
山のように積み上がっているのは、すべて不法投棄された墓石です。大量の墓石をどうするのか。自治体が導き出した答えは…。
【画像】市が土地を買い取り対策へ “墓石の墓場”再利用法とは?
総量3000トンか お地蔵様まで
南あわじ市 商工観光課 秦伸行課長
「放置された墓石になります」
「(Q.これ墓石ですか?)すべてそうですね。この辺りと奥にもずっと広がっています」
「(Q.すごい高さ?)約4メートルは積みあがっています」
目の前に現れたのは、うずたかく積まれた墓石の山でした。ドローンを飛ばし現場を上空から見ると、その量の多さがよく分かります。
山の緑を遮るように積み重なる灰色の人工物。これはすべて墓石です。
南あわじ市によると、1500立方メートルもの体積の墓石がこの場所を埋め尽くしているということです。計算するとおよそ3000トンもの重さになるとみられます。
「足元にもありますし左手のほうにもずっと」
奥まで進んでも見えてくるのは墓石です。
「奥まで放棄されている状況」
周囲を埋め尽くす墓石の中には…。
「いろんな種類の墓石があります」
「(Q.これはお地蔵さまですか?)お地蔵さまも含まれています」
ここは兵庫県の淡路島。鳴門海峡から車で5分ほどの距離にあり、周囲には観光スポットもあります。
一体なぜ、人気観光地のすぐそばに大量の墓石が放置されているのでしょうか。
「石材業者が墓石を放棄。2005年ぐらいから日本各地の墓石が放棄された」
墓石はすべて不法投棄されたものでした。
南あわじ市の担当者によると、もともと民間の施設があったこの場所に2005年ごろから墓石が捨てられ始めたといいます。
不法投棄していたのは石材業者でした。石材業者は逮捕・起訴され、2008年に廃棄物処理法違反の罪で有罪判決が言い渡されています。
しかし業者はその後も撤去に応じず、行政も手が出せない状況に陥っていました。
「事業者が産業廃棄物処理法に基づいて処分するのが原則。行政は法律の壁もあり手が出しにくい」
観光地付近に“墓石の墓場”
墓石に悩まされているのは淡路島だけではありません。千葉県や岡山県でも墓石が不法投棄され、問題となっていました。
一体なぜ墓石の不法投棄が後を絶たないのでしょうか。
“墓じまい”の専門業者に話を聞くと、背景にあるのは「墓石の処理の難しさではないか」と話します。
“墓じまい”専門業者
美匠 中西あざみ社長
「正直なところ墓石の処理はかなりハードルが高い。墓石は天然石なので硬い。硬い石を砕くために機械の消費・摩耗が激しい。(処理を)請け負ってくれる処理場が全国的に少ない。なおかつ処理単価もかなり高額になっている」
さらに年を追うごとに墓じまいの依頼が増え、取り扱う業者が増えたことも要因となっていると分析します。
「我々のような業者がどんどん増えてきているので、価格競争で処分代の金額を下げて処分までできないような金額で請け負っているケースも」
南あわじ市でおよそ20年にわたり放置された墓石に、住民からは不安の声が上がっていました。
秦課長
「周辺は観光地でもあるのでマイナスイメージや、墓石の放置に便乗して、ごみの不法投棄が起きないか地元の人が心配している」
こうした声を受け、自治体が動きました。
「墓石の不法投棄と観光客の渋滞緩和、2つの課題解決を考えている」
再利用方法とは?
墓石の課題解決がオーバーツーリズム対策にもつながるといいます。南あわじ市が始めた画期的な解決法とは何なのでしょうか。
この事態に南あわじ市は一石二鳥の作戦で立ち向かいます。
墓石が不法投棄されたのは、鳴門大橋や記念館など近くに観光地が多い場所です。
去年秋に近くの道の駅がリニューアルされたこともあり、今後予想される渋滞を緩和するために新たに駐車場を整備することにしたのです。
「こちらに南あわじの観光センターが元々建っていた場所。今は取り壊して更地になっている」
市は去年、この土地を買い取り工事を始めています。
運搬するだけでも費用がかかる大量の墓石については…。
「墓石は細かく砕いて砕石として利用する。具体的には駐車場にある調整池の基盤材、盛り土材として使う。鎮魂の面も込めて使おうと考えている。昨今、建設資材が高騰しているのでコスト削減にもつながると考えている」
運搬費用をなくし、建築資材として再利用することで、駐車場の整備コストを削減するということです。市は2028年3月の完成を目指しています。
(2026年6月29日放送分より)
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