新潟・長岡市で人気の「手描き看板」 絵師引退のピンチに後継者 受け継ぐ思い

新潟・長岡市で人気の「手描き看板」 絵師引退のピンチに後継者 受け継ぐ思い
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 新潟県長岡市で、全国から多くの人が訪れるほど注目を浴びている“あるもの”と、その歴史を受け継いだ制作者を取材しました。

【画像】初代と2代目の看板を見比べると…

500枚超の手描き看板

 歓声が上がるバス車内。皆さん、スマホやカメラで撮影中。一体、何に盛り上がっているのでしょうか。

松田ペットの手描き看板
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 皆さんが夢中になっていたのは「看板」。実はこれ、長岡市に店舗を構える創業53年のペットショップ「松田ペット」の看板です。

松田ペット 松田保夫社長
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松田ペット 松田保夫社長(82)
「手描きでなきゃおもしろくない」

 1枚1枚が手描き。個人店の看板にもかかわらず、現在、長岡市を中心に500枚以上設置されていて、これまでにおよそ2000枚描かれているそうです。

見学ツアーまで企画

「看板に会いに行く」ツアー
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 その人気は「看板に会いに行く」ツアーまで組まれるという観光資源の一面を持つほどに。

ツアー案内役 新稲ずなさん
「“手描き”で描かれている筆致のところも見ていただきたい」

 手描きによって生まれる3匹の犬の微妙な表情の違いが、ファンの心をくすぐります。

看板グッズも大人気
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 松田ペット店内で買える看板グッズも大人気。その人気は、長岡市にとどまらず全国に広がっています。

神奈川から参加した人
「実は顔の向きが左を向いていたり右を向いていたり」

東京から参加した人
「力強さとか生命力を感じる」

 なんと、北海道から参加したという女性もいました。

北海道から参加した人
「(看板を)ずっと見たくて、憧れていたので。シュールな顔が好きです」

制作者は94歳の看板絵師

 ペットショップの看板が、なぜ全国的に人気になったのでしょうか。

看板絵師 近藤忠男さん
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 その始まりは、ペットショップの社長が店の知名度を上げたいと、知り合いの看板絵師・近藤忠男さんに依頼したことでした。

松田社長
「(近藤さんは)映画の看板を描いていた人。写真みたいな絵を描くのかなと思ったら、(絵の)タッチは漫画チックで。『これはいいな』『かわいいな』と思いました」

 近藤さんは、今年で94歳。その手描きの看板は、どれ一つとっても同じものはなく、表情や顔の向きだけでなく、配置が違うものもあります。

チワワとヨークシャーテリアの順番が逆に
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近藤さん
「(Q.チワワとヨークシャーテリアの順番が逆になっているものがあった。何か意図が)どうでもいいんです。どれが真ん中でも。3種類を描けばいい」(2018年)

絵師引退のピンチに後継者

 そんな近藤さん、実はおととし、引退することに。大人気の手描き看板が途絶える危機を迎えました。

 今や長岡市特有の文化とも言われている看板を途絶えさせるわけにはいかないと、松田社長は後継者を探しました。

2代目 青柳謹一さん
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 その方が、青柳謹一さん(84)。去年から2代目として活躍しています。

 ですが、この看板は50年をかけて地域に根付いたもの。その看板づくりを受け継ぐことに不安や葛藤があったといいます。

青柳さん
「年齢的にはかなりもう終わりのほうですからね」

受け継がれる“観光資源”

埼玉県から新幹線で1時間半ほどかけて通っている
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 松田ペットの手描き看板絵師・2代目の青柳さんは、埼玉県から新潟県長岡市まで新幹線で1時間半ほどかけて通っています。

 印刷会社に勤めるかたわら、独学で絵を学び、これまでに、さいたま市の市章や長岡市の団体のロゴなどを手掛けてきました。

青柳さんの作業場
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 青柳さんの作業場。月に1回ほど訪れ、泊まり込みでおよそ1週間、作業を行います。

 寸法を測り、下書きをして、色を付けていく。街中に設置される看板だと、描き上げるのに3時間かかるといいます。

人気グッズのミニ看板
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 人気グッズのミニ看板も、すべて手描きです。

青柳さん
「このサイズだと、10枚から12枚くらい。大体8時間から10時間ぐらい働いて。松田ペットの看板といえば人のような目。それと、赤、青、緑。このバックの色。三原色が松田ペット看板の一番の特徴であり、モチベーションだと思っています」

初代と2代目の看板
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 受け継がれる、初代からの伝統。それでも、初代と青柳さんの看板を見比べると、タッチが違うような…。

「あまり私らしさを出さないようにしていますけど、やはり出るんですよね。(初代の)近藤先生は大雑把に、スピード感で描く。私はこだわるような部分があって、細かく描こうとするところがある」

 描き手が変われば、タッチが変わり表情も変わる。手描きにこだわってきたからこそ、生まれた魅力が長らく愛されてきた理由の一つです。

後継者を育てることにも意欲

 青柳さんが受け継ぐことで生き残った地域のアイデンティティー。しかしそこには、不安や葛藤もあったといいます。

青柳さん
「(初代の)近藤先生の描いた画風、これに近づけるのは容易じゃないなと。油絵とか水彩画とか、ポスターカラーは使いましたけど、ペンキは使ったことがない。年齢的にはかなりもう終わりのほうですからね」

 実際の看板を見たことで持ち前のチャレンジ精神から、心が奮い立ち、受け継いでいくことを決意したそうです。

 今では、後継者を育てることにも意欲を見せています。

作品が町の一部になることが原動力
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 描き手が変わっても、その魅力と想いは、町に残り続け愛されていく。青柳さんは、自身の作品が町の一部になることが原動力だと話します。

「50年間も手描きがつながっている。地域の文化財でもあり、大勢の人に見ていただけるというこれが一つの魅力。私の作品が出るというのは名誉であり、誇りを感じます」

2代目が描く未来

 青柳さんに未来予想図をお願いしたところ、看板に描いてくれました。

2代目が描く未来
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 グッズとしても人気のミニ看板に、まさに「看板犬」である3匹のイラストが描かれています。3匹の犬種は、チワワとビーグルとヨークシャーテリアということです。

 この3匹で「松田ペット3連星」というらしいです。どこか人間っぽくて、強い眼差しが特徴的です。

 そして、書かれているのが「未来に続く例の看板 生き続ける野生の看板」という言葉です。「例の看板」として話題になった看板が、田畑や道路脇などの日常の風景に自然と溶け込み根付いていくように、未来に残していきたいという思いが込められているそうです。

 また、青柳さんは後継者を育てることにも意欲を見せていて、「受け継いでくれる人がいれば一緒にやってみたい。何でも教えたい」と話していました。

(2026年10月2日放送分より)

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