
離島では災害で船が止まると、必要な物資が届かなくなる問題を抱えています。物流が途絶えるリスクに備え、鹿児島県の離島で始まったのは、身近な牛乳を使った新たな防災の取り組みです。
スーパーは「ガラッとなってる」
鹿児島県の最南端に位置する与論島。透明な海と白い砂浜が広がる美しい島です。
先週、島を台風9号が襲いました。港には高波が押し寄せ、8日~13日まで船が寄港できていません。
5月には、観測史上初となる震度5強の地震が発生。体育館の天井の一部が崩落する被害がありました。
災害発生時には、建築物の被害のほかに、離島ならではの心配事があります。それは物資が届かなくなるリスクです。
船が立ち寄れないと、島のスーパーの品ぞろえに影響が出ます。
島民(70代)
「(スーパーに)置いてあるものは少ない。ガラッとなってる。台風のためにありませんとか」
取材したこの日も、悪天候で物資を載せた船が到着できませんでした。
スーパートップ
森保瑞己店長
「ここら辺の棚は(平時は)埋まっているので、それに比べたら、きょうは特に物が少ない」
3~4カ月の保存が可能
自然災害が相次ぐなか、急がれる物資が届かなくなった場合の備え。注目されているのが「ロングライフ牛乳」といわれる賞味期限の長い牛乳です。
日本テトラパック
上田晃司取締役副社長
「ロングライフ牛乳の特徴は、常温で長期保存が可能なため、冷蔵設備に依存せず備蓄することができる」
一般的な牛乳の賞味期限は冷蔵で1~2週間ほどですが、ロングライフ牛乳は常温で3~4カ月の保存が可能です。
その秘密は容器と製造方法にあります。気密性の高い6層構造の容器に、滅菌した牛乳を無菌状態で充てんすることで、保存料を使わず、長期保存を可能にしたのです。
こちらのスーパーでは、賞味期限を気にせず在庫を確保できるため、重宝しているといいます。
森保店長
「荷物が届かない時に、普通の牛乳ではなく、賞味期限が長い牛乳ですと、前もって長めに置いておける」
実証実験も
島内の学校給食でも使われているロングライフ牛乳。新たな取り組みも始まっています。
上田取締役副社長
「賞味期限の短いものから順番に学校給食で使用し、使った分を補充することで、常に一定量の備蓄を維持する、ローリングストックとして運用してまいります」
「ローリングストック」とは、日常的に使う食品などを多めに保管し、使った分を補充する備蓄方法です。
与論島では、給食で使う牛乳を消費しながら備蓄することで、災害時の食料確保と、給食を安定して続けられる体制づくりを同時に目指す実証実験を始めました。
牛乳には、たんぱく質やカルシウムなどが含まれているため、避難生活で不足しやすい栄養を補うこともできます。
離島で始まった新たな備え。今後、全国にも広がることが期待されています。
日本テトラパック
木下明彦さん
「ロングライフ牛乳のシェアは、非常に日本でもまだ小さい。認知も10%くらいしかないというような状態。いざという時に使っていただけるものが、こういう形で増えていけばなと思っています」
(2026年7月14日放送分より)
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