
世界的なブームとなっている「抹茶」ですが今、中国で生産や販売が急激に拡大しています。中には日本の抹茶の名産地・京都の「宇治」の名前を使って販売する業者もいて問題となっています。
京都の日本茶専門店 8割が外国人客
アメリカからの観光客
「日本の抹茶が一番だって、みんな言っているよ」
オランダからの観光客
「抹茶を味わうために日本に来ているの」
1854年創業、京都の日本茶専門店。大にぎわいの店内ですが、お客さんの8割が海外からの観光客で、その多くが「抹茶」を目当てに訪れているといいます。併設されているカフェもほぼ満席です。
抹茶好きの娘のためにドイツから来た親子は、次のように話します。
ドイツから来た親子
「(Q.なぜ抹茶を好きになった?)ベルリンのコーヒーチェーン店で、とてもおいしい抹茶を飲んでいるの」
「抹茶ラテみたいな感じです」
「甘すぎず、苦すぎず、ちょうどいいバランスで好きなの」
2年前に抹茶と出会ったという男性は、次のように話します。
アメリカからの観光客
「以前はコーヒーが好きだったけど、今は抹茶のほうが好きだな。味が好き。うま味も好きだし、青々しくてさわやかだね」
中国「抹茶」日本の“倍”に
「抹茶」が世界的なブームとなっている中、今、日本のお茶農家の脅威となっているのが、中国産の抹茶です。
人民日報
「中国の2025年の抹茶生産量は1万2000トンを超え、世界の総生産量のおよそ70%を占めている。中国が世界最大の抹茶生産国だ」
近年、中国では抹茶の生産を拡大。2020年に4000トン未満だった抹茶の生産量は去年には1万2000トンを超え、日本の生産量の2倍となっています。
中国に「抹茶の町」
そんな中国の抹茶の大生産地、貴州省に取材班が向かいました。
町の中には「抹茶の町」と書かれた提灯や「東洋の抹茶の源 世界と共に味わう」という看板など、いたるところに「抹茶」をアピールする文字がありました。
街中には、あちこちに抹茶専門店があり、抹茶関連のクッキーやチョコレートなどさまざまな商品があります。
他にも抹茶のおかゆや抹茶とツバメの巣のドリンクなど中国らしさあふれる商品もあり、さらには抹茶のビールまであります。
こちらの店では抹茶の麺に抹茶の水餃子など、抹茶をふんだんに使ったメニューが取りそろえられています。
別のお店では、なんと抹茶を使った火鍋もあります。
抹茶の火鍋を扱う店のオーナー
「お客様には大変ご好評をいただいています。抹茶と魚を組み合わせると、うま味が感じられます」
1市で…日本の生産量に匹敵
この地域では今年に入り、こうした抹茶専門店が急増しているといいます。その理由が…。
斜面一面を鮮やかな緑に染める茶畑。貴州省の銅仁市は標高が高く、くもりや霧に包まれる日が多く、日照時間が少ないという良質の茶葉を生み出す自然環境がそろった地域。
近年、生産量が急増し去年は2500トン。今年は5000トンまで伸ばす予定で、1つの市だけで去年の日本の国内生産量およそ6300トンに匹敵する勢いです。
抹茶カフェのオーナー
「抹茶は今爆発的な人気を見せているので、この業界に大いに期待しています。この地域の人々は元々収入が非常に少なかったけど、抹茶を作り始めてから収入がかなり増えました」
さらに茶畑だけではなく…。
全長およそ280メートルの巨大な建物内で、全自動の加工ラインを設けている大規模な抹茶工場に、5月には抹茶を楽しめるテーマパークもオープン。町を挙げて抹茶を盛り上げています。
観光客
「抹茶が大好きで、ずっとここに来たいと思っていました。2日間連続で抹茶を食べすぎて、もう全身が緑な感じです」
地元の客
「数日間の休暇を取り、子どもを連れて遊びに来ました。銅仁の抹茶が世界にも広まってほしいです」
「宇治抹茶」装い販売?
中国で抹茶ビジネスが拡大する中、こんな問題もあります。
これらの商品、いろいろ種類はありますが、ネット通販アプリで「宇治抹茶」として売られている商品などを取り寄せました。こちらのパッケージには「パウダふん」「宇治抹茶」と書いてあります。
「宇治抹茶」は、京都、奈良、滋賀、三重の4府県でとれた茶を京都の業者が、宇治地域に伝わる製法で加工し、臼でひいたものを指しますが…。
近年、中国産の抹茶を「宇治抹茶」であるかのように装い販売するケースが後を絶ちません。
こちらも「宇治抹茶」と書いてあります。これは産地「(中国の)安徽省」と書いてあります。缶には「青嵐」と書かれています。これも安徽省の会社が生産しているようです。
実はこの「青嵐」という名前の抹茶、江戸時代中期に創業した京都・宇治の老舗、丸久小山園でも長年、定番商品に使われてきた名前です。
偶然とは思えない名前の一致。値段を比べてみると、中国の「青嵐」は半額以下です。
一体、どういうことなのか?中国の販売業者に問い合わせてみました。
抹茶の販売業者
「(Q.日本の宇治抹茶にも『青嵐』がある。これは同じ商品?)原料が違います。中国で作った抹茶なんです」
「(Q.模倣品では、ない?)そんなわけないじゃないですか。私たちが販売している『青嵐』は、抹茶のグレードを表していて、グレード別に分類しているだけです」
あくまで中国産の抹茶で、宇治抹茶の模倣品ではないとのことですが、缶の裏側の会社名欄には「宇治抹茶」の文字があります。
中国では日本の抹茶人気が高いため、会社名に「宇治抹茶」を入れるなどし、一見すると区別がつかないようにする悪質業者が多発しているのです。
こうした事態に丸久小山園は、次のように答えました。
宇治茶の老舗 丸久小山園
「消費者に商品の原産地や品質について誤認を生じさせるおそれがあるだけでなく、宇治茶ブランドの価値向上に努めてきた宇治地域の製茶企業や茶業関係団体の信用・利益を損なうものであり、看過できない問題であると考えています」
(2026年9月18日放送分より)
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