“脱レアアース”へ リサイクルや代替本格化 “すでにEV搭載”

“脱レアアース”へ リサイクルや代替本格化 “すでにEV搭載”

中国による輸出規制が長期化するなか、日本企業はレアアースのリサイクル利用や、代わりになる技術の開発を加速化させています。私たちの身の回りで大きな変化が起き始めています。(サタデーステーション10月3日OA)

「レアアース」リサイクルが本格化 “数カ月後”家庭用エアコン搭載へ

上から次々と降りてくる部品。こちらは、エアコンを製造する工場ですがレアアースのリサイクルが本格化しようとしています。

三菱電機 静岡製作所 飯田敏充さん
「(Q.レアアース磁石はどこに入っている?)レアアース磁石は、こちらの(モーターの)ローターの中に入っています」

レアアース磁石とは、その名の通りレアアースを原料に製造される磁石のことです。
エアコンの心臓部ともいえる「圧縮機」のモーターを高性能化させるために、レアアース磁石が使われています。

三菱電機 静岡製作所 飯田敏充さん
「昨今の猛暑の影響で、“エアコンの高効率化”が求められています。その中で重要なものがこのレアアース磁石です」

一方で、レアアースの生産、特に「精錬」をほぼ独占する中国は、冷え込む日中関係のなか輸出規制を強めていて、日本への供給が不安定になっているのです。

会社は対策をはじめました。

三菱電機 常務執行役 調達担当 川路茂樹氏
「特定国の依存を減らして、鉄スクラップとして捨てられていたものから回収するというスキームも非常に大事になります」

今年6月から「家庭用エアコン」に使われているレアアースをリサイクルする取り組みを始めたのです。試算では。

三菱電機 常務執行役 調達担当 川路茂樹氏
「使われるレアアースの35%をリサイクルでまかなえる。(これまで)100%調達していたレアアースを65%の調達ですむ」

実現は近いといいます。

三菱電機 常務執行役 調達担当 川路茂樹氏
「リサイクルで作られた新しい磁石が出来上がっていますので(家庭用エアコンに)リサイクル磁石が搭載されるのは、数カ月後からかと思います」

“脱レアアース” 技術開発の最前線「世界最強レベル」すでに電気自動車に

一方、こちらの会社では、レアアースへの依存度を下げる新たな技術を開発しました。

プロテリアルマグネティクス 石井倫太郎 主任研究員
「これが“世界最強の磁石”と呼ばれるネオジム磁石です」

ネオジム磁石とは、17種類あるレアアースのひとつ“ネオジム”を使い磁力を強くした磁石のことです。
スマートフォンや電気自動車など、高出力が必要なモーターに使われています。

ネオジムで高出力が可能になった一方、問題も。

プロテリアルマグネティクス 石井倫太郎 主任研究員
「(高出力)モーターが回転してるときは、巻き線から熱が磁石に伝わる。その熱は約200度。熱が出ると磁力が弱まってしまうという問題がありました」

通常は、それを克服するために、別のレアアースを使って“磁石の耐熱性”を高めています。
その別のレアアースとは、ジスプロシウムなどの重レアアースと呼ばれるものです。
しかし、日本は重レアアースを100%中国へ依存しているため、入手しにくくなっているのです。

プロテリアルマグネティクス 石井倫太郎 主任研究員
「そこで我々は『重レアアース』をなるべく使わない磁石の開発を進めてきた。重レアアースを使わずに耐熱性を付与することに成功しました」

「重レアアース」を使わずに、どのようにして耐熱性を高めたのでしょうか?

プロテリアルマグネティクス 石井倫太郎 主任研究員
「“磁石の内部の結晶”と言われる組織を“コントロールする”ことによって実現しました」

少し謎めいた答えですが、これ以上は企業秘密という事です。
簡単に言うと、“製造の工程で不純物が入らないようにする”ことで、十分な耐熱性を実現したということです。

プロテリアルマグネティクス 石井倫太郎 主任研究員
「すでに電気自動車といった耐熱性が求められる環境で、高出力を発生するモーターに使われています。世界最強レベルと自負しています」

高島彩キャスター:
「レアアースの使用量をなるべく減らす技術の開発が進んでいるようですが、他にはどんなものがあるんでしょうか?」

板倉朋希アナウンサー
「自動車部品メーカーの『ミツバ』ではレアアースを全く使わないモーターも開発され実用化されています。使っているのは鉄を主成分とする一般的な『フェライト磁石』でこれを複数組み合わせるなどして、レアアースを使った従来品と同等以上の出力を実現しています。現在は、ワイパーやサンルーフなどのモーターに使われていて、今後さらに他の車載部品へ広げていくということです」

高島彩キャスター:
「車そのものを動かすような大型モーターは、さすがにレアアースなしでは難しいのでしょうか?」

板倉朋希アナウンサー
「まだ実用化までは至っていませんが、2025年に大手自動車部品メーカーの『アステモ』はレアアースを使わない電気自動車の駆動用モーターの開発に成功し、2030年頃の実用化を目指すと発表しています」

高島彩キャスター:
「柳澤さん、脱レアアースへの動きをどうご覧になりますか?」

ジャーナリスト柳澤秀夫氏
「経済安全保障の観点からすると、中国に依存している体質から他の調達先を開拓していくこと。さらには、レアアースそのものから他の素材に目を向けていく開発。さらにはリサイクル。こういったことが急務になっていることは間違いないと思いますね」

高島彩キャスター:
「いくつもの手段を持つというのは必要なことですよね。限られた資源に頼りすぎないためにも、日本のこの技術力に期待したいです」

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