「敵国条項」削除訴えめぐり中露北が反発 過去には“削除”賛成も 背景の思惑は?

「敵国条項」削除訴えめぐり中露北が反発 過去には“削除”賛成も 背景の思惑は?
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 高市早苗総理が国連憲章の「旧敵国条項」削除を訴えたことが、波紋を広げている。中国、ロシア、北朝鮮が強く反発しているが、そこにはどんな思惑があるのだろうか?

【画像】発端とされるのが…高市総理の「存立危機事態」答弁

 米中は友好ムードを演出したが、アメリカ政府内部では中国への反発があると報じられている。

ロシア、中国、北朝鮮から反発の声

 国連憲章第53条、第107条には…
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 まずは、冷え込む日本と中国・ロシア・北朝鮮の関係について振り返る。追い打ちをかけたのが、高市総理の演説だった。

 9月22日の国連総会で、高市総理は就任後初の一般討論演説で、「“旧敵国条項”は早急に削除されるべき」と訴え、安全保障理事会の改革の必要性にも言及した。

 この高市総理の発言後、ロシア、中国、北朝鮮から相次いで反発の声があがっている。

 そもそも「旧敵国条項」とは、国連憲章に設けられた条項で、条文には国名は記されていないが、第2次大戦中にアメリカなど連合国の敵国だった日本、ドイツ、イタリアなどの国々に関する規定のこと。

 では、どんな内容なのか?国連憲章の条文は大変難解なため、国際関係に詳しい、共同通信社編集委員兼論説委員の川北省吾さんにポイントを聞いた。

 まず、第53条について。通常、国連加盟国の武力行使には原則、安保理の許可が必要だが、「『旧敵国』が再び侵略した場合、安保理の許可を得ずに軍事行動をとってもよい」としている。

 また、第107条では、戦勝国が「旧敵国」に課した占領・国家分割などの戦後措置について、「国連憲章に反するという名目で無効にはできない」と定めているという。

過去には中露も削除に賛成

国連憲章の「旧敵国条項」の改正は実施されていない
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 ただ「旧敵国条項」の削除には、かつて中国もロシアも賛成していたという歴史がある。

 1945年の国連創設から11年後の1956年12月、日本もこれに加盟し、80番目の加盟国となった。そしてこれまで、安全保障理事会の非常任理事国を12回務めた。これは、加盟国の中で最多だ。

 また、国連の分担金は1980年代から2018年まで、アメリカに次いで2番目に多い額を拠出してきた。

 こうした貢献を積み重ねる中、1995年、国連総会で「旧敵国条項」を時代遅れと認める内容の決議が行われ、賛成155、反対0という結果になった。その際、中国とロシアも賛成し、日本の外務省は「旧敵国条項」は“死文化”しているとの認識を示した。

 さらに、2005年の国連首脳会合でも、「旧敵国条項」を削除するという決意が、中国・ロシアを含めた総意により採択された。ただ、実際の手続きに進むことはなく、国連憲章の「旧敵国条項」の改正は実施されていない。

ロシア「旧敵国条項」持ち出し批判

発端とされるのが、高市総理の「存立危機事態」答弁
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 こうした中で、「旧敵国条項」をめぐる議論が再燃している。

 発端とされるのが、去年11月7日、高市総理が国会で、台湾有事が日本の「存立危機事態」になりうると答弁したことだった。

 この発言の2週間後の11月21日、駐日中国大使館がSNSで、「国連憲章には『敵国条項』が設けられており、安保理事会の許可なく、直接軍事行動を取る権利を持つ」と主張。

 また同じ日、中国の国連大使は、グテーレス国連事務総長に書簡を送り、高市総理の発言が戦後国際秩序を深刻に損なうものと強調。国連憲章53条に基づく強制行動に言及した。

 そして、今年8月にはロシアのプーチン大統領が北方領土を訪問。これに日本が抗議すると、ロシアのラブロフ外相は、「日本の人たちが107条を含む国連憲章全文を熟読するよう心から願っている」と発言。ロシアも「旧敵国条項」を持ち出して日本批判を行った。

日本が看過できない発言も

米中首脳会談の成果文書には…
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 日中関係悪化の一方、米中は友好ムードを演出。しかし、アメリカ政府内部では、中国への反発があると報じられている。そんななか、日本にとって看過できない発言があった。

 9月24日、トランプ大統領は、習近平主席の歓迎式典のスピーチで「中国はアメリカの同盟国だった」と発言。その後の晩餐(ばんさん)会で習主席は「日本軍国主義の侵略者に肩を並べて戦った」とスピーチした。

 また、米中首脳会談の成果文書にも、「第2次世界大戦では米中が同盟国として戦い勝利した」ということを合意項目として明記された。

中国の外交官が激怒?

「サンフランシスコ講和条約」を巡り…
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 米中首脳のスピーチなどからは友好ムードも見られるが、アメリカ政府内部では中国への不満がくすぶっているとの見方もある。

 先月25日、トランプ大統領と習主席は、「アメリカ国立公文書館」を訪問したが、9月29日にアメリカの公共放送(NPR)は、「土壇場で展示内容が変更された」と報じている。

 当初は、今年建国250周年を迎えたアメリカの「独立宣言」や「合衆国憲法」などに加えて、「サンフランシスコ講和条約」も展示に含まれていたという。

 ただ、この「サンフランシスコ講和条約」について、中国は「違法かつ無効であり、承認できない」としている。

 というのも、この条約には日本が台湾などを放棄することは記載されているが、台湾の中国への帰属については明記されていない。さらに「講和会議に中国が招待されなかった」などの理由で、中国は不法・無効だと主張している。

 そうしたことから、中国の外交官は、サンフランシスコ講和条約が展示に含まれていることに激怒し、撤去されたとアメリカの公共放送は報じている。

 では、アメリカ側が中国の立場を知っていながら、こうした展示を予定した背景には何があるのか。

 アメリカの公共放送は、その背景には「トランプ大統領と習近平国家主席の友好的対応に対するアメリカ政府内部からの反発を示している」と伝えている。

(2026年10月2日放送分より)

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