
中東情勢の動向が依然、不透明な中、政府は26日、経済支援として一般家庭の7~9月分の電気・ガス料金を約5000円補助する、予備費の支出を決めました。ただ、値上がりが本格化するのは秋以降になるという話もあり、先行きを不安視する声も出ています。
【画像】夏場の電気・ガス代“約5000円”支援決定 予備費から5135億円支出へ
負担増が中小企業を圧迫

宮城県石巻市にある食品加工会社『ヤマサコウショウ』。東日本大震災を乗り越え、工場を再建しました。

ヤマサコウショウ 佐々木孝寿社長
(Q.これは)
「石巻漁港で水揚げされた水タコです」
主に加工しているのは、地元で水揚げされた魚介類。鮮度を保つため、加工場の温度は18℃にする必要があります。仙台の名物を使った『牛タンつくね串』も主力商品です。

ヤマサコウショウ 佐々木孝寿社長
「『牛たん入りつくね』という製品ですが、冷凍した後に出てくる。(室温が)夏になると上がる。なおさら冷凍機は温度管理を厳しくやっている」

冷凍食品を保存する倉庫の温度は-21℃。当然、電気代が重くのし掛かります。ウクライナ戦争前の2021年度、電気代は約7900万円でしたが、昨年度は1億1000万円に。電気代だけで3000万円以上の“負担増”です。加えて、長引くイラン情勢の悪化によるナフサの供給不安から、パッケージの印刷代や発泡スチロール容器の値上がりなどが経営をさらに圧迫します。コストを減らすため、月30万~50万円の節電効果がある冷却設備の導入や、太陽光パネルの設置などを行っていますが、負担は増えていくばかりです。

ヤマサコウショウ 佐々木孝寿社長
「値上げさせてもらうのは簡単じゃない。(客に)どこまで受け入れてもらえるか、我々も分からない状態」
予備費から5135億円支出へ

政府は26日、この夏の電気・ガス料金を支援するため、予備費から5135億円を支出することを閣議決定しました。支援は7~9月までで、一般家庭の場合、1キロワットアワーあたり3.5~4.5円。ガス料金も合わせて、3カ月間で5000円程度の負担を軽減できるとしています。
さらに…。
赤沢亮正経産大臣
「主に中小企業が利用する高圧の電気料金は、7月・9月は1キロワットアワーあたり1.8円、8月は2.3円の支援を行います」

石巻市の食品加工会社の場合、去年7月の電力使用量は約6万キロワットアワー。今年も同じ量を使った場合、10万円程度の支援を受ける形になります。

ヤマサコウショウ 佐々木孝寿社長
「1日工場を止めたら、それだけ収入も少なくなるし、従業員の生活も守らなきゃならない。安価な値段で電気を使わせてもらえれば助かる」
世間の受け止めは、いたって冷静でした。

一人暮らし(70代)
「(補助が)ないよりはいいが、それで解決するということではない。目先のことではなく、しっかり考えてほしい」
一人暮らし(60代)
「(補助は)打ち水みたいなもの。結局その場だけで続かない。節電するしかない、ひたすら」
夏以降さらに光熱費“高騰”も
電気代は、原油相場に連動するLNG(液化天然ガス)価格の影響を受けます。大手電力会社でつくる電気事業連合会の会長は…。
電気事業連合会 森望会長
「燃料価格が反映されて料金が決まる。ここは3~4カ月か、それ以上タイムラグがある。早ければ6月ぐらいから。本格的にはもう少し先に反映されていく」

6月使用分の電気料金について、森会長は「平均的な家庭で20~80円ほど上がる」という見方を示していて、少しずつ値上げの足音が聞こえ始めてきています。さらに、値上げが本格化し始めるのは秋以降。上昇幅が最も大きくなるのは冬になるという見方もあります。

赤沢亮正経産大臣
「一般に10月になれば家庭の電気使用量は減少する。現時点において10月以降も支援が必要だとは考えていない」
政府は、エネルギー価格の高騰などに備え、3兆円規模の補正予算を編成し、来週にも国会に提出する方針です。
その上で、この夏については、こう強調しました。

赤沢亮正経産大臣
「国民経済や生活に支障がない範囲で取り組みを行っていただけるよう、光熱費や燃料費の削減効果も紹介し(省エネの)呼び掛けをしていきたい」
