
近年、宗教法人格を不正に取得し、脱税やマネーロンダリングなどの犯罪に利用するケースが問題になっています。
【画像】「脱税やマネロンの恐れ」文化庁が警告する実際のHP画面
「寺売らないか」住職に打診
天明寺 鈴木辨望住職
「こういう話があるよっていうのは、声をかけられたことあります。お寺って売れるんだっていうのが、正直な印象で」
こう話すのは、売り手と買い手を結ぶブローカーに「寺を売らないか」と声をかけられたことがあるという、寺の住職です。
「ただもう頻繁にメールで、お寺を売りませんかみたいな形のメールが結構来ます」
「(Q.どれくらいの頻度で?)1カ月に一度くらいは流れてくる」
宗教法人を売る側には、どのような理由があるのでしょうか。
「結局、今は墓じまいとか、寺離れという状況が続いているので、経営として立ち行かない寺というのがかなりあって。表向きは寺として運営しているように見えても、中身がやはり、お寺というのは経営状況があまりよくないので、そういうところに入り込んでくる方というのがいます」
他にも、後継者問題や檀家(だんか)の減少などが原因で寺を手放さざるを得ない人も多いといいます。
一方、買い手には、経営が難しくなった宗教法人を立て直し、引き継いでいきたいという意欲のある人などがいるといいます。
ただ、問題なのはその宗教法人を悪用しようとする不届き者がいることです。
文化庁のホームページには、宗教法人売買に対する注意喚起が掲載されています。そこには、「脱税やマネーロンダリング等の違法行為に利用される恐れ」と記載されていました。
脱税&マネロン悪用目的も
実際に売買を仲介する男性はこう証言します。
宗教法人の売買を仲介 山本隆雄氏
「脱税というか節税ですね。その類の人とあとは相続に使いたい人ね。相続税かからない。宗教法人の場合は」
男性は、宗教法人を悪用するような買い手には一切売ったことはないと話します。
「開口一番7600万円マネーロンダリングせなあかんねんって来はって、そんなん売れないですやん、ほんまにね。こんな人売ったらあかんわと思ったらお断りしますね、こちらから」
脱税以外にも、こんな目的もあるといいます。
「霊園とか納骨堂とか宗教法人でないとできないビジネスをしたいっていうのです」
ビジネス目的として宗教法人を買いたい理由は、一体何なのでしょうか。
寺の住職は、宗教法人の肩書だけを使用した「偽僧侶ビジネス」が存在していると指摘します。
鈴木住職
「例えば私、天明寺みたいなお寺の弟子を養成して、私的にお坊さんを作るわけですよ。そういう方たちが、市場に広まっていくことで、勝手に僧侶として名乗って、ビジネスをやっているという方もいる」
国も問題視
こうした事態を国も問題視しています。
先月31日、活動実態のない宗教法人の不正利用防止を議論する、文化庁の2回目の検討会議が開かれました。
「宗教法人の売買」自体は違法ではありませんが、文化庁は、原則、売買を認めていないといいます。
文化庁担当者
「我々は宗教法人格を売買するという行為については、まったくウェルカムではないので、1件でもあればそれはよろしくないと思っている。やはりそういうのがあるということ自体を、問題意識を持って取り組んでいきたいと思っている」
文化庁によると、昨年末の時点で、活動実態のない宗教法人は5286件確認されたといいます。
文化庁は、都道府県や警察などとの情報共有を強化していく方針で、年内をめどに宗教法人の不正利用を判断するための基準を示すガイドラインを策定するとしています。
寺の住職は、宗教法人を受け継ぐ側には、地域の信仰を担ってきた長い歴史と思いを背負っていく覚悟が必要だと訴えます。
鈴木住職
「寺を残すことをするのであれば、寺は残されるので、それはそれでいいかなと思うんですよね。ただ、その心がどこまであるかということですよね。だからその人(買い手)が完全に金もうけで入ってきたのであれば、寺を使った金もうけにしかならなくなってしまう。その罰当たりというところを、どこまで認識しているかですよね」
(2026年8月1日放送分より)
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