
今月、ロシアによるウクライナの首都キーウへの攻撃頻度が侵攻開始直後以降、最多ペースになったという。攻勢を強める背景に、速度が従来型の4倍という新型ドローンの量産化が指摘されている。戦況にどう影響するのか。
キーウへの攻撃“最多ペース”に
まずは、キーウ周辺への攻撃について見ていく。侵攻開始直後以来のペースだという。
AFP通信が紛争監視団体のデータを分析したところ、ロシアによるキーウ州への攻撃について、1カ月間の過去最多は、侵攻開始直後の2022年3月の174回だが、今月は、18日までの時点で118回に上っている。これは過去最多ペースとなっていて、単純計算すると、月200回になる。
ロシアは10日から17日の間に輸送インフラなどを攻撃。また、ロイター通信によると、28日、ロシア国防省は、キーウにある複数のデータセンターを攻撃したと表明した。さらに、キーウ中心部の国立科学アカデミーにドローンが直撃したという。
背景にジェットドローンか
ロシアの攻勢の背景に新型ドローンの量産化も指摘されている。それがジェット推進型のドローンだ。
ウクライナ国防省は、ロシアが新型ジェットドローン「ゲラニ」の使用を本格化させていると分析している。
ウクライナ政府の公式サイト「ユナイテッド24」によると、新型ジェットドローン「ゲラニ」とは、全長6メートル、翼の幅は5.5メートル、弾頭の重量は90キロ、最大射程は1000キロあるという。中国製のジェットエンジンを搭載していて、プロペラが付いた従来型の4倍の速度の時速およそ600キロで飛行することができる能力を持っているという。
ウクライナの軍事専門メディア「ミリタルム」によると、ロシアは、国内で「ゲラニ」を月およそ3000機生産、5月以降にはモスクワの東およそ800キロのタタルスタン共和国にあるドローン生産の拠点に新たな施設を建設している。これによって、さらなる生産拡大の準備を進める兆候があるという。
迎撃は困難に?
これにより、ウクライナはジェットドローンの迎撃が困難になっているという。
これまでのドローン迎撃は、ウクライナの空軍司令部によると、移動迎撃部隊が機関銃で迎撃したり、迎撃ドローンを使ったりしていたが、ジェットドローンの迎撃は、ミサイルなど高価な防空システムが必要になるという。
ゼレンスキー大統領も先月31日「現在の最も困難な任務はジェットドローンの迎撃。迎撃能力を最大限に高めていかなければならない」と話した。
ロシアによる破壊工作とは
ヨーロッパでは、ロシアによる破壊工作への警戒が高まっている。
BBCなどによると、ロシアの関与が疑われる火災や爆発などの出来事が相次いでいる。
直近では23日、ポーランドのスターリンク基地局で火災が発生、放火の可能性があるという。
火災が起きたスターリンク基地局は、ポーランドのニュースメディアによると、ポーランド国内だけでなくウクライナにもインターネット接続を提供している。別のポーランドメディアによると、検察当局は中央ヨーロッパや東ヨーロッパでの通信妨害が目的と分析している。
ポーランドのガフコフスキ副首相は、「基地局の火災はハイブリッド攻撃の一部という兆候がみられる」と述べ、ロシアの攻撃と特徴が一致していると指摘している。
ハイブリッド攻撃とは、サイバー攻撃や軍事侵攻に至らないグレーゾーンで行われる妨害工作を指す。
NATO加盟国に限定攻撃?
ロシアがNATO加盟国に限定的な攻撃をする恐れもあるという。
先月6日のウォール・ストリート・ジャーナルによると、アメリカの情報当局者らが「ウクライナで成果の出ないプーチン大統領がNATO加盟国へサイバー攻撃や身分を隠した武装集団の派遣などの攻撃を行う可能性があると指摘」しているという。今年の秋から2029年までにそうした行動に出る可能性があると推定している。
NATOはこうした攻撃などの対応に苦慮している。NATO条約第5条では、加盟国が武力攻撃を受けた場合、全体への攻撃とみなし、攻撃された国の防衛義務を負うとあるが、ハイブリッド攻撃については明確な定義がなく、集団的自衛権を発動する際の問題になっている。
EUは28日、ハイブリッド攻撃への対応策を作る協議を開始した。加盟国間で即座に情報を共有し、経済制裁など対応策を集団で調整・発動できる仕組みが提案された。
(2026年9月29日放送分より)
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