
「桃が流れた川」に、「犬・鳥・猿」にちなんだ地名。昔話「桃太郎」の世界を思わせる場所が、山梨にそろっていました。
桃太郎ゆかりの地が1カ所に
桃太郎といえば岡山県のイメージが強いですが、明治時代から大月市では「桃太郎もち」が販売されるなど、桃太郎の話が定着していたようです。大月駅を出発して3分ほど歩くと、桃太郎神社を発見しました。
住田紗里アナウンサー
「山梨県の大月市にやってきました!ここに『桃太郎伝説』があるそうなんですが。一体どんな内容なんでしょうか?早速調査していきます!」
「あそこに鳥居があって桃太郎神社とも書いてありますね!」
早速、桃太郎連絡協議会の会長に話を聞きました。
桃太郎連絡協議会会長 矢光重敏さん
「桃太郎連絡協議会、会長の矢光でございます」
住田アナ
「桃太郎といえば岡山県のイメージが強いですが、大月市で桃太郎伝説なんですか?」
矢光さん
「そうなんです。大月桃太郎伝説は、構成されている要素が全部1カ所にあるのが最大の特徴なんです!」
住田アナ
「全部1カ所に?」
矢光さん
「全部1カ所にあります」
大月市には、桃太郎ゆかりの地が残っているといいます。
住田アナ
「それはこれからゆかりの地に行けば分かりますか?」
矢光さん
「そうですね。ご案内いたします」
物語の始まりの地
まず向かったのは、物語の始まりの地です。桃太郎の始まりといえば、川と大きな桃。果たして、そこには何があるのでしょうか。
矢光さん
「桃太郎の伝説にゆかりのある橋です」
住田アナ
「ももくらばしと書いてありますね。この橋(名前に)ももがついているんですか?渡ってみてもいいですか?」
矢光さん
「はい。行きましょうか」
ひらがなで書かれていますが、桃太郎につながりそうな名前です。
矢光さん
「桃がたわわになっていたのが、こちらの百蔵山になります。この中で桃が群生していたんですよ。その中でひときわ大きな桃がこの葛野川(かずのがわ)に落ちました」
ですが、桃が拾われたのはここではないそうです。
矢光さん
「(桃が)流れに沿って、下流に流れていって桂川に入りました」
住田アナ
「この川を桃がどんぶらこと流れていったんですね」
矢光さん
「そうなんです。どんぶらこと流れていって鶴島という所でおばあさんに拾われて、そこで桃太郎が生まれた、そういうスタートの地点になりますね」
桃は百蔵橋からかなり下流の鶴島という場所で、川に洗濯に来ていたおばあさんに拾われたといいます。
“鬼が酒飲んだ杯”
おばあさんは、川で拾った桃を持ち帰り、おじいさんと食べようとすると、中から赤ちゃんが現れました。桃から生まれた桃太郎がその後、おじいさんとおばあさんのもとですくすくと成長するのは、私たちがよく知る話と同じです。その後、桃太郎は岩殿山にいる鬼を退治することになります。赤鬼が山の麓の村で金塊を盗んだり、酒を奪って暴れ回ったりしていたというのです。ここ大月には、鬼がいたという証拠も存在します。
住田アナ
「『鬼の盃』って書いてありますね」
矢光さん
「これなんで『鬼の盃』と呼ばれるようになったかというと、赤鬼が村々で悪さをして帰って来た時にここで一休みして、この杯でお酒を飲んだといわれています」
住田アナ
「これって量どのくらいなんですか?」
矢光さん
「なみなみ満タンにすると5リットルくらい入ると思います」
住田アナ
「それを一気に?」
矢光さん
「一気に1匹で飲んだというんで、よほど呑兵衛かなという感じですね。酒好きの鬼だったんだろうなと思いますね」
住田アナ
「体もきっと大きいでしょうね」
赤鬼の悪さで村々が困り果てているという話を聞いた桃太郎は、村を救おうと奮起し、赤鬼を懲らしめに向かったといいます。
家来たちとの出会いの地
桃太郎の話では、家来とともに鬼退治へ向かいます。大月市には、その家来たちと出会ったという場所がありました。まず訪れたのは犬目地区です。
矢光さん
「ここは犬目地区といって桃太郎が犬を仲間に入れたといわれているのがここになります。桃太郎がここに来て、犬を仲間にしてこの道を歩いていくんですけど、その時の犬目宿の石碑になります」
住田アナ
「本当に桃太郎の仲間の名前がちゃんと実在しているんですね!」
石碑があった場所は、甲州街道の宿場町としても知られた犬目宿です。少なくとも江戸時代の頃には、犬目という地名があったことになります。続いては、犬目宿から西へ歩いて1時間ほどの場所です。話の中ではキジを家来にしますが、ここでは…。
住田アナ
「鳥沢駅と書いてありますけど、鳥ですよね?」
矢光さん
「このへん一帯を鳥沢と言って、桃太郎が犬目宿で犬をお供にして、ここまで来て鳥をお供にしたというようにいわれています」
住田アナ
「キジをここで?」
JR鳥沢駅周辺の地名は「鳥沢」です。キジとは書いていませんが、矢光氏によると、昔はこの一帯にキジが多くいたといわれています。
矢光さん
「昔この一帯にキジがいっぱいいたと言い伝えがある」
キジを家来にしたとなると、次は猿です。
住田アナ
「今まで犬、鳥と来たじゃないですか?じゃあ、やっぱり猿もあるということですよね?」
矢光さん
「ちょうどこの道をまっすぐいくと猿に出会える場所があるので、行ってみましょうか!」
犬、鳥と来て、最後に仲間にしたのは猿のはず。向かったのは、大月市の名所である珍しい橋です。
全国的にも有名な観光地
住田アナ
「景色見たら結構すごいんですけど!川があんなに下にありますよ!」
矢光さん
「水面からこの橋までの高さはおよそ30メートル」
住田アナ
「高いですね!すごく自然に囲まれていて、リフレッシュできる景色ですね!」
横から見ると橋脚を一切使わずに組み上げられていて、日本三奇橋の一つだといいます。
矢光さん
「犬目で犬、鳥沢でキジを仲間に入れて最後にここに着いて猿を仲間にして、退治に出発したさるはしということになります」
ここが、桃太郎が猿を仲間にしたといわれるさるはしです。全国的にも有名な観光地となっています。
大月市の桃太郎伝説には、桃太郎の家来にちなんだ地名がすべてありました。さらに、家来たちは鬼門の方向にも関係があるという説があります。
矢光さん
「鬼がいる方向を鬼門というんですけど、鬼門の反対側が裏鬼門になるんですけど、桃太郎が鬼を懲らしめにいくために鬼門へ向かう。その時に家来にしたのが、犬・鳥・猿というふうに言われている」
岩殿山で待ち受ける鬼
犬・キジ・猿の3匹を仲間にした桃太郎一行は、いよいよ悪さをしていた鬼が暮らす岩殿山へ向かいます。
矢光さん
「あちらが岩殿山になって鬼がいる場所ですから、ここで『えいえいおー!』という感じでやるんじゃないかなと思います」
住田アナ
「目的地が見えるのもモチベーションになりますよね」
赤鬼が住んでいたとされる岩殿山。桃太郎一行が様子を見て攻め込んだ場所です。
矢光さん
「ここが鬼の岩屋になります」
住田アナ
「雰囲気すごいですね」
矢光さん
「ここで鬼が寝泊まりをしたという所になります」
住田アナ
「そんなに中続いてないんでしょうけど、真っ暗で中ほとんど見えないです。今にも鬼が出て来てもおかしくないような、そんな怪しげな雰囲気もありますね」
意外な結末
鬼をこらしめるべく、桃太郎が立ち向かいます。鬼も必死に抵抗します。大月桃太郎伝説は、ここから少し違う展開を見せます。
矢光さん
「岩殿山こちらですね。それから徳巌山という山があるんですけど、桃太郎に攻められた鬼がもう耐えられなくなって逃げる時に、岩殿山から徳巌山に足をかけようとしたんですよ」
住田アナ
「すごく大きかったということなんですね」
矢光さん
「そうなんですよ。そしたらその時に鬼の股が裂けてしまって、その時流れ出た血がこの一帯を赤く染めたと」
住田アナ
「鬼の血が降って来たということなんですね」
矢光さん
「そうですね。掘ると赤い土が出てくるんですよ。そういうところを含めて、この辺は桃太郎伝説の中では鬼の血と呼ばれています」
そんな赤鬼には、もう一つの話もあったそうです。
矢光さん
「九鬼山というのがこちら側にあるんですけど、そこで青鬼9匹とここにいた赤鬼が全部で10匹住んでいたんですけど、あまりに赤鬼が荒っぽいし、態度も良くないので、その9匹から追い出されてこちらの方に住み着いたといわれています」
住田アナ
「その赤鬼の性格的に自業自得だったかもしれないですけど、追い出されてしまったというわけなんですね」
大月市には、少し変わった結末の桃太郎伝説が残されていました。
(2026年9月3日放送分より)
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