
7月、マンションから飛び降りた男に巻き込まれ、女性が死亡した事件。女性の父親が、男への厳罰を求めるオンライン署名を始めました。活動にかける、父親の思いとは。
9カ月ぶりの食事の予定が…
亡くなった朋来さんの父
稲葉健二さん
「一言でいうと誰にでも優しい子だったと思います」
飲食店で働く稲葉朋来さん(当時23)。その命は、突然失われました。
7月、名古屋市のマンション11階のベランダから男が飛び降り、友人とともに歩道を歩いていた朋来さんが巻き込まれました。
専門家によりますと、衝突の衝撃は1~3トンにまで及んだ可能性があるといいます。
稲葉さん
「事故の1時間半後ぐらいに(朋来さんの)姉から連絡が入って『朋来が事故に遭った』と」
すぐに病院に向かった、父の健二さん。しかし娘に声を掛けても、返事はありませんでした。
「私としてはおそらく即死だったのかなと。救急救命の方が、私たちが着くまで(心臓マッサージで)脈を動かして、待っていていただいたんじゃないかな」
「これが娘との最後のやり取りのラインです」
亡くなった朋来さんからのLINE
「月曜おとーさんちに夜ご飯食べに行こうとおもとるんやけど大丈夫?」
普段は、離れて暮らしていた家族。亡くなった翌日は、本来ならおよそ9カ月ぶりにそろって食事をする予定でした。
「久しぶりに会う約束ができたので、非常に楽しみで待っていたんですけどね」
「良い友に巡り合うように」そんな思いを込めてつけた名前の通り、朋来さんの葬儀には、たくさんの友人が訪れたといいます。
一方、飛び降りた男(29)は、一時意識不明の重体でしたがのちに回復。重過失致死の容疑で逮捕され、現在は刑事責任能力などを調べるため鑑定留置に入っています。
健二さんは、男に接見を申し込み、これまでに3度面会しています。
「『大切な娘さんをこういう形にさせてしまって申し訳ありませんでした』という言葉は聞きましたけど、正直誰にでも言えますよね」
「私が『下に人がいようがいまいが、死のうが死ぬまいが知ったこっちゃないと思って飛んだんだろ』と聞いたら『はい。そうです』と言いました。人を巻き込むことを構わないと思って飛んでいる。当然これが事故として片づけられるのは到底、納得がいかない」
殺人罪 法的なハードルも
男が飛び降りたマンションは、深夜でも明るく通行人も多い繁華街に面していました。
健二さんはこれまでに何度も現場を訪れては、通行人の数を数え、事件があった午前1時ごろでも2時間弱の間に300人近くが通ったといいます。
健二さんは、男が通行人を巻き込むリスクを認識しながら飛び降りたことには「未必の故意」があったとして、重過失致死より重い殺人罪の適用を求めています。
先月始めたオンラインでの署名には、これまでにおよそ4万5000筆の賛同の署名が寄せられています。
しかし、殺人罪の適用には、法的なハードルもあると専門家は指摘します。
澤井康生弁護士
「11階から飛び降りた場合、仮に下に通行人がいたとしても当たるかどうかは全く分からない。そういった状態を客観的に判断すると、殺人罪としての実行行為性が認められるかというのは、簡単ではない」
それでも健二さんは、娘の死を「不幸な事故」として終わらせないために、また同じ被害が繰り返されないために、活動を続けていくといいます。
「第三者が死亡しているというのは事実。やはり事故として扱ってほしくない。それをもし今の法律で変えられないのであれば、もっと被害者、娘や遺族のために寄り添った法律や法改正をしていただきたいと思います」
(「グッド!モーニング」2026年10月11日放送分より)
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