
アメリカ軍がイランに対して12日連続となる攻撃を開始しました。トランプ大統領はイランが核関連施設を建設しているとされる山間部を、まもなく徹底的に攻撃すると警告をしています。
イラン「目には目を」
トランプ大統領
「イランは多大な打撃を受けており、停戦合意を結びたいと考えている。彼らはまだ準備ができていないが、間もなく準備が整うだろう」
日本時間23日午前4時半すぎ、イランとの戦闘で戦死したアメリカ軍兵士の遺体帰還式典に登壇したトランプ大統領。
アメリカ中央軍は、12日連続となるイランへの攻撃を開始したと発表。
「我々にホルムズ海峡は必要ないが、イランに核兵器を持たせてはならないのでやっているまでだ」
トランプ氏が狙うのは、当初の狙いであるイランの核兵器の破壊。
一方、イランのアラグチ外相は…。
「我々の防衛方針は明確だ。すなわち『目には目を』である。インフラへの攻撃を含め我々に対するすべての攻撃は、強力かつ断固たる反撃を招くことになる」
山の地下に核関連施設か
タスニム通信が22日に公開した画像を見ると、クウェートにあるアメリカ軍基地の警戒レーダーをイランが攻撃。レーダーから黒煙が上がり、破壊されていることが分かります。
また、イラン軍報道官は「覚書署名後に約束が破られた後も戦略ミサイルの生産を一度も停止したことはない」と述べています。
一方、アメリカもイランへの攻撃を連日続けています。
イランとアメリカの応酬が激しさを増す中、トランプ大統領が言及した攻撃予告。
「あの一帯は恐らく近いうちに攻撃する。相手は何もできない。あの一帯を間もなく徹底的にたたく」
アメリカが攻撃を示唆しているのは、イラン中部に位置する「ピックアックス山」。
「つるはし」を意味する「ピックアックス」と名付けられた山は、広い荒野の中にあり、周囲は他の山々に囲まれ、建物はほとんどありません。
周囲だけでなく、山にも建物は見当たりませんが、なぜか道路が続いています。さらに近づいてみると、中腹にある道路の先に、何やら「穴のようなもの」があります。
6月に撮影された衛星写真を見てみると、さらに開発が進んだ様子が分かります。道路には数台のトラックが確認でき、その先に続く「穴のようなもの」があります。何かへの入り口なのでしょうか。
ウォール・ストリート・ジャーナルは、イランがこの山の地下に核関連施設を建設している可能性を報じています。
アメリカのシンクタンク「ISIS」の分析によると、構造物が置かれている場所から二股に分かれて伸びる道の先には、地下に通じる2組の入り口のような穴が存在します。その2組の穴に約50メートルの高低差があることから、地下に複数の階層がある可能性もあるといいます。
この「ピックアックス山」について、共同通信でイランのテヘラン支局長を務めた明治大学特任教授の杉田弘毅氏は、次のように話します。
「このピックアックス山についてはちょっと隠れた状態になっていて、よく分かっていないというのが現状で、言うなら“秘密の山”という感じですね」
「なんで今問題になっているかというと、ナタンズという、ウラン濃縮を行う重要な施設があるんですけども、(ピックアックス山は)そのナタンズのすぐ近くですね」
「本格的な戦争に逆戻り」
アメリカ ヘグセス国防長官
「イランの核開発の野望は完全に打ち砕かれた」
去年6月、アメリカはイラン中部のナタンズ、イスファハン、フォルドゥにある3つの核施設を攻撃しました。
その時に使用されたのは、地下貫通型爆弾「バンカーバスター」。全長約6メートル、重さは13トンを超えます。地下約61メートルの深さまで攻撃することができるといいます。
これは、米軍が公開したバンカーバスターの実験映像。核施設への攻撃に使われたものと同じ爆弾です。
上空から落下したバンカーバスターは地面に勢いよく突き刺さり、土の中へ。そのまま地下の施設に到達すると、激しく爆発。
炎は地上ではなくトンネル出口から噴き出していて、目標の地下施設を攻撃、破壊する能力があることが分かります。
去年6月の攻撃では、地下90メートルにあるフォルドゥの核施設を破壊するために、12発のバンカーバスターを撃ち込みました。
杉田氏
「今回のピックアックス山(の核施設)については、地下100メートルぐらいのところにあるというふうに言われています。現状のアメリカ軍の持っているバンカーバスターで、どの程度攻撃ができるのかっていうのはちょっと疑問視されている」
「ですので、この攻撃がどれくらいの効果を上げるかというよりも、やっぱりアメリカがイランの核行動、核開発行動を許さないんだと。徹底して潰しますというような意図の表明としての攻撃になるのでは」
イギリスメディアによると、ピックアックス山の核施設は、ウラン濃縮用の遠心分離機の組み立て施設の名目で、2020年から開発が始まりました。
ウォール・ストリート・ジャーナルは、去年6月の攻撃では、ピックアックス山の核施設は未完成であったため、標的にならなかったと報じています。
ではなぜ今回、トランプ大統領はピックアックス山を攻撃対象にしたのでしょうか?
記者
「イランが核の遠心分離機をピックアックス山に移したと思いますか?」
トランプ大統領
「そうかもしれないが、我々には記録がない」
杉田氏
「ナタンズが去年の6月に攻撃を受けるわけですけども、結局そこにあるウラン濃縮の機械ですけども、ピックアックス山の地下の施設に移したという情報がイスラエルからもたらされていまして。それでトランプ大統領としては、そこは攻撃しなくちゃいけないという判断になっているのだと思います」
一方、イラン側は「この場所での核開発は実施されていない」と主張しました。
そして「核開発活動が実施されていないピックアックス山に、アメリカが固執する行為は破壊と侵略のための口実に過ぎない」と非難しました。
そのうえで、攻撃を受けた場合、アメリカや同盟国は強力な報復攻撃の標的になるだろうと警告しています。
杉田氏
「イランにいかなる核活動も平和利用であろうとも、なんであろうとも、イランに核活動・原子力活動を認めないということが明確になるので。イランとしては、アメリカとの交渉というのは何のためにしているのか分からないという思いを強めると思いますので。また本格的な戦争に逆戻りするという可能性がある」
紅海ルートも…原油供給は
一方、中東のイエメンでは、親イラン武装組織フーシ派が攻撃の姿勢を強めています。
フーシ派報道官
ヤヒヤ・サリー氏
「イエメン軍は『包囲には包囲で応じる』という原則に基づき、犯罪的なサウジアラビアに対する海上航行の禁止を宣言する」
ホルムズ海峡の通航が制約を受けるなか、原油などを輸送する代替ルートとなっている「バブエルマンデブ海峡」。フーシ派は、そこを通る船舶へのミサイルによる攻撃準備を完了しているといいます。
ロイター通信は、サウジアラビアを出発し、中国とインドへ向かった石油タンカー2隻は、紅海南部のバブエルマンデブ海峡ではなく、スエズ運河に向かったと伝えています。
また、フーシ派の報道官が声明を発表。発令した海峡封鎖の決定に違反したとして、サウジアラビア船籍の石油タンカー2隻に対し、複数のミサイルやドローンによる特別軍事作戦を実施したとしています。
こうした状況を背景に、WTI原油先物価格は一時、1バレル88ドルに上昇。懸念が高まっています。
フーシ派について、トランプ大統領は次のように述べました。
「様子見だ。今のところ何も起きていない。何か起きれば対処する」
(2026年7月23日放送分より)
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