
各地でクマ被害が続出する中、注目されている対策グッズを開発したのは、衝撃的な体験をした男性でした。
「スピードが速く見えなかった」
人を恐れない新時代のクマ。クマと壮絶な死闘を繰り広げた男性。この経験をもとにオリジナルの対策グッズを作りました。このグッズに注文が殺到。なんと警察までもが異例の導入。襲われた経験があるからこそたどり着けた、新たなクマ対策とは?
福島県は今年に入ってから、クマの目撃情報が前年の同じ時期と比べ3倍ほどにあたる、353件ありました。
人を襲うクマを捉えた映像。近年、目につくのが住宅街での襲撃です。本来は山で生活しているクマが、なぜ住宅街に現れ、人を襲うのか。クマの生態に詳しい専門家はこのように話します。
酪農学園大学 佐藤喜和教授
「長期的に見れば、個体数が増加。市街地周辺で定着して、生まれ育つクマが増えて。そうしたクマの個体が街に迷い込んでいる」
恐ろしいのはそのスピード。走る速度は時速40キロ以上とも言われています。
ツキノワグマに襲われた男性の動画を見ると、執拗(しつよう)に何度も、そしてすさまじいスピードで襲いかかってきます。スローで見ると、鋭い爪と牙で男性を狙ってきていることが分かります。棒を使って20秒を超えるクマとの格闘。無傷では済みませんでした。
「爪で刺された」
経験から作った対策グッズ
この男性が作った対策グッズが、なんと警察にも導入され、注目を浴びています。
岩手県岩泉町の佐藤誠志さん(59)は、朝3時に起きて山に入り、収穫した山菜を販売しています。これまで山では何度もクマを目撃していましたが、襲われたことはありませんでした。それが、まさかの事態に。
佐藤ちひろアナウンサー
「どういう状況で襲われたんですか?」
佐藤さん
「マイタケの様子を見に行ったんです。親子連れのクマに遭遇。太い木の陰に隠れたんだけど、走ってきたんです。どうせやられるんだったら一か八かって思って(戦った)。まるででっかいネコです」
「手をふるスピードが速く見えなかった」
傷跡は今も体に刻まれています。
佐藤さん
「20キロ超の怒ったクマは手に負えないです。1人で戦ってクマに勝てることはありません」
機動隊員も使用
接近したクマへの対策として有効だと言われているのが撃退スプレー。しかし、自らが襲われているような極限状態では…。
佐藤さん
「取り出すまではいいけど、安全弁を外すのが厄介。走ってくるクマを見ながら外すのが難しい」
時速40キロ以上で突進してくるクマを引きつけ、正確に操作して噴射するのは簡単ではありません。そこで佐藤さん、命を守る最後のとりでとしてオリジナルの対策グッズを作りました。
佐藤アナ
「こんな軽いんですか?」
長さ170センチ、重さ560グラム。先端は鋭利で、二股に分かれています。
佐藤さん
「刺すというよりは距離を取るため。これがなかったら、手を振られると、顔やられる。必ず1発目の攻撃が顔に来ます。距離をとって自分の顔を守る」
「たたくとダメです。最初はよかったんですけど、クマがつかむんです。運動神経がいいので」
映像を見てみると、確かに腕で木の棒を巻き取るようにしています。この直後、クマの攻撃を受けました。
佐藤さん
「振りほどこうと思って上げた瞬間、クマを引き寄せられ、かじられたんですよ」
たたく動作は隙を生み、クマの接近を許すため避けた方がいいというのです。その経験と、クマは顔を狙ってくるという習性を踏まえ、突くことで距離を保てるクマ撃退ポールを開発。1400本ほど売れているといいます。
佐藤さん
「青森県警に175本。青森のホテルにクマが入った時に、機動隊員が(ポールを)持っていたんです」
「顔やられると重傷」
佐藤アナもポールの使い方を教わることに。
佐藤さん
「クマが走ってきて、立つので。ドーンと力強く突いて」
クマは攻撃の際、前脚を使おうと立ち上がります。その時に突いて距離を保てれば、攻撃を受けないで済むといいます。
佐藤さん
「あと引くと」
佐藤アナ
「引くのも大事なんですね」
佐藤さん
「クマがつかむので」
持ち運びしやすい短いサイズもあり、カスタムオーダーも可能だといいます。
定番クマ対策の死角
定番のクマ対策の死角も教えてもらいました。佐藤さん、熊鈴は2つ使うといいます。
佐藤さん
「振ったって鳴らないんですよ。1個だと全然鳴らないですよ」
1つだと無音の瞬間がありますが、2つだとぶつかって音が途切れにくくなります。そして、クマ対策で特に重要だというのが、狙ってくる顔を守るためのヘルメット。
佐藤さん
「顔やられると重傷になるんです」
もし、撃退ポールを持っていない状態でクマに会った場合、落ちている木の棒などで距離を取るのも有効だといいます。
佐藤教授
「突進してくるものを一回止める。立ち上がるタイミングをそらすという意味では、棒状のものを前に出して、機先を制するというのは有効だと思います」
他にも注目されているクマ対策グッズがあります。それが「音のバリアー」です。クマが嫌がる高周波を出す装置が開発されています。効果のある範囲は最大約200メートルということで、クマの接近を防ぐということです。実際に使われている例として、岐阜の白川郷がある白川村に今年設置されたということでした。
(2026年5月30日放送分より)
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