
ドローン戦術を推し進め、国民から英雄と称されている、ウクライナのフェドロフ前国防相。大統領の側近として信頼も厚かったのですが、就任わずか半年で突然、国防相を解任されました。すると、フェドロフ氏はゼレンスキー氏に対し、反旗を翻す発言を繰り返すように。今、ウクライナで何が起きているのでしょうか。
【画像】“ドローン戦の英雄”大統領の元側近が反旗…“電撃解任”に大規模抗議も ウクライナ
ゼレンスキー政権に対立と混乱

首都キーウでは、ロシア軍による連日の攻撃が命を奪い続けています。全面侵攻から4年半。ゼレンスキー大統領はまた別の試練に直面しています。
ウクライナ フェドロフ前国防相
「我々は根本的な問いに答えなければならない。戦争が何年も続く場合、国家はどう機能すべきか」

こう問いかけたのはフェドロフ前国防相。先月まで政権の一員としてゼレンスキー大統領を支えてきた人物です。大統領選の実施を訴えました。

ウクライナ フェドロフ前国防相
「ウクライナは戦時下でも民主主義国家であり続けることができる。選挙とは単なる投票だけではなく、政府が国民に信を問うものだ。民主主義はロシアの人質にされてはいけない。我々は自由な欧州国家であり続けるために戦っている」
“電撃解任”に大規模抗議
ウクライナ フェドロフ前国防相
「大統領の側近の中でも、私は最も彼を高く評価しており、失望させたことはありません。地位のために国防相を望んでいるのではなく、戦争に勝つためにその地位が必要なのです」

解任には市民から反対の声が。復帰を求め、大規模な抗議活動を展開しました。大きなうねりとなるほど支持されてきた人物です。

デモ参加者
「解任抗議デモ初日から参加しました。尊敬する知り合いの軍人も高く評価しています」
戦況の“潮目”変えた立役者

2019年に行われたウクライナの大統領選。ゼレンスキー陣営でデジタル選挙運動を統括したのがフェドロフ氏でした。
ゼレンスキー陣営 デジタルチーム責任者(当時)フェドロフ氏
「事務所・看板・チラシなど、彼は典型的なものに反対でした。残されたものはインターネット空間でした」

政権が発足するとデジタル変革相に就任します。ロシアの全面侵攻で、国家のデジタル化というミッションは大きく変わることになりました。攻撃で通信障害に見舞われたウクライナ。その苦境を救ったのは衛星通信サービスの『スターリンク』です。スターリンクを手掛けるイーロン・マスク氏に直談判したのがフェドロフ氏でした。

ウクライナ フェドロフデジタル変革相(当時)
「戦争中に衛星通信が使えることに感謝します。今後もスペースX社と交流し、軍人も民間人もスターリンクを受け取れるように全力を尽くします。勝利のために、ウクライナに栄光あれ」
ウクライナが戦場で持ちこたえる原動力となったドローンを、開戦初期から推し進めてきたのもフェドロフ氏です。そして今年1月、国防相に就任。ロシア国内への長距離ドローン戦術を展開し、戦況の潮目を変える立役者となりました。ところが、就任からわずか半年でゼレンスキー大統領が解任。理由は軍総司令官との対立とされていますが、国民的な人気を警戒したとの見立てもあります。

ウクライナ ゼレンスキー大統領
「団結を強く望むが、両者はそれを見いだせていない。軍と国防省は連携して活動すべきだ」
“戦時下の選挙”めぐり紛糾

元側近から翻された反旗。フェドロフ氏が求める大統領選が仮に今行われ、2人の間で決選投票になれば、フェドロフ氏が勝利するとの世論調査もあります。(フェドロフ氏63.8%、ゼレンスキー氏36.2%(SOCIS・6日))
ただ、ロシアの攻撃は今なお続き、国土の一部は占領されたままです。「選挙は戦争終結後に実施すべき」との声は57%(KIIS・5日)と、減少しているものの、依然多数を占めています。フェドロフ氏解任に抗議する人たちからも「今、選挙を行うのは難しい」との声が上がります。

デモ参加者
「前線に近い地域で選挙は難しいと思います。選挙は行われないでしょう。ゼレンスキー氏には辞任してほしい」
政権に厳しい声が広がっているのも全面侵攻から4年半の現実です。

デモ参加者
「戦争がいつ終わるのは分かりません。現実から離れつつある政府を刷新しなければいけない」
