葛根湯は風邪だけじゃない!肩こりにも 腸内細菌で変わる効き目…漢方薬の最新研究

葛根湯は風邪だけじゃない!肩こりにも 腸内細菌で変わる効き目…漢方薬の最新研究
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 今回は、鍼灸と並ぶ東洋医学の代表的な治療法、漢方薬について深掘りします。解説は、島根大学医学部附属病院の大野智教授です。

【画像】肥満症への効果が期待される漢方薬は?

経験から生まれた漢方薬

 漢方薬の麻黄湯には、西洋薬の咳止めと同じ成分が含まれていますが、漢方薬と西洋薬にはどのような違いがあるのでしょうか。

島根大学医学部附属病院 臨床研究センター長 大野智教授
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島根大学医学部附属病院
臨床研究センター長
大野智教授

「中国発祥の伝統医学というふうに言われています。一説には3000年ぐらい前に医学体系として形づくられたというふうにも言われています。漢方薬もですね、もとを正せば、その辺に生えている草を食べたらお腹痛いのが治ったとかですね、下痢が止まったとかというところから多分スタートしていると思うんです」

生薬の組み合わせで構成される漢方薬
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 漢方薬は、基本的に動植物や鉱物などの生薬と呼ばれる材料の組み合わせで構成されています。

「その生薬と言われているものの中には、西洋薬で使われているお薬の成分なんかが見つかったりもしていまして」

 近年になって、漢方薬の経験則が西洋医学で証明されてきているのです。

麻黄湯
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「代表的なもので言うと、風邪をひいた時に使うことがある麻黄湯という漢方薬の生薬があるんですけども、その中にエフェドリンという物質がありまして、それは今、現在の医療現場では、喘息の人が気管支を拡張する喘息の治療薬として使われている医薬品というふうにもなっていたりするので」

 3000年もの経験が、現代科学で証明されつつある漢方薬。エフェドリンのほかにも、熊の胆のうからつくられる熊胆という生薬から、医療現場で使われている成分が抽出されています。

熊の胆のうの生薬、熊胆
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「エフェドリンの他にも、熊の胆のう、その生薬が熊胆(ゆうたん)という生薬があるんですけども、そこからですね、抽出される成分の中にウルソデオキシコール酸という、これ実際今の医療現場で使われている薬なんですけども、それが熊胆から抽出されてお薬になってきた」

葛根湯の意外な効能

 漢方薬の中でも、葛根湯はよく知られています。風邪の引き始めだけではなく、意外な場面でも効き目があるといいます。

風邪の引き始めによく飲む葛根湯
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 風邪の引き始めによく飲む身近な漢方薬、葛根湯。その驚くべき効能とは―。

紀真耶アナウンサー
「その漢方でいうと、葛根湯は風邪ひいたかもという時に飲んだりしているんですけれど」

適応症の中に“肩こり”
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大野教授
「風邪のひき始めってそもそもどんな症状か、多くの方はこの背中とか首がゾクゾクするという、なんとなくこう寒気がするというのが風邪のひき始め、その時に葛根湯を飲むとよく効くんですね。そういうのにつながって実は葛根湯って適応症の中に肩こりがあるんです」

紀アナ
「何でですか?」

大野教授
「結局ですね、この寒気がするって、こう背中とか首筋の後ろですね、そこのいろんな症状に対して、結局血の巡りを良くしてあげるというような働きがある。要するに寒気がするのをポカポカしてくれる。肩こりで血流悪くなっているところを血流を改善してくれるというようなイメージを持ってもらったらと思います。西洋医学的には肩こりと風邪って全然違いますよね。だけど、一つの生薬が2つの病気に使えますよという、そういった特長もあったりするのが漢方薬の一つの特長と言えるかもしれません」

紀アナ
「優秀ですね!」

 同じ病気でも異なる薬を使い、異なる病気でも同じ薬を使う―。個別の状況に寄り添うのが漢方薬の特徴です。

西洋薬との違いは?

西洋薬は同じ1つの成分
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「実際ですね日本国内でいうと、厚生労働省が医薬品として承認しているものというのは、大体300種類の生薬の場合と、生薬を組み合わせた製剤というものがあるんですけども、それが大体300種類ぐらい、一方で、西洋薬は、だいたい1万から1万5000種類くらいあると実は言われていて、漢方少ないと思われたかもしれないんですけども、西洋薬は本当に単一の物質でしかないんですよね。例えば10種類お薬があっても一つの成分だったりするんですね。一方で漢方の場合は、生薬の中にそれこそ数、数え切れないぐらいのいろんな物質、分子レベルで見れば本当に多種多様な物質が含まれているということを考えると、もしかすると分子レベルで言うと、そんなに変わらないかもしれないということが、あくまで推測ですけども、言えるかもしれない」

複数の効能 他にも

黄連湯
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 複数の効能がある漢方薬は、ほかにもあります。黄連湯は急性胃炎や二日酔いの際によく服用されますが、実は口内炎にも効き目があるといわれています。

 続いては、便秘にも下痢にも効くという、不思議な漢方薬・大建中湯です。

大建中湯
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大野教授
「西洋薬というのは、例えば便秘の時には下剤を飲むとか、あるいは下痢の時には整腸剤を飲むみたいな形で、何となく1対1の対応だったりするかと思います。日本でよく使われている大建中湯という漢方薬があるんですけども、不思議なんですが、下痢の人が飲むと下痢が治まり、便秘の人が飲むと便秘が良くなるような不思議な作用をする漢方薬」

紀アナ
「正反対なイメージですけど」

大野教授
「結局ですね、漢方薬の中にはいろんな物質が含まれているので、その人の体の状態に応じて、その漢方薬の生薬のどの成分がどう効くのかというのが、その体に合わせて元々含まれている漢方薬の生薬に含まれているような物質と体のその時の状態の相性みたいなものでさらにですね、その相性に関わるものとして最近注目されているのが腸内細菌というふうに言われています」

腸内細菌で変わる?

 ここまで分かってきた最新研究では、腸内細菌の差によって漢方薬の効き方が違う可能性も示されています。

腸内細菌に深く関わっている茵ちん蒿湯
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 名古屋大学大学院の横山医師らの研究で、漢方薬の茵ちん蒿湯が腸内細菌に深く関わっていることが突き止められました。

体の免疫細胞にもいい影響を及ぼす
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「腸の薄い壁の中に免疫細胞ってすごくたくさんいるんですね。実はその漢方薬の生薬がきました。で、腸内細菌のバランスが崩れていたのが整いました。整った結果、体の免疫細胞にも良い影響を及ぼし、及ぼした結果、体がいろいろとこう不都合だったところが整ってくるみたいなことが起きてくるということが、最近研究のトピックとして注目を浴びています」

腸内環境で漢方薬の効き具合が変わる
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 黄疸の治療に用いられることが多い茵ちん蒿湯。腸内細菌によって、その薬の効き具合に影響することが分かり、より効果的に使える可能性が示されたのです。

漢方にも副作用

 ただ、漢方薬にも副作用があるため、注意が必要です。

多くの漢方薬に含まれている甘草
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「多くの漢方薬に含まれている甘草って、甘い草って書きますけども、甘草という漢方薬の生薬が含まれている製剤ですね。他の漢方薬もあれもこれもっていう合わせて飲んでいると、必要以上にたくさん飲んでしまっていることになって。そうすると、偽アルドステロン症というちょっと聞きなれない病気かもしれませんが、そういった副作用が出てくる、そういったリスクがあるということが言われていますので」

 様々な薬に含まれる甘草を取りすぎないよう、服用の際は医師や薬剤師などの専門家へ相談することも大切です。

紀アナ
「副作用も知って、賢く漢方薬を使っていければいいなと思いました」

科学的根拠を発信する公的情報サイト
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大野教授
「そうですね。厚生労働省の方も西洋医学と東洋医学、これを上手に組み合わせて使っていきましょう。患者さんの病気を治す、さらに病気の療養生活のQOLも高めていきましょうという、そういったことを目的に、西洋医学と東洋医学を組み合わせて統合しましょうという医療を進めていこうというそういった取り組みを進めています。その中の一つに、漢方が今どこまで研究が進められているのかというのをホームページでわかりやすく紹介している、そういった事業にも取り組んでいます。そちらに今、漢方がどこまで臨床試験で行われているのか。実際漢方は薬局で市販薬として購入することもできるので、どういったところに注意して購入したらいいのかといったところの意思決定のサポートになるような情報も載せていますので、ぜひ活用していただけたらと思います」

肥満症に効く漢方薬!?

肥満症への効果が期待される漢方は?
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 そんな漢方薬には、肥満症への効果が期待されているものもあるといいます。

紀アナ
「この先おいしいものも増えてきて、肥満症、気になる方もいるかなと思うんですけれど、そういう人に効く漢方薬ってあるんですか?」

防風通聖散
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大野教授
「そうですね。有名なものとしては防風通聖散という漢方薬があります。ドラッグストアで、いわゆる市販薬としても購入することができる結構、有名な漢方薬になってます。じゃあなぜ効くのかというところが気になるところだと思うんですけども、実際効く、効かないというところは、中国の古典にもその肥満症に合うような症状に効くというようなことはもちろん書かれていて、しかも最近ではちゃんとヒト臨床試験も行われたりしていて、実際その体重の減少効果であるとか、そういったことも一部証明されてはいるんですけども、メカニズムというところも気になるところだと思います」

(2026年9月16日放送分より)

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