
7月に入り、各地で海開きや山開きが相次いでいます。富士山でも、山開きの後、初の週末を迎え、多くの登山客で賑わいました。その富士山では今年から新たに「3つの取り組み」がスタート。何がどう変わるのでしょうか。(7月4日OA「サタデーステーション」)
今年の富士山“3つの変化”とは 山開き後初の週末で混雑
報告・駒見直音アナウンサー
「富士山5合目にやってきました。開山して初めての週末を迎えるということで賑わっていますね。特に海外の方が多いように感じます」
静岡県側の須走ルートと山梨県側・吉田ルート。13年ぶりに2県同時開山となった富士山。弾丸登山やオーバーツーリズムなどの課題も残る中、サタデーステーションは今年から始まった3つの取り組みを取材しました。
新たな取り組み1「都心からの直行深夜バスで早朝登山が可能に」
一つ目のスタート地点は東京都内のバスターミナルでした。
報告・畑中彩里ディレクター
「3日午後11時半です。富士山へ向け、いま東京都内からバスが出発しました」
今年から山梨県のバス会社が都心から富士山5合目へ深夜の直行便を新設しました。
報告・手塚慶二朗ディレクター
「午前2時の富士山5合目です。バスが到着して降りた皆さんが続々と準備をしていらっしゃいます」
「早朝登山のニーズ」に対応するため新設された深夜の直行便には、「混雑緩和」の狙いもあります。日中は大混雑となっている5合目の入山手続きも、午前3時ごろは、すんなりと受付ができます。深夜の直行バスで5合目にやってきた齋藤さん。知人らと初めての富士登山に臨みます。
富士登山初挑戦の齋藤健司さん
「ちょっと(テンションが)高すぎて良くないですね」
午前3時、5合目のゲートが開き、齋藤さんらが富士山へと入っていきます。入山直後は真っ暗だった登山道も徐々に空が白み始め、富士山を包み込む雲海を朝焼けが縁取り、幻想的な光景が広がります。午前4時半ごろ、7合目にある山小屋にはご来光を待ちわびる人たちが。残念ながら雲に隠れてご来光とはいかず。
富士登山初挑戦の齋藤健司さん
「太陽自体は見えなかったですけど やっぱりすごい綺麗でした」
山頂を目指し、再び登り始めた齋藤さん。道もどんどん険しくなり息をきらしながら進んでいきます。そして午前10時ごろ、富士山・山頂に到着。直行バスで新宿を出発してから10時間ちょっとでの登頂となりました。
富士登山初挑戦の齋藤健司さん
「高所になるにつれて、酸素が薄くなり、なんかもう一歩歩くごとに体が重くなっていく感じっていうのがやっぱり辛かったですね、正直」
新たな取り組み2「医師“常駐”で救護体制を強化」
万が一の際の、富士山の救護体制も今年からより手厚くなりました。7合目にある救護所では。
アメリカ人登山客
「いくらですか?」
救護所スタッフ
「無料です」
アメリカから来た登山客は、雨で靴下が濡れた影響で靴擦れをおこしていました。
看護師
「濡れた靴下がそもそも良くないから、小屋に行ったらすぐ履き替えて欲しいって言って下さい」
富士山の吉田ルートには3か所の救護所がありますが、実は、去年まで大きな課題がありました。それは、1日あたり1件あるかないかという、運搬車両を使った救急搬送です。こうした救急搬送の決定には、医師の判断を要しますが、去年までは救護所に看護師しかいない日もあり、搬送までにタイムロスが生じていたといいます。
五合目救護所 稲葉真医師
「5合目に医師が滞在するのは初めてのことです」
今年からは、アクセスしやすい5合目に医師を配置するなどして、開山期間中は24時間、毎日医師と連絡がとれる体制を整えました。
五合目救護所 稲葉真医師
「まず山中で傷病者が発生した場合には、こちら5合目のセンターにまず連絡が入ります。別の場所にもしかしたら もっと本当に(搬送が)必要な人がいるかもしれない。5合目に情報集約させてそこに医師がいるのが、良い体制なんじゃないかなと」
報告・駒見直音アナウンサー
「こちらの外国の方はタンクトップ短パンで登ろうとしているのでしょうか」
「防寒具を買ってくるよう促されています」
5合目では、救急搬送そのものを減らす取り組みとして、去年から軽装の登山客は通行禁止にしています。
新たな取り組み3「噴火や落石に備え“新シェルター”」
26日、富士山のふもとに位置する山梨県・富士河口湖町で、震度6弱の揺れを観測。
本8合目の山小屋
「地方の人とかは(地震を)警戒してキャンセルがあった」
本8合目にある山小屋では、開山初日におよそ20人のキャンセルが出るなどの影響が出ました。山梨県富士山科学研究所は、富士山の火山活動について、「地震後も変化は見られず、すぐに噴火することはまずないと考えている」とする一方、「火山活動の変化については、気象庁など公的な機関からの情報を確認するようにしてほしい」と呼びかけています。富士山では、地震や噴火への対策も進められていました。
報告・内田吾郎ディレクター
「新しくできたシェルターです。最大135人収容することができ、奥行きがかなり広くなっています」
山梨県は噴火や落石などに備え、避難用シェルターを新たに2基増設しています。
ブルドーザー依存で原油高の影響も直撃
一方で、対応に苦慮しているのが、イラン情勢の影響などを背景とした物価高です。
8合目の山小屋
「やっぱり物資を上げるのにブルドーザーを使っているので」
山小屋への物資などを運ぶブルドーザーは、燃料となる軽油の価格高騰によって、運賃がこれまでの1.5倍に。先ほどの山小屋は、今年から宿泊料金を1000円値上げするなど、登山客への負担も増えるシーズンになりそうです。
