
各地で危険な暑さが続くなか、今年も「涼しい街」シリーズが始まります。第1弾は、都心から最短1時間でアクセスできる、森と海がもたらす「自然のエアコン」がある街です。
【画像】圧巻の光景!半島先端に3つの大きな岩がそびえる「三ツ石」
輝く海に絶品魚 伝統も
エメラルドグリーンに輝く海。そして、半島の先端に3つの大きな岩がそびえる姿は圧巻の光景。三方を海で囲まれ、神奈川県内で面積が2番目に小さい人口6300人ほどの真鶴町です。
猛暑を吹き飛ばすほどの涼しい風を浴びながら、真鶴半島を海から眺めることができる遊覧船は、まさに至福のひとときです。
多くの魚たちが泳ぐ、神秘的な水中世界。ライセンスを持つダイバーが自由に海を楽しむ「ファンダイビング」。神奈川県によると、ここ真鶴は「日本発祥の地」とも言われています。
ダイバーたちを魅了してやまない真鶴の海では、およそ200種類の魚が水揚げされ、東京・築地の市場では「真鶴から来る魚は間違いない」と言われるほどの逸品ぞろいです。
豊漁・無病息災を祈願する真鶴伝統の祭礼「貴船まつり」。日本三大船祭りの一つにも数えられ、国の「重要無形民俗文化財」に指定されています。
海風でエアコンいらず
全国初の酷暑日が出るなど各地で、命に関わる危険な暑さとなった21日、番組が真鶴町に向かいました。
午後2時ごろ、手元の温度計は28℃を示しています。太陽は照り付けていますが、風はさわやかです。東京の同じ時間帯と比べて、7℃以上の温度差がありました。
海からの風が心地良く、日陰に入るとさらに涼しい!海にサーモカメラを当ててみると、温度は23.7℃でした。
真鶴町は気象庁の観測地点がなく、公式の気温は分からないものの、街中には長袖を着ている人が目立ち、家の窓も至る所で開いています。
地元住民
「海風があるから、涼しさが違うと思うよ」
「ドアを開けっぱなしにしておくと、風がビューっと通るから。朝早かったから眠たいんだけど、寒さで目が覚めるとか」
「居間の方と私の部屋とか風が通るからさ、夕べだってさ、窓全開で」
「冬はね暖房入れたことない」
「そうなの?」
明け方に“寒くて起きる”
地元住民の自宅にお邪魔させてもらうと、玄関は網戸でした。
「風は通ります。涼しいでしょ」
リビングなど、家の至る所の窓が開いています。ドアカーテンは大きく揺れ、いかに風通しがいいかが分かります。
エアコンは設置されているものの、つけていません。
「クーラーは使わない」
「(Q.使っていないんですか?)使っていないですね」
「使わないね、ほとんど」
「扇風機もかけない。窓開けて寝ている」
そして、日課はというと…。
「ここへいつも座って、こうやって海を眺めています。それがほっとするというか、風が通るからね」
真鶴町観光協会 鈴木勝事務局長
「めったにエアコンをつけることもありませんし、(この前試しに)つけてみたが、外の方が寒くて慌てて消しました」
観光協会事務局長の鈴木さん。自宅ではエアコンのスイッチは入れずに、窓は網戸。家の中をサーモカメラを当ててみると、室内や庭は低い温度を示す青色が出現。25℃を示しています。
各地で命に関わる危険な暑さが続くなか、明け方になると“寒くて起きる”こともあるといいます。
「やっぱり風が涼しいですね」
自然と景観と涼しさを
涼しさを運んでくる理由は、真鶴町ならではの要因がありました。
三重大学大学院 立花義裕教授
「真鶴半島の周囲の海も急に深いんですよ。なので、よりそれも冷やす原因の一つですね」
真鶴は陸のすぐ近くに急な深い海があり、上の温かい海水と下の冷たい海水が循環しやすく海面温度が下がります。
さらに、半島が相模湾に突き出すような地形のため、海風の影響を受けやすいといいます。
「海に冷やされた空気が半島の狭い範囲に入ってくる。もしも半島が広かったら内陸と同じなので、そんなに冷えないんですけど、真鶴半島は狭いんですよ。なので、涼しいというわけです」
そして町をよく見てみると、高い建物がありません。
鈴木事務局長
「(高い)ビルが全くない町。ビルがないということはヒートアイランドにならないのと、ビルがない分、風が抜ける。あと自然が多いということで、必要以上に温度が上がらない町になっている」
1980年代後半、バブル期開発ラッシュの時代。リゾートマンション開発の波が真鶴町にも押し寄せてきました。
しかし、自然豊かな景観の「美」を守るため、30年以上前(1993年)に、町独自の「まちづくり条例」を制定。建築物の高さを「15m以下」に制限しました。
鈴木事務局長
「当時50件弱の具体的な(リゾート建設の)話が舞い込んできていましたので、(条例がなかったら)間違いなく海沿いはビルができていたと思います」
町の「美」を守る条例によって、涼しい海風が町へと“より通りやすくなっている”といいます。
もう一つの要因は巨大な森
そして、もう一つの要因は、相模湾に突き出した半島が覆われている巨大な森だといいます。
立花教授
「(高い)ビルがない分だけ木が多いので、より涼しいと。木から蒸発するんですよ、水分が。蒸発すると、その時冷えるんですよね」
“真鶴の宝”として、360年以上守られている首都圏最大級の「魚付き保安林」。魚付き保安林とは、海に土砂が流れ込むのを防ぎ、森が影を作ることで海水温の上昇を抑え、枯れ葉や虫が餌(えさ)を生み、魚のすみかを守る大切な森林です。
さかのぼること、およそ360年前。1661年、江戸時代初期。小田原藩により植林され、「御林」として藩や幕府が直轄で管理。その後も“神聖な場所”として漁師たちに守り継がれてきた森は、真鶴の海と漁業を支え続けています。
鈴木事務局長
「葉っぱが常に蒸気を発していて、全く暑くならない。自然のエアコン、森と海が常に気温より低い温度で海風を運んでくるという」
真鶴の豊かな「自然の恵み」と人の手による「美」を守るためのまちづくりが合わさり、涼しい風が“町に行き渡る好循環”が生まれていました。
良好アクセス 移住者も
御林が育くんだ真鶴の魚を味わえる海鮮料理。今が旬のアジフライは至高の一品です。
東京から真鶴に移住を検討 大学院生(23)
「学生のサークルで5年前に来てから、どっぷり真鶴にはまっちゃったので。定期的に(毎週)通い続けている。移住は考えています。絶対ここに住むのが夢なので」
都心とのアクセスの良さや自然環境に魅せられ、4年前に東京・自由が丘から移住してきた林由美さん(40代)。
「港の目の前でせっかくこの景色があるので、海の近くに住みたいっていうのが夢だった。沖縄を最初は探していたけど、離島だし、真鶴だったら都内との距離も近い。車で都内から1時間ちょっとで来られるというので、こんなにきれいな海ある?みたいな」
さらに先週、真鶴でキッチンカーをオープンし、川崎と真鶴で「二地域居住」を始めた熊谷大貴さん(31)。
「散歩してみて、すごいなって。海が近いのに、こんな自然もあるんだなって。そこで真鶴にはまっちゃって」
「すごい遠いわけでもない。電車だったら1時間半で都心にも行ける。すごい便利な所ではあります」
(2026年7月22日放送分より)
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