都市部を中心に新築マンション価格の高騰が続くなか、国土交通省は投機目的の短期売買を抑制するための税制措置を要望した。子育て世代などの実需層が購入しにくい状況を改善するため、政府・与党内では短期転売にかかる税率を大幅に引き上げる案などが浮上している。テレビ朝日政治部の佐々木一真記者が、議論の背景と今後の見通しについて解説した。
東京23区の平均価格は2.6億円超 1年以内の転売割合が増加
東京23区における新築マンションの平均価格は高騰を続けており、不動産経済研究所の調査によると、2023年に1億円を突破したのち、2026年7月には2億6520万円に達している。2001年の平均価格(4723万円)と比較しても右肩上がりの上昇が続いており、居住目的ではなく高値での転売を狙った金融商品のような取引の増加が価格高騰の一因となっているとの指摘がある。
国土交通省の調査によると、新築マンションを購入後1年以内に所有権が移転(売却)された割合は、東京23区で2023年の5.7%から2024年1〜6月には9.3%へ上昇した。転勤や離婚といった事情以外の投機的な売買が増加しているとみられ、市場の過熱を冷やす対策が課題となっていた。
現行39%の税率が「70〜80%に?」へ大幅引き上げを検討
現行の制度では、売却益に対してかかる所得税などは、所有期間5年以下の短期売買に対して39.63%、5年を超える長期売買に対して20.315%となっている。
しかし、現在の価格上昇局面では、約40%の課税を受けてもなお売却益が残るため、転売抑制の効果が薄れているとの指摘がある。そのため政府・与党内では、5年以下の短期売買に対する税率を大幅に引き上げる案が浮上している。官邸幹部は「税率を70%から80%近くまで一気に引き上げ、転売による利益を大幅に減らすべきではないか」と話す。所有期間1~2年など超短期売買にかかる税率を新設する案や、5年以下を一律で高税率にする案などが出ていて、具体的な検討が年末に向け行われる見通しだ。
“空室税”導入や外国人規制の課題と年末に向けた焦点
市場の過熱を抑える施策として「空室税」の導入や外国人による不動産購入規制も議論に挙がるが、課題も多い。購入後に住んでいないことを証明・調査する実態把握の手間やコストが非常に大きく、全国一律での空室税導入は現実的ではないとの見方がある。また、国外居住者による購入比率は都心部でも数%にとどまっており、価格高騰の主因ではないとの指摘もある。
マンション価格には建設資材費や人件費の高騰、金利動向など複合的な要因が絡んでいるため、短期売買の規制のみで価格が下落するかは不透明な部分もある。一方で、増税の時期や内容によっては駆け込み売却による在庫増加などにより、価格や市場動向に影響が出る可能性もある。年末の自民党税制調査会における議論の着地点が注目される。
(ニュース企画/ABEMA)

