異なります。

 前回、世界遺産の「故宮」を貸し切り、習主席が案内する様子です。

 今回は、歴代皇帝が祈りをささげた歴史的名所「天壇公園」を訪れましたが、会場内では途中でカメラが移動させられるシーンもありました。

トランプ大統領を案内した場所も、前回とは異なる
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高原特別客員教授
「『故宮』は皇帝が住んでいた所ですし、『天壇公園』は皇帝が出向き祈る場所。そういう皇帝と縁がある場所を選んで、トランプ大統領も習主席も皇帝みたいに振る舞う。トランプ大統領を喜ばせようと連れて行ったのでは」

 場所は違えど、狙いは同じという部分もありそうです。

 おもてなし度の高そうな今回の訪中ですが、トランプ大統領は出発前に「ハグ宣言」もしていました。

出発前に「ハグ宣言」
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トランプ大統領のSNSから
「数週間後に私が中国に到着したら、習国家主席は私に大きく力強い抱擁をしてくれるだろう」

 握手こそ長かったものの、ハグはまだ飛び出していません。

高原特別客員教授
「今の習主席はなかなか人前で、たとえアメリカの大統領であれ、ガバッとハグするようなキャラクターでは売っていない。威厳を保とうという中国側の考えもあったのでは」

(2026年5月14日放送分より)

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