
線状降水帯の発生で、またしても大きな被害が出ました。石川と富山を襲った記録的な大雨から2日。番組では、街が冠水していく様子を捉えた防犯カメラやドライブレコーダーの映像を独自に入手。濁流が押し寄せるなか、人々が命を守るために取った様々な行動が、見えてきました。(8月29日OA「サタデーステーション」)
再び「大粒の雨」北陸襲った記録的大雨
報告・青木梨央ディレクター(金沢市 29日午後6時半ごろ)
「午後6時半ごろの金沢駅です。今、激しく雨が降ってきました。横殴りの雨です」
被災地は29日、朝から雨に見舞われました。石川県羽咋市では、いまだに道路が川のようになっている部分もあります。そんな中、始まった災害ごみの受付。トラックの荷台いっぱいに積まれたゴミを廃棄している藤岡さんは…。
自宅が浸水した藤岡さん(石川・羽咋市 正午ごろ)
「この辺も全部廃棄しようかなと思っていて」
独自映像で見えた“命を守る行動” そのとき何が
27日、線状降水帯が発生し記録的な大雨に見舞われた石川県と富山県。
サタデーステーションは当時を記録した映像を独自入手。見えてきたのは、命を守るためのヒントです。
27日午前7時半ごろ、羽咋市内を走る車のドライブレコーダーの映像には、道路一面、茶色く濁った水に浸かり、
流されてきたとみられる木々が横たわる様子が残されていました。
車を運転していた男性は、会社の事務所が無事なのか様子を見に行く道中でした。
進んでいくと道路と田んぼの境がなくなっていき…白っぽい車が田んぼの中を流されていたといいます。
さらに進むと、車が走っていた道は、水没した田んぼと一体になり、あたり一面、湖と化してしまいました。
運転していた男性
「この程度なら行けるなと思ったが、だめだと思って。これはまずいなと思ってUターンして帰った。(豪雨になった)千葉ひどいなと思っていたが、まさか地元でこんなことになるとは思わなかった」
「陸の孤島に…」 冠水避ける“共通認識”
一方、富山県氷見市で撮影された映像も。
27日午前9時半すぎに撮影された映像(富山・氷見市)
妻「ちょっとゆっくり行って、周りを見ながらさ」
30代の夫婦は自宅に戻るため市内を車で移動していました。映像には、道路脇に徐々に水が溜まり始める様子が。
激しい雨がフロントガラスに打ち付ける中、車は路肩に停止します。
前方、対向車線を走る車からは、大きな水しぶきが…。この先の道が冠水していることがわかります。
そのためUターンし、別の道から迂回することを選択しますが…。
27日午前9時半すぎに撮影された映像(富山・氷見市)
妻「こっちはもうダメ、もうダメ。ここ裏に行っても無理だよ」
夫「どこまで行ける」
妻「“陸の孤島”になってしまった」
その後も冠水していない道を探しながら、なんとか家に戻ることができたといいます。
サタデーステーションは、29日、この夫婦に話を聞くことができました。
冠水した道を回避した夫婦
「行けるかなと思って進んで行ったら、動かなくなるのが怖いので」
夫婦は移動している際、「冠水している道には絶対に入っていかない」という共通認識がありました。
冠水した道を回避した夫婦
「さっき通れたところも数分後には(水が)上がっていて。無理に行っていたら、そこにはまって動けなくなるのかなと思います」
今回の大雨でも“水没車” 軽トラ浸水…濁流に押され100m
記憶に新しい「千葉豪雨」では、死者が出るなど大きな被害となりましたが…今回の大雨でも水に浸かり放置された車があちこちに。
軽トラックが浸水した男性が、当時の心境を語りました。
車が浸水した男性(石川・羽咋市 28日)
「日頃の生活圏の中ですから、そういう(浸水の)不安はなかったです」
大雨が降った際、地域の排水管理を担う男性。
当時、道は冠水していましたが、現場に向かうため車を走らせたといいます。ところが。
車が浸水した男性(石川・羽咋市)
「エンジンかけようとしてもかからない。これは(水を)吸い込んだかバッテリーかなと」
その直後、車は濁流に押され100mほど流されました。
車が浸水した男性(石川・羽咋市)
「また床下浸水になるんかな、という思いはみんな持っておったと思うんですが、それを超える量が降ったと。生まれて初めてですね」
独自映像 大規模冠水の“瞬間” 「30秒で変わる景色」
各地で相次いだ浸水・冠水被害。羽咋市のスーパーでは片付け作業に追われていました。
JAふれあい産直市キララはくい店 達寛幸店長(石川・羽咋市 29日午前10時ごろ)
「この膝上…2段目まで商品もうダメです。ほとんど廃棄処分ですね」
私たちはその「大規模冠水の一部始終」を捉えた防犯カメラを入手しました。
時刻は27日午前5時半ごろ。雷によって、空が明るく光ります。
この時点では、車は問題なく走行し道もまだ冠水していません。午前6時ごろ、仕事のためにこの場所を訪れたという女性は…。
従業員
「この時はまだこの辺くらいじゃないかな。10センチくらい」
ところが、道路の横にある用水路に注目。水位がみるみる上昇し、約15分後、道に水があふれ出します。
従業員
「一瞬。本当に一瞬。20~30秒で(景色が)変わっていく」
ちょうどこの頃、羽咋市ではレベル5「大雨特別警報」が発表されていました。※現在は解除
別の防犯カメラの映像では、建物の中にも水が流れ込み、床に置いてあった物が浮いています。
その後も水位は上がり続け、一帯は、まるで大きな川のように。わずか2時間で、水は成人男性のひざ上にまで達しました。
急激な浸水・避難で迫られる判断
取材で浮き彫りになったのは、急激な浸水による“避難の難しさ”です。冠水によって避難所へのルートが絶たれていました。
氷見市に住む酒井さんもその1人。目の前の宇波川が氾濫し、家の中まで水が押し寄せました。しかし…。
酒井勝男さん(富山・氷見市 29日午前11時ごろ)
「足の付け根まで来るくらいだから、もう逃げられなかった」
外に避難するのは危険と判断し、自宅に留まり、“垂直避難”を選択したといいます。
酒井勝男さん
「水かさがそれ以上に上がってきたら、2階でも上がろうかなという頭で」
収穫したコメも浸水 被害総額1500万円「地獄や」
“想定を上回る大雨”はコメ農家にも影響を与えています。
近隣の川が氾濫し、田んぼに大量の土砂が流れ込んでいました。
コメ農家 尾矢公道さん(富山・氷見市 28日)
「もうせいぜいできて草刈り機で刈り倒すくらい。(Q.それは収穫)なし」
収穫予定だったコメの3割ほどが出荷できなくなったといいます。さらに。
コメ農家 尾矢公道さん
「すべて水浸し、全部使い物にならん」
倉庫も浸水し、出荷作業に使う機械が全滅。収穫済みのコメも水に浸かり、被害総額は1500万円に上るといいます。
コメ農家 尾矢公道さん
「今年はもう、どうもこうも、こうなったらしょうがないわね。この(雨が降った)2日間でいっぺんにもう…地獄や」
