
客からの迷惑行為「カスタマーハラスメント」から従業員を守る対策の義務化まで、あと1カ月になりました。カスタマーハラスメントの実態、そして対策を取材しました。
【画像】カスハラ対応特化「安心対応サポート室」スタッフは区が委託した防犯会社に勤める元警察官
カスハラは「ほぼ毎日」
乗客
「生意気」
「俺は頭にきてんだって言ってんの」
埼玉のタクシー会社の車内カメラが捉えたカスタマーハラスメント「カスハラ」の一部始終です。
時刻は午前1時半すぎ。乗客の男性2人は、酒に酔った状態でした。
同乗者
「やめとけ、やめとけ」
目的地に到着するも、タクシーから降りようとせず、何度も決済画面をたたく男性。もう一人の男性が止めに入るも…。
同乗者
「それをやるなって言ってんの」
運転手
「こういうのされちゃうと」
暴れる男性は一向に車から降りず、もう一人の男性は、その場からいなくなってしまいました。
運転手は会社へ報告。「交番へ向かう」と伝えると…。
運転手
「中に足を入れていただいて、よろしいですか?」
「扉、閉めますね」
「扉閉めないと動けないので」
扉を閉めようとすると、足や手を使って拒否。さらに…。
乗客
「生意気だな」
運転手
「仕事できなくなっちゃいますよ」
乗客
「殴るの、いくら?お前、生意気だから1発殴らせろ」
運転手
「ドライブレコーダーにも映ってるので、やめたほうが良いですよ」
停車してからおよそ30分。男性は運転手につかみかかります。
同乗者
「これやめて、これやめて。絶対やめて、絶対放して。ダメダメ。これはマジでやめて」
戻ってきたもう一人の男性が間に入り、謝罪しました。
カスハラの一部始終を車内カメラで捉えた埼玉のタクシー会社では、カスハラは日常的だと話します。
埼玉のタクシー会社 現場管理者
「『お前』『てめぇ』は当たり前。『ぶっ飛ばすぞ』とか、平気で言う方もいる。最近多いのは『会社に報告してやるぞ』『お前、辞めさせてやるからな』と。社員であることに付け込んで、乗務員を追い詰めようとしてくるお客さんも多い。乗務員さんのほうで我慢してしまってることも含めると、ほぼ毎日起こってる。大小あると思いますけど」
45分間正座させられたことも
「カスハラ」は訪問看護の現場でも起こっています。
利用者の体調管理や必要な医療処置を行う訪問看護師は、次のように話します。
訪問看護師
「連日訪問しなければいけない方がいて。最初、行っているうちは良かったんですけど、利用料金が出て明細を送ったら『何でこんなに高いんだ』と」
医師の指示により、連日訪問看護が必要になった男性。後日、明細を男性に渡したところ、料金が高すぎると激高し、威圧的な態度に出られたといいます。
別のケースでは、訪問看護の日程を頻繁に変更するよう要求し、自分の予定に合わせるのが当然という態度をとる女性利用者もいたそうです。
事業所ではミーティングを行い、一人で抱え込まないように情報共有を図っています。
訪問看護師
「怒鳴られた経験はありますね。45分間正座して聞く」
こちらの女性看護師は、過去に男性宅に看護に行ったところ、突然45分間も正座させられ、理不尽な怒りをぶつけられたといいます。
訪問看護師
「もともと『ちゃんと(話を)聞けよ』と言ってくる人ではあったので、まずは(話を)聞かなきゃと」
「逆らっても逆上するだけだもんね」
全国訪問看護事業協会などによると、カスハラを受けたと報告されたことがあると答えた事業所はおよそ65%に上ります。
カスハラが社会問題化する中、去年法改正が行われ、10月からはすべての事業主に対して、カスハラ防止のための対策を講じることが義務化されます。
こちらの事業所でもカスハラ防止に関する規程を作っていて、利用者側に順守を求めていくといいます。
訪問看護ステーション ブロッサム
西村直之社長
「看護師だって人間です。すごくつらい思いになって、精神的にできないってなってしまう。看護師がいるから、在宅で命を守れる。それが完全にできなくなってしまうような環境は作りたくない」
サポート室開設の区役所も
相次ぐカスハラ被害を防ぐため、東京の港区が新たに始めたのが「安心対応サポート室」の設置です。
今年2月から、カスハラ対応に特化した「安心対応サポート室」を新設しました。区役所内で職員へのカスハラが発生した場合、「サポート室」のスタッフが現場に駆け付け、対応します。
安心対応サポート室 総括責任者
西見高次さん(56)
「『お前新人だから、分からないだろう』とか。『バカじゃないの』というのも中にはあります。好ましくない言動ですので、注意させていただきます」
港区役所ではこれまでに、職員を侮辱する暴言や「訴えるぞ」などの脅迫、怒鳴ったり机をたたいたり職員を長時間拘束する行為などがあったといいます。
西見さん
「私をはじめ、元警視庁の刑事が中心にいる会社でして」
スタッフは港区が委託した防犯会社に勤める元警察官たち。西見さんも警視庁の元刑事で、暴力団対策課を担当したこともあるといいます。
西見さん
「警察官でしたので、トラブルの仲裁は日常茶飯事やっておりました。最悪の場合が発生した時に何をすべきか、この(頭の)中にたたき込まれていますので」
サポート室は開設からの6カ月間で現場への出動や職員からの相談など100件以上の対応を行ってきました。
港区はカスハラから職員を守ることで、結果として質の高い行政サービスを安定的かつ継続的に提供していくことにつながるとしています。
(2026年8月25日放送分より)
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