
トランプ大統領の側近、ウィトコフ特使とクシュナー氏がロシアのプーチン大統領、ウクライナのゼレンスキー大統領と相次いで会談した。トランプ大統領の新たな「和平案」とは?
なぜこのタイミング?
6日、アメリカのウィトコフ特使とトランプ大統領の娘婿・クシュナー氏がウクライナでゼレンスキー大統領と会談。ウクライナ侵攻後の訪問は初めてとなる。
ゼレンスキー大統領
「ここで彼らの役割を強調しておきたい。きょう、彼らは交渉プロセスを再開させた。彼らはロシアに滞在していた」
前日、ウィトコフ特使らはモスクワを訪問し、プーチン大統領と会談した。
プーチン大統領
「交渉の進展と、あなた方仲介者の安全を確保するために我々は全力を尽くすつもりだ」
ロシアのウシャコフ大統領補佐官によると、会談は3時間余りに及び、プーチン大統領はロシア軍が前線で成果を上げているとし、「目標達成」に確信を示したうえで、紛争の根本原因を取り除く必要性を強調したという。
その会談でアメリカ側から示したとみられるのが「新たな和平案」だ。
トランプ大統領
「彼らは戦争を終わらせるための提案を持っていくのです。実現する可能性は十分にある」
約半年ぶりに和平の仲介を再始動したアメリカ。一体、なぜこのタイミングなのか?専門家はこのように指摘する。
明海大学 小谷哲男教授
「2月にですね、この和平のプロセスがいったん停止したのはイランに対する戦争が始まったからです。このイランの情勢が今膠着(こうちゃく)状態に入っている中、ウクライナの問題を動かす。そういう機運が高まったということがあります」
ウクライナを訪問したクシュナー氏はウクライナ、ロシア、アメリカの3者協議が効果的だとの考えを示し「近いうちに進展があることを期待している」と述べた。
一方、ゼレンスキー大統領は、3者協議の実現にはあらゆる努力が必要だと強調したうえで、「ロシアが何に合意するかを見守りたい」と慎重な姿勢を示した。
今回の和平の仲介再開を受けて、プーチン大統領もゼレンスキー大統領も、そろって3日間の攻撃停止を表明した。
米の最優先課題は
これまでトランプ大統領は、何度もロシアとウクライナの和平仲介を試みてきた。
トランプ政権で本格的な和平仲介が始まった去年3月、サウジアラビアでアメリカとウクライナが協議した。ウクライナ側は、アメリカが提案した「30日間の一時停戦」を受け入れる用意を表明。アメリカはその後、ロシア側にも受け入れを求めたが、30日間の全面停戦には至らなかった。
その後も、アメリカの仲介でUAE=アラブ首長国連邦やスイスなどで協議が続いた。しかし、双方の隔たりは埋まらず、2月を最後にアメリカが仲介する和平協議は停滞していた。
そんな中、今回はウィトコフ特使とクシュナー氏が、ロシアとウクライナ双方の首都を続けて訪問した。2人がキーウを訪れるのは侵攻開始後初めてだ。
今回の仲介には、これまでとどんな違いがあるのか。国際政治に詳しい明海大学・小谷教授は、次のように分析している。
「アメリカ側がこれまでの『ウクライナは戦争に勝てない』という前提を見直し、ロシアだけでなくウクライナ側の主張も直接聞く形に変わった。アメリカにとっては、ロシアとウクライナの直接協議の再開が最優先課題になるのでは」
一方、直接協議の再開を目指すうえでも大きな壁となるのが領土を巡る問題だ。
ロシア側は、一方的に併合を宣言したウクライナ東部と南部の4州について、自国の領土だと主張している。一方ウクライナ側は、領土の割譲には応じない姿勢を貫いている。
こうした領土を巡り双方の隔たりがある中、新たなアメリカの和平案は、どのような折衷点が考えられるのだろうか。
小谷教授は、今回のモスクワ訪問には、アメリカ財務省で「制裁」を担当する高官も同行していることから「ロシアに『ドンバス地方の引き渡し』を諦めさせる代わりに、経済制裁の緩和や、アメリカとの経済協力の拡大などを提示した可能性」があると分析している。
さらに小谷教授は、2月の時点とは違い、現在はウクライナがロシアの石油精製施設などを攻撃し、ロシア経済に直接打撃を与える手段を持っていることも、停戦交渉での「カード」になり得ると指摘している。
(2026年9月7日放送分より)
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