熊本地震の発生から時間が経過する中で、被災地では激しい余震が続くとともに深刻な被害の全容が明らかになりつつある。
防災と危機管理のシンクタンクである防災システム研究所で50年以上にわたり国内外の災害現地調査を行ってきた山村武彦氏が、今回の地震被害における特徴や被災者が直面しているリスク、そして被災地外から行える適切な支援のあり方について解説した。
山村氏は今回の地震について、激しい揺れによる直接的な損壊にとどまらず、広範囲で非常に多様な被害が発生している点を指摘する。工場や大型商業施設での事故をはじめ、地震発生から約1時間半後に起きたガス爆発など、地震によって誘発された二次的な被害が目立つ。さらに、過去の地震と比較しても今回は「猛暑」という環境下で発生したため、猛暑そのものがもう一つの災害としてのしかかり、大規模地震と猛暑が重なった「複合災害」となっていることが最大の特徴であると分析した。
大きな被害が出たイオンモール熊本では、地震発生当時に約3000人の利用者がいたが、発生から約30分でほとんどの人が避難を完了した。この点について山村氏は、10年前の地震の後、耐震補強や耐震化を進め、地域の防災拠点としての設備投資、徹底した防災マニュアルに基づくスタッフの訓練の結果であり、評価できると述べた。広大な敷地内には子どもや高齢者、トイレ等にいてすぐ動けない人も含まれていたが、整理して安全に避難させた実績は防災訓練の努力の結果である。ただし、その後に取り残された従業員に被害が出た点については課題として残り、今後の検証が必要とされる。
被災地でいま最も警戒すべき点として、山村氏は断水や停電による熱中症のリスクと健康管理を挙げる。熊本市内などでは連日の猛暑日が続き、週明けには気温が39度や40度に迫る厳しい暑さが予想されている。停電でエアコンが使えず、断水によって調理やトイレの利用も困難な中、熱中症は命に関わる重大な問題だという。避難生活を送る人々に対し、木陰などの涼しい場所を利用したり、一時的に車内で涼をとったりしながら、こまめな水分補給を行うよう呼びかけた。特に高齢者など自力での環境調整が難しい人に対しては、近所同士や若い世代からの積極的な声掛けと助け合いをしてほしいと述べた。
また、頻繁な余震への不安から車中泊を選択する避難者が多い現状に対し、在宅避難者も含めた適切な把握と必要な支援が行政の課題となっている。山村氏によると、熊本地震の教訓をもとに自治体によっては大型駐車場や公的施設などを「車中泊避難所」として指定し、防災備蓄倉庫やトイレを整備している場合がある。現地では指定駐車場に設置されたQRコードからスマホ等で車中泊避難者としての登録を行うことで、支援物資やケアを受けられる仕組みも導入されている。自治体や一部施設を開放している民間事業所、夜間に場所を提供している病院などの最新情報を確認し、我慢せずに安全で涼しい避難場所を選択することが重要となる。
この際、被災地に直接いない遠方の家族や知り合いによるサポートも有効な防災活動となる。高齢者やネット環境のない被災者に代わり、遠方の身内が自治体ホームページで車中泊避難所や給水所などの情報を調べて伝えてあげることが、現地の命を守る大きな助けとなる。
一方で、被災地外からの支援については注意が必要であると山村氏は警告する。被災地を助けたい一心で個人が自家用車で現地へ駆けつけると、道路の大渋滞を引き起こして緊急車両や物資の輸送を妨害してしまう恐れがある。また、個人からの物資送付も、現地での仕分けや整理に膨大な労力が割かれ「第二の災害」に繋がりかねない。災害ボランティアセンターも立ち上がりつつあるが、初期段階では専門的なスキルを持つ団体や地元の要望に応えられる組織が優先されるため、個人での現地入りや物資送付を今は控えるのが大事だという。
現段階で被災地外から最も効果的に貢献できる支援策として、山村氏はインターネット募金、ふるさと納税、クラウドファンディングなどを通じた「義援金の送付」を挙げる。時間の経過とともに復旧フェーズが進めば、がれき撤去など一般ボランティアが必要とされる段階に入るため、社会福祉協議会のホームページなどで最新の受入状況を確認しながら、冷静かつ適切な順番で支援を行っていくことが求められている。
(ニュース企画/ABEMA)

