
熊本地震の発生から11日目。多くの人が今も避難所などで、非常に厳しい日々を過ごしています。こうした状況で、ヘリコプターなどを活用して即座に被災地に駆けつけ、さまざまな現場で活動を続ける「空飛ぶ捜索医療団」を取材しました。
【画像】ベネズエラ地震や能登半島地震でも 国内外の被災地で活動する“ARROWS”
「1秒でも早く」被災地へ
先月28日、地震発生からわずか1時間後にヘリコプターで現場に向かったのが、民間の災害支援団体、空飛ぶ捜索医療団「ARROWS(アローズ)」です。
医師・プロジェクトリーダー 稲葉基高さん
「(現地の)情報がよく分からないけど、待ってからじゃ遅いので、とにかく現場を目指そうということで」
ロジスティクスマネージャー 田邊圭さん
「今の状態では何ができるか分からないですけど、まずとにかく現場に行く」
プロジェクトリーダーで医師の稲葉さんをはじめ、看護師、レスキュー隊員、さらに災害救助犬チームなど12人。
「1秒でも早く」被災地に駆けつけるため、本部のある広島からヘリコプターと車ですぐに出発。地震発生から9時間半後の午前2時には、爆発事故が起きたイオンモール熊本に到着しました。
医師の稲葉さんは警察や消防と連携し、がれきの中に取り残された要救助者の状態確認を担当。建物の中に入ります。数十分後…。
「消防が安全を確認できた所まで我々は行って、要救助者を確認したんですけど、残念ながら…」
救助隊は全力を尽くしましたが、救助された人は死亡が確認されました。
「まだまだみんな諦めていないので。医療が必要な人がいれば、お手伝いできる」
避難所に物資 専門隊員が
ARROWSが向かったのは、救助活動の現場だけではありません。避難所となっている氷川町公民館では…。
調整員 夫津木廣大さん
「基本的には雑魚寝の状態。ちゃんとしたベッドで落ち着いて、横になれる場所がないのも懸念」
避難所の職員に聞き取りをすると、水やベッドが不足していることが判明。ホームセンターで買い占めにならないよう配慮しながら購入します。
そして、物資を届けるだけでなく、ベッドの組み立て作業も行います。
避難所の職員
「めっちゃ役に立ちました。特に水分系は皆さん飲まれるので。アクエリ(スポーツドリンク)がいきました」
「職員がバタバタしながら動いて汗をかくから、塩分補給とか水分補給をする時間がなくて、だいぶ助かりました」
「機動力」生かし世界へ
空飛ぶ捜索医療団「ARROWS」は、認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパンが運営する民間の災害支援チームです。
これまでにも、国内外の大規模な地震や豪雨、山火事などの被災地で活動を行ってきました。
最前線で医療活動にあたってきた稲葉さんはこう話します。
「私自身も6月末からベネズエラに行って、帰ってきてすぐに熊本地震への対応ということで、チームが本当に行ったり来たりはしているんですけども。今、本当にチーム一丸となって、特に八代とか氷川とか、そういう所の支援に注力しているということです」
ARROWSのメンバーには医師や看護師のほか、レスキュー隊員や物資輸送の専門家が在籍。その多くがフルタイムのスタッフのため迅速な支援が可能で、世界中の被災地に駆けつけ、さまざまな活動を行っています。
普段は他の被災地で長期的な支援活動にあたったり、災害医療支援船を使った大規模な訓練なども行ったりしています。
こうした経験を生かし、能登半島地震では大規模な物資輸送。その後の豪雨では、孤立地域からの住民搬送なども行いました。
「我々が目指しているところは、待つ時間をできるだけ短くする。それは我々自身も待たない姿勢ですし、待たないことが被災された方を待たせないということにつながると思う。そこをやっていきたいというのが、一つの大きなチームの目的です」
プールの水で風呂開設
地震発生から4日目には、氷川町の避難所に仮設の風呂を設置しました。
国内事業部 次長 橋本笙子さん
「お風呂は完全循環で、プールの水を入れている。それをこれで浄水して、おしっこも飲み水になる性能の浄水器」
断水で汗も流せない被災者のために、浄水装置の開発を行っている高知県のベンチャー企業と連携し、中学校のプールの水を利用した風呂を開設しました。
男性
「気持ちいい、広い風呂は。地震があってから、ゆっくり浴槽につかるのは初めて」
利用者からは安堵(あんど)の表情がこぼれます。しかし、6日に訪れると…。
ARROWSの関連団体スタッフ
「暑さで機械とかも炎天下でやっているで、不具合が起きたりとか、どうしても起きてしまう」
機材トラブルで、午前10時から予定していた入浴は一時中止となりました。
女性
「ずっと避難所生活で、お風呂もゆっくり入れないので、この時間ならすいているかなと。残念です」
そして午後2時、風呂が復旧。早速入浴した男性はこう話します。
「やっぱりお風呂が一番ですね。暑いので、汗を何回もかくし」
365日24時間 災害に備え
支援活動を行っているARROWSの橋本さんはこう話します。
「24年の1月から能登半島の珠洲にいますので、今回珠洲から来ました」
「その(能登半島地震の)時に、お風呂の存在すごく大きかった。ほっとできる空間と時間というところが。今回この暑さの中で、これは一日でも早く。このようなお風呂をゆっくりできる空間、時間を早くとお届けしないといけない」
地震発生の直後に氷川町入りし、支援活動を開始した橋本さん。ARROWSの特長についてこう語ります。
「スピードとスケールだと思っています。私たちは『1秒でも早く』『一人でも多く』を目標にして最初入っています」
「発災して40分以内に本部を立ち上げて、日本国内の場合には3時間以内に出発すること、現地で12時間から24時間以内に活動するということを考えて、いろいろ準備している」
「言うなれば365日24時間こういう災害に備えて、訓練や日頃の準備をして現場に出るようにしている」
(2026年8月7日放送分より)
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