
警察庁の有識者検討会が、「運転技能検査」の厳格化を提言する報告書をまとめた。高齢者の“生活の足”にも影響があるとみられているが、背景に何があるのか。
高齢ドライバーの事故減らせるか
まずは、厳格化が見込まれる運転技能検査について見ていく。75歳以上の運転者が対象となる。
75歳以上の運転免許保有者は、去年末時点で約835万人。前年から約45万人増加していて、運転免許保有者の約10%を占めている。
こうした中、免許更新の際の運転技能検査が厳格化されるという。
現在、一定の違反歴がなければ「認知機能検査」と「高齢者講習」を受ければ免許が更新される。
一定の違反歴がある人はまず運転技能検査を受け、合格すれば「認知機能検査」「高齢者講習」と進み、免許更新となる。
運転技能検査に合格しなければ免許は更新されないが、受検者のほとんどが合格している。というのも、運転技能検査は繰り返しの受検が可能で、現在の合格率は約93%に達している。
なぜ厳格化?
運転技能検査の3つのポイントが厳格化されるという。
運転技能検査の評価は、普通1種免許の場合、100点満点から減点する方式で70点以上なら合格となる。
今回、新たに追加される課題・項目がある。
「方向変換」。ハンドルを切りながらバックして停止し、逆方向にハンドルを切って発進する課題だが、接触・脱輪があった場合はマイナス20点。
さらに「安全不確認」。運転中の安全確認を怠ればマイナス10点。
また、減点を厳格化する項目には「大幅な一時不停止」があり、停止線を大幅に越えるなどした場合、これまでのマイナス20点からマイナス40点に変更となる。
厳格化により合格率が約80%に減少する予測で、来年度中の実施を目指すという。
なぜ、運転技能検査が厳格化されるのか。
新たに「方向変換」が追加される理由は、「ブレーキとアクセルの踏み間違い」による死亡事故は去年46件あったが、そのうち75歳以上の高齢者による事故は31件あった。アクセルやブレーキの操作の正確性を確認するため追加される。
「安全確認」が追加される理由は、現在の運転技能検査には、運転の基本である安全確認の評価がないため、減点項目に入れるべきという意見が上がったという。
また「一時停止」の減点基準を引き上げる理由としては、運転技能検査の合格者の追跡調査をしたところ、合格後に交通事故を起こしたドライバーの約3割が、受検時に一時不停止で減点されていたことが判明したという。
「交通空白」どう対策
75歳以上の免許更新が厳格化に向かう一方で、バスやタクシーが使えない「交通空白」が広がっている。“生活の足”は維持できるのか。
「交通空白」地区とは、バス停や最寄り駅が遠く、移動手段の確保が難しい地区のことを指す。
今年5月の調査では、この交通空白地区が2740カ所あるとされていて、去年から683カ所増えた。これらの地区には、人口の約14%にあたる、約1700万人が居住している。
そのため運転技能検査の厳格化で、“生活の足”の維持に懸念が出ている。
「運転技能検査」見直しの有識者検討会は、厳格化にあたり、交通の不便な地域での移動の代替手段が必要と指摘。
国も対応に乗り出していて、6月3日には「交通空白」の解消を目的とした改正地域交通法が成立した。想定される事例としては、朝晩、送迎に使われるスクールバスの空いた時間を使って、乗客を送迎するなど、地域のさまざまな車両やドライバーを共有する仕組みを後押しするという。
(2026年9月8日放送分より)
この記事の画像一覧
