
ICC=国際刑事裁判所は19日、アメリカのトランプ政権が赤根智子所長ら2人を制裁対象に指定したことについて「いかなる圧力にも屈しない」とする声明文を発表しました。(パリ支局・辻村周次郎)
【画像】ICCが声明発表「いかなる圧力にも屈しない」 米政府が赤根所長ら制裁対象
今回新たにアメリカのトランプ政権が制裁対象と発表したのは日本人で初めてICCのトップを務める赤根智子所長ら2人です。
トランプ政権は、ICCがイスラエルのネタニヤフ首相に逮捕状を出したことや、アメリカ兵の戦争犯罪を捜査したことなどに反発し、 圧力を強めていました。
ルビオ国務長官は18日の声明で、ICCについて「腐敗し、悪意を持って権限を乱用している」としたうえで「国家の主権に対する攻撃を容認しない」と主張。さらに、「必要に応じて追加の措置を講じ、ICCを解体する用意がある」とけん制しました。
これに対し、ICCは19日、声明文を発表し、「任務を遂行する司法関係者が脅かされれば、国際法秩序そのものが危険に晒される」と強く反発しました。
ICCが反発 19日に発表した声明の内容は(全文)
アメリカ政府が国際刑事裁判所(ICC)所長である赤根智子裁判官(日本)および主任検察官のアブドゥライ・セエ氏(セネガル)に対し、新たに制裁措置を発表したことに、ICCは強い遺憾の意を表明します。
これらの制裁は、世界各地の締約国から委任された任務を遂行する公正かつ独立した司法機関に対する明白な攻撃です。
今回の指定により、ICCの裁判官18人中9人、副検察官2人、元検察官1人、及び事務局職員1人が現在アメリカ政府の制裁対象となっています。
締約国から託された任務の遂行に尽力する裁判官、検察官、職員を標的とするこれらの措置は、「法の支配」に反するものです。
法を適用したという理由で司法関係者が脅かされるならば、国際法秩序そのものが危険に晒されます。
こうした圧力や強制措置は、あらゆる救済手段がなくなった末に国際刑事裁判所を頼る被害者たちが、正当な裁きを受ける機会をも脅かすことになります。
これまでも表明してきた通り、国際刑事裁判所が圧力に屈することはありません。職員および筆舌に尽くしがたい暴虐の被害者に対し、揺るぎない支援を提供し続けます。
ローマ規程を厳格に遵守し、国際犯罪の被害者の利益のため、偏りなく完全に独立した形で今後も任務を完遂し続けてまいります。
ICCは、締約国、市民社会、そして「法の支配」と国際犯罪の被害者のための正義を支持するすべての方々から寄せられた連帯の表明に深く感謝いたします。
国際刑事裁判所は、すべてのパートナーや締約国からの力強い支援のもと、今後も実効的かつ独立して任務を果たせるよう、その使命を全うしてまいります。
EU=ヨーロッパ連合のフォンデアライエン委員長は19日、自身のSNSでICCへの支持を表明。「ICCは、世界で最も凶悪な犯罪の被害者に対して、公正な判決を下す役割を担っています。この重要な任務を遂行するためには、裁判官や職員が外部からの圧力に左右されることなく、独立して行動できることが不可欠です」とコメントしています。
ICC所長就任時「地位や国力への考慮は一切ない」
赤根所長は2024年3月、日本人で初めて国際刑事裁判所のトップに就任しました。日本の検察官出身で、ウクライナから子どもを連れ去った疑いで、2023年3月にロシアのプーチン大統領に逮捕状を出したICCの裁判官3人のうちの1人です。反発したロシア政府からは逆に指名手配されています。
赤根所長は就任直後のANNのインタビューで、逮捕状を出したことに対し、「地位や国力への考慮は一切ない」と強調していました。
「常に、市民に対する攻撃、特に子どもや女性に対する攻撃に注視しています。中立に、刑事司法の立場から、市民、市民社会に対する大きな被害に対して立ち向かいます」
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