“新3K”掲げ「漁師を憧れに」 被災地の挑戦 1泊2日の漁業体験に若者

“新3K”掲げ「漁師を憧れに」 被災地の挑戦 1泊2日の漁業体験に若者
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 20日は「海の日」ですが、「漁師の日」でもあります。宮城県石巻市では、漁師を憧れの仕事へと変えようと挑戦を続ける人たちがいます。その活動を取材しました。

【画像】1泊2日のカキ養殖体験 実際に作業をする参加者たち

1泊2日のカキ養殖体験

 太平洋に面した宮城県石巻市。海の恵み豊かなこの町に、今、全国から若者たちが集まっています。

生徒
「海に関係する仕事に就けたらと参加しました」

運営
「ありがとうございます。栃木からわざわざ」

 この日、海を訪れていたのは自ら応募してきた大学生までの若者6人です。

カキ漁師
「結構重いんで、かなり重いんで。持ってあげます」

カキ漁師
「やらないと分からないんで、やってみましょう」

1泊2日のカキ養殖体験
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 6人は漁業の道を目指していて、1泊2日のカキ養殖体験を行います。

学生
「カキとか大好きで、どういうふうに養殖してるんだと気になってて。こういう大変な作業を通して養殖してるんだなっていう」

 仕事終わりは、漁師が住むシェアハウスへ。漁業だけでなく、漁師の暮らしも身をもって味わいます。

現場の漁師と語り合える
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漁師
「そういえば俺、漁師になりたかったんだなって。行っちゃう?脱サラ漁師やってみちゃう?って」

学生
「いいですね。私もやりたいことがなくて…」

 現場の漁師と語り合えるのも、この体験ならではです。

水産業全体の活性化めざす

 この「漁師体験」を企画しているのは、石巻市で結成された団体「フィッシャーマン・ジャパン」です。

フィッシャーマン・ジャパン
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 地元の若手漁師などが集まって結成され、高齢化や人手不足に悩む現場に若者を呼び込み、水産業全体の活性化を目指しています。

12万人にまで減少
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 開催の背景にあったのは、漁業者の減少です。統計が始まった1963年以降、漁業者の数は減り続けていて、2023年には、およそ5分の1となる12万人にまで減少しています。

 「漁師体験」の2日目も、早朝から始まります。

 雨にも負けず、朝早くから始まる漁師の一日。一見、地味に見える手作業も、おいしいカキづくりには欠かせません。

 慣れない力作業が続きますが…。

桃浦カキ漁師 長谷川礼旺さん(22)
「(Q.みなさんの働きぶりはどう?)みんなテキパキ頑張っていて、すごいいい」

 参加者たちに、2日間作業を教えてくれていた若手漁師。実は、彼もこの体験をきっかけに漁師になった1人です。

桃浦カキ漁師 長谷川礼旺さん
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「高校の時にフィッシャーマン・ジャパンの研修に行って、いろんなこと体験させてもらったりして。漁師というと『一本釣り』とかのイメージがあると思うんですけど、養殖業とかでもいろんな力作業やいろんな工程があるので、そこも魅力的だなと」

参加者から若手漁師へ

 参加する側だった長谷川さん。今では、若手漁師として魅力を伝える存在です。

若手漁師として魅力を伝える
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学生
「カキ養殖のやりがいは?」 

長谷川さん
「近くのスーパーとかに(カキを)出しているんで、そこに桃浦カキって出ていて、ちゃんとなくなっていたりすると、ちゃんとみんな買ってくれているんだなって」

 それぞれ海への思いを抱いて集まった参加者たち。2日間の体験で、思いは強まったようです。

生徒
「もっといろんな体験に行って、漁師について詳しく知りたいと思います」

学生
「カキのことについて、自分でできる限り最大限勉強して、今後自分のやりたいことに役立てていきたいと思います」

「新3K」で漁師を憧れに

 フィッシャーマン・ジャパンの活動の始まりは、15年前の“あのできごと”からでした。

フィッシャーマン・ジャパン 鈴木真悟理事
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フィッシャーマン・ジャパン 鈴木真悟理事
「震災の翌日に初めて(地元の)女川の状況を見て。本当に何もないというか、がれきだらけという形だったんで、衝撃でしたよね」 

 2011年。地震による津波で街は壊滅状態に。漁場の町はがれきの山になりました。

 鈴木さんは仕事を辞め、実家の銀鮭の漁師を継ぐと、若手不足で将来が危ぶまれる漁師の現状が見えてくるようになったといいます。

「新3K」という活動理念
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「(水産業は)『3K』と呼ばれる負のイメージがすごい強いんだなというところで、『きつい』『危険』『汚い』とか負のイメージばかりだったので、それをすべて逆転して、『かっこいい』『稼げる』『革新的』というところで、そういった企業理念を作ったところが団体としてのスタート」

 漁師という仕事を子どもにも胸を張って継がせられる仕事にしたい。そのために掲げているのが、「かっこいい」「稼げる」「革新的」の「新3K」という活動理念です。

被災地・石巻に移住し決意

 フィッシャーマン・テックは水産加工物の在庫管理を行うAIを使ったツールなどの開発も手掛けます。テクノロジーの力で、革新的な稼げる漁業を目指します。

「かっこよく稼ぎ続ける」ためには、海を守ることも欠かせません。カッパを着て海に出る準備をするのは、移住して2年目のフィッシャーマン・ジャパンの熊沢怜奈さん(24)です。

「きょうはウニの駆除というか移植。ウニがたまっている所とあまりいない所があって、満遍なくウニが広がって海藻が食べられたりとか身入りがよくなるようにする作業があって」

磯焼け対策
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 石巻の水産業のPRをメインに、海の砂漠化“磯焼けの対策”にも取り組んでいます。ウニが食べてしまう海藻を守りつつ、漁師たちが質の高いウニを出荷できるようサポート。安定した出荷と環境を守ることが並行して行われています。

 熊沢さんは、神奈川県の実家から移住してきました。以前は“肉派”だったといいますが、石巻での生活は…?

フィッシャーマン・ジャパン 熊沢怜奈さん
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「(Q.大変なこともある?)いや、ないですね。大変なこと?…生活で大変なこと?でもおいしいご飯が食べられてるし、衣食住に困っていないので」

 この日も、もらったウニを会社の仲間と囲みます。今では、すっかり海の幸のとりこになっていました。

 熊沢さんが入社したきっかけは、フィッシャーマン・ジャパンでの職業体験でした。しかし、応募したのは本人ではなく…。

「兄がいるんですけど、兄が勝手に私の履歴書というか、私の申し込みをしていて」

体験で目の当たりにした石巻の現状
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 思いがけず参加した体験で目の当たりにしたのは、“漁港で有名な石巻”とは思えない現状でした。

「競りを見させてもらったんです。魚市場の。魚が本当に並んでいなくて」

 入社2年目の熊沢さんは、宮城県石巻市の魚市場の現状を目の当たりにして、移住しました。

環境問題が身近に
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「海の環境がすごい悪くなっていて、全然水揚げされなくなったと聞いて、環境問題ってこんな身近に迫っているんだ、私が今おいしく食べているこの魚は、近い将来、本当に消えてしまうのかもと思った時に、何か自分の活動をしてみたい(と思った)」

 海を支えたいと思う若者は、少しずつ増えています。

鈴木理事
「国内の一次産業というものをもっと身近に感じてもらって、知ってもらえる活動というのがこれからも大切なんじゃないかと」

(2026年7月20日放送分より)

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