
今、世界中から観光客が押し寄せる「ニッポンの秘境」。世界を魅了するヒミツを追跡します。
「夢のような渓谷」世界が注目
ポーランドから来た人
「まさに秘境。こここそが本当の日本です」
スペインから来た人
「この秘境では素晴らしい発見の連続です」
今、なぜか外国人客が絶賛・殺到している「日本の秘境」が、徳島空港から車でおよそ2時間の所にある三好市「祖谷(いや)エリア」です。
1000メートル級の山々やエメラルドグリーンの川に囲まれ、雄大で神秘的な自然が広がる「日本三大秘境」の一つと呼ばれます。
フランスから来た人
「アメイジング!」
「とにかく自然が見たかったの。日本の田舎の中の田舎を探して、ここにたどり着いたの」
海外のSNSでは「まるで映画の世界」「夢のような渓谷」と、今、世界中が注目!フランスからやってきたカップルは、深い渓谷を行く川下りの絶景に圧倒されっぱなし。
フランスから来た人
「本当に緑が濃い気がするの。これぞ緑って感じ」
この秘境の玄関口が「大歩危(おおぼけ)駅」。四国の徳島市内からさらに1時間半以上かかる小さな駅にもかかわらず、常に多くの外国人の姿があります。
2年越しの目的地へ
スイスからやってきた夫婦、実は、かなりの日本好きです。
フランクさん(50)
「日本が大好きで12回来ています」
シティさん(43)
「去年ここの大自然が気に入って祖谷は2回目です」
「去年行けなかったとてもエキサイティングな場所に行きたいんです」
夫婦がどうしても行きたい、世界でもここにしかないという場所とは…。
シティさん
「くねくね道ですね。スイスにもあるんです。私たちスイスの郊外に住んでいて、風景が少し似ていますね」
曲がりくねった山道。この一帯は平家の落人伝説が残る隠れ里だったとされ、山には小さな天空の集落が点在するなど、日本の原風景を感じると外国人に人気です。
山道を行くこと20分。
タクシー運転手
「ここはとてもコワイ、コワイ。『スリリング』を日本語で『コワイ』と言います」
その「コワイ」というのが、2年越しの目的地「祖谷のかずら橋」。野生のカズラを編んで作られた長さ45メートルの吊り橋。国の重要有形民俗文化財です。
いざ「かずら橋」へ。水面からの高さは14メートル。
シティさん
「コワーイ!」
「複雑な構造なのね」
この橋には、源平の戦いで平家の落ち武者が追っ手から逃れる時に「いつでも切り落とせるように」と、植物を編んで作られたという言い伝えもあります。
途中、景色に釘付けになる2人。
フランクさん
「なんと絶景だ。きれいな川。美しい」
そして、写真でポーズ。素敵な写真ですが、ちょっと笑顔が引きつって…ます?
シティさん
「独特な揺れ方をするのね」
無事に渡りきれました。
フランクさん
「本当に美しい景色だった。でも僕は高所恐怖症だから、恐る恐るだったよ」
シティさん
「ちょっとコワイ…。ウソ!とってもコワイ!」
“おせっかい案内”も?
週末になると、住民ボランティアが盛大にお出迎え。84歳の名物おばちゃんがほら貝を吹いておもてなし。居合わせた外国人も、飛び入り参加しました。
ドイツから来た人
「超楽しかった」
ドイツから来た人
「こんなおもてなし、ドイツじゃ見たことないよ」
地元住民(84)
「(Q.世界と通じた?)通じた、通じた。なんでもいける。どこの人でもいける。いらっしゃい」
こちらは大歩危駅にある観光案内所です。
観光案内所スタッフ
「台風の影響で川下りは中止です。代わりに、レンタル自転車でサイクリングはいかがでしょうか?」
多くの外国人客の駆け込み寺になっています。
中国から来た人
「予定は変わったけど、彼女が良いアイデアをくれた。結果オーライだよ」
時には、スタッフが案内所から出て声をかける“おせっかい案内”も、おもてなしの一つです。
観光案内所スタッフ
「メイヘルプユー?どちらへ向かうんですか?」
アメリカから来た人
「ボケマート」
観光案内所スタッフ
「中には良い地元の食材がありますよ」
外国人が買い物をしたいと聞けば、店までご案内。地元の野菜やご当地食材が並ぶローカルスーパーに外国人も興味津々です。
アメリカから来た人
「この店すてき!地元の食べ物が好きなの。観光客向けじゃないところが、逆に完璧ね」
アメリカから来た家族が興味を持ったのが…これは?
観光案内所スタッフ
「これは『ぼけあげ』。普通の揚げはこれくらいですが、これはビッグサイズでしょう。豆腐を揚げています」
アメリカから来た人
「揚げてるですって?フライドトーフ?嘘でしょ?」
祖谷名物30センチを超える巨大油揚げ「ぼけあげ」。岩のように硬いという祖谷豆腐を揚げて作った、ふわっとカリッとがクセになるご当地グルメです。
アメリカから来た人
「明日の朝食にするってどう?OK!買うわ!」
一家の次の日の朝食の様子。しっかり、ぼけあげが並んでいました。タコス風など、いろんな食べ方を試してみたいといいます。
秘境の中の秘境 奥祖谷
この日出会ったのが、イギリスのロンドンからやってきた、エリザベスさん(74)と息子のサムエルさん(46)。親子は特別な思いで、この秘境にやってきました。
エリザベスさん
「見て、本当に絵のような緑ね」
2人が目指すのは、秘境の中の秘境と呼ばれる奥祖谷エリアです。
サムエルさん
「おぉ…まさに秘境」
エリザベスさん
「見て、サム!」
サムエルさん
「ビューティフル」
あの「かずら橋」から、さらに30キロ山を登った上流。手付かずの原生林が広がる中、そこにかかるのが二つの吊り橋「奥祖谷二重かずら橋」。秋の紅葉、冬の雪景色…今の季節は瑞々しい緑が鮮やかな秘境の隠れスポットです。
サムエルさんがサポートしながら、一歩一歩進んでいきます。すると…。
サムエルさん
「ちょっと景色を楽しむために立ち止まろう」
エリザベスさん
「アッハッハ、冗談でしょ?」
サムエルさん
「ワーオ!」
エリザベスさん
「絶景ね。美しい」
およそ800年前からこの場所にあるとされる植物で編まれた橋に、サムエルさんはいたく感動。
サムエルさん
「この頑丈さは驚きだ。この橋は僕の人生で一番だ。ロンドンのタワーブリッジも好きだけど」
エリザベスさん
「『ロンドンの橋は落ちる』って歌があるものね」
住民以上!350体のかかし
続いて2人が向かったのは、さらに山を登った平家の落人伝説のころから残るとされる住民わずか27人の天空の里です。
畑仕事をする何人もの村人。しかし、何か様子が…。そう、この村人たち、実は「かかし」です。
エリザベスさん
「みんな表情が違うのね」
サムエルさん
「かなりユニークだね」
ここは、「天空の村 かかしの里」。住民の10倍以上350体のかかしが村の至る所にあります。
サムエルさん
「この2人は人生を語り合っているんだね。哲学的なものを感じるよ。あの顔見て。たくさんのことを経験してきた顔だよ」
20年ほど前から集落の住民がにぎやかだったころの村を再現しようとかかしを作り始めたところ、SNSで広がり、「かかしの里」は世界から注目される「ミステリアスな村」になりました。
エリザベスさんが、ふと一体のかかしの前で立ち止まります。尺八を演奏するかかしですが…。
エリザベスさん
「私の夫は作曲家だったんです。昔、演奏を聴くため日本に来たことがあります。その時、夫の曲をオーケストラと尺八の奏者が奏でてくれました。いまだに忘れません」
実は今回の旅、50年連れ添った夫を亡くし落ち込む母親を元気づけたいと、息子のサムエルさんが企画。両親とも自然が好きで、2人の思い出の地・日本の秘境を選びました。
「一生忘れない」絶景
サムエルさん
「まあ、僕を信じて」
そんなサムエルさんが、最も母を連れて行きたい場所があるといいます。
リフトを使い上がること15分。さらにここからは徒歩で登ります。74歳のエリザベスさん、足元がおぼつかない様子です。
エリザベスさん
「私には歩くのが難しい」
すると、登山客が杖をプレゼントしてくれました。
杖を手に、息子と手を握りながら、山を登ります。サムエルさんは大都市・ロンドンから遠く離れた田舎の自然が、母を元気づけるはずといいます。そして…。
サムエルさん
「この景色を見るために来たんだ。本当に美しい景色だ」
「ずっと都心で暮らしていたら気分がめいってしまうからね」
それは、標高1955メートルの剣山。西日本で2番目の高さの日本百名山からの絶景です。
エリザベスさんも興奮気味…。
エリザベスさん
「木々たちをもし絵で描くとしたら、緑が足りない。描ききれない。だって緑が多すぎるの。種類が多すぎる」
サムエルさん
「母さんも喜んでくれると思ったんだ」
エリザベスさん
「この旅は一生忘れないわ」
“秘境の女神”降臨!?
舞台は再び「大歩危駅」。浮かない顔でホームにとどまる外国人女性。何かあったのでしょうか、観光案内所のスタッフが声をかけます。
スペインから来たサラさん(22)
「現金を下ろし忘れてしまって、電車代が足りなくて、どうしたらいいかもさっぱりで…途方に暮れていたんです」
実はこの駅の券売機は現金払いのみ。30分後に出発する高知行きの電車に乗れず困っていました。
観光案内所スタッフ
「キャッシュカードでお金を下ろして、午後3時42分の高知行きに乗ってもらう」
タクシーでATMがあるコンビニへ。スペインから一人旅でやってきたサラさん。現金がなくどうすればいいか不安になり、念願の秘境の旅を楽しめなかったといいます。
無事、現金を下ろせたよう。すると、タクシー運転手が近くの絶景スポットを案内することに。これぞ、秘境のおもてなし。サラさんも大興奮です!
“秘境の女神”、40年以上この地に住むドライバーさんおすすめの特別な絶景スポットへ向かいます。
道路沿いの小さな展望台に行くと、眼下に広がるのは深い渓谷とエメラルドグリーンの吉野川の大自然。さらに、家屋や国道、鉄道が走るという人の営みも感じる祖谷の魅力がギュッと詰まった絶景です。
サラさん
「最高の景色!えっと、日本語で…美しい!」
「この景色をずっと忘れない」
(2026年6月25日放送分より)
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