
報復の応酬が止まりません。アメリカ中央軍は、イランに対する追加攻撃を開始したと明らかにしました。アメリカ、イラン双方の思惑を専門家に聞きました。
きょうもアメリカ軍が攻撃
オマー・ヒメネス氏 米CNN
「アメリカによるイランへの新たな攻撃が行われています。アメリカ中央軍が先ほど、この短いメッセージを発表しました」
アメリカ中央軍が日本時間の13日に新たに公開した映像です。アメリカ中央軍によると、イランに対する「追加の攻撃」は日本時間の13日午前6時から始まりました。
戦闘機や海軍の艦艇、自爆型航空ドローンに加え、今回、初めて自爆型の海上ドローンも投入し、数十カ所の標的を攻撃したといいます。
そしてイランも、一連の攻撃への報復として、革命防衛隊がアメリカ軍の施設を標的にしたとする映像を公開しました。
アメリカとイランが交渉のために60日間停戦するとした「覚書」に署名したのは先月18日。しかし1カ月もたたずに、その停戦は崩れ落ちようとしています。
イラン「血の復讐」
今回の対立の激化は、先週から始まりました。ホルムズ海峡を通過しようとした商船3隻が攻撃を受けたとして7日、アメリカ軍がイランへの大規模な攻撃に踏み切ったのです。
その時点でトランプ大統領は。
「向こうが攻撃すれば、こちらもやる。同じやり方をするだけだ。だが戦争の再開はない。何が起きてもすぐに終わる」
ただ、日本時間13日朝の攻撃で、すでに4回目の攻撃です。
対するイラン。アメリカとイスラエルの空爆で殺害された前最高指導者ハメネイ師の葬儀を終え、11日、現在の最高指導者モジタバ師の声明を発表しました。
「これらの戦争でのすべての殉教者の尊い血の復讐(ふくしゅう)を卑劣な犯罪者たちに対して行うことを誓う。これは国民の意思であり、必ず行う」
そして12日、革命防衛隊は「許可されていない航路でホルムズ海峡を通過しようとした船に警告射撃を行った」と明らかにしたうえで、ホルムズ海峡の再封鎖を宣言しました。
なぜ対立が再び激化?
なぜ、対立が再び激化したのでしょうか。そこには覚書に記されたホルムズ海峡の開放を巡る認識の違いがあります。
慶應義塾大学大学院
田中浩一郎教授
「イラン側の主張は、イランがホルムズ海峡の通行の現状復帰について、努力するということ。なのでこれはイランが行うことであるとして、二次的にイランの支配権が認められているという見方をしています。なぜイランが船舶攻撃をしたかといえば、これがイランから見れば不審船だったからであり、警告を発したにもかかわらず、船舶の航行を止めなかったこと、これに端を発しています」
対するアメリカは、「ホルムズ海峡は国際水路であり、すべての船舶に開かれている」と主張しています。
「アメリカは、『覚書』の中にある正常化の環境をどのように見ているのか。2月28日にアメリカとイスラエルによる軍事攻撃が始まった以前の状態に自動的に戻るものだと理解」
ただ「覚書」には、そうは記されていません。
明海大学
小谷哲男教授
「ホルムズ海峡の問題は『覚書』によれば、イランとオマーンが話し合って決める。そこにアメリカが入るということにはなっていない。イランからすれば、アメリカと協議するべきではない。アメリカは実はオマーンと連携して、ホルムズ海峡の南側を通るルートを開放して、多くの商船が通れるようにして、“事実上イランがホルムズ海峡を管理することを認めない”姿勢を示しています。これがイランからすれば許せない」
両国の思惑は?
そもそも、アメリカとイスラエルによる攻撃が引き起こしたイランによるホルムズ海峡封鎖。再び駆け引きの焦点になっています。
慶應義塾大学大学院
田中教授
「これまでトランプ大統領は自分で言ったこともひっくり返している。信頼にたる大統領ではない以上、一番イランにとって保険になるのはホルムズ海峡を人質に取る。それを覚書の中でアメリカに認めさせたのが、イランの最大の武器になる」
原油価格は、対立が再び激化してから上昇に転じています。
明海大学 小谷教授
「原油価格の上昇は中間選挙を考えれば決してプラスにならない。どこかでイラン側と協議に戻りたい、アメリカの本音。そのためにはイランがホルムズ海峡を通る商船を絶対に攻撃しない確約が必要。それを引き出すために大規模攻撃をしている。ホルムズ海峡に関してアメリカとイランの立場は百八十度違う。立場の違いをどこまで仲介国が埋められるか、これが今後の焦点」
(2026年7月13日放送分より)
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