
骨折の手術後に一時心肺停止となった男性の医療事故を巡る裁判で、裁判所は16日、病院側におよそ4600万円を支払うよう命じました。病院内で一体、何があったのでしょうか。
骨折手術後に心肺停止
亡くなった男性の家族
「もう毎日なかなか夜も眠れない、つらい日々でした。あまりにも最初、誠意がなかったと思います」
遺族がやりきれない思いを語りました。
2019年、大阪市立大学医学部附属病院で男性患者が骨折手術を受けた後の処置で、低酸素脳症となった医療事故で、遺族が病院に損害賠償を求めた裁判が16日に大阪地裁で行われました。
そもそも骨折の手術で、なぜ死に至ったのでしょうか。
大阪公立大学医学部附属病院
中村博亮病院長
「鎮静剤の量が多いというか…多めの量という表現ですが、投与させて頂いて…」(2022年11月)
問題となったのは、手術後に受けた「鎮静剤」の投与です。当時、79歳の男性患者は右手首を骨折し、手術を受けました。
訴状などによると、術後、男性はカテーテルを抜こうとしたり、起き上がったりしたため、麻酔科医は通常より多い量の鎮静剤を投与したということです。
すると男性の容態は急変し、一時心肺停止となりました。低酸素脳症となり、意識は戻ることなく、その後、肺炎で亡くなりました。
病院側4つのミス
この際、病院側の4つのミスが指摘されています。
「患者様の心肺が停止するまでの間、医師や看護師は不在のままでした」(2022年11月)
普段使用しない多くの量を投与したにもかかわらず、患者を観察する時間が短かったこと。低酸素脳症などのリスクがあることが看護師に情報共有されず、また看護師は血圧を確認することを怠ったということです。
その後、男性が急変するまでの間、医師や看護師は不在だったうえ、急変を知らせる医療機器も適切に接続されていなかったということです。
遺族側は事故があった後、公表が遅れたことで精神的苦痛を被ったとも主張しています。
「隠蔽(いんぺい)という感覚はございませんでした」(2022年11月)
病院側は、調査委員会を立ち上げましたが、すぐに事故が公表されることはありませんでした。
事故から2年後にホームページで公表したものの、わずか1カ月で情報を削除しています。
翌年、ようやく病院側が記者会見を行いました。公表しなかったことについて、聞かれると…。
「これが早いかと言われると、個人的にはスピーディーな対応ではなかったと反省」(2022年11月)
病院に約4600万円賠償命令
遺族はおととし11月、病院側におよそ1億5000万円の損害賠償を求め、大阪地裁に提訴しました。
亡くなった男性の家族
「こんな手首の骨折で、心肺停止になるなんて思いませんよ」
事故から7年経った16日、判決の日を迎えました。
大阪地裁は、医療事故については病院の責任を認め、およそ4600万円の支払いを命じました。
一方、公表が遅れたことについては、その後病院側が会見を行ったことなどから、違法性を認めませんでした。
亡くなった男性の家族
「このお金をもらったからといって、親父が戻ってくるわけではない。医療関係者の皆さん、みんな一生懸命やってくれているのは分かるけれど、こういう事故がもう二度と起こらないよう徹底して、ちゃんとみんな仕事してほしい」
一方、病院側は「今後も医療安全の向上と再発防止に真摯に取り組んでまいります」とコメントしています。
(2026年9月16日放送分より)
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