
プレミアリーグ史上初、4連覇という輝かしい功績を持つマンチェスター・シティに、約9億ポンド、当時のレートで1300億円を超える財務規則違反があったと認定されました。
認定後、初の公式戦が行われ、試合前のスタジアム周辺には敵サポーターから“罵声”が上がっていました。
栄冠支えた“オイルマネー”
マンチェスター・シティに向けられている数々の疑惑。

プレミアリーグの独立調査委員会が、114件の疑惑を有罪と判断しました。
不正が行われ始めたとされるのは2009年。
アブダビの王族であり、世界に名だたる石油王の1人であるシェイク・マンスール氏が、マンチェスター・シティを買収した翌年から始まったとみられています。

代表的な不正は、スポンサー企業からの収入のように見せかけ、巨額の資金が、マンスール氏の所有する会社から投入されていたというもの。
プレミアリーグは、チームの公平性を保つため、選手獲得などに際して、年間の赤字限度額を設けています。しかし、シティ側は、それを大幅に超える赤字を、マンスール氏の資金で補いながら、リーグには虚偽の報告をしていたといいます。

9年間で9億ポンド。当時のレートに換算して、約1300億円という巨大なポケットマネーが、“財務記録に乗らない”形で投じられ、有望な選手を次々と獲得していたといいます。
例えば、40億円以上を費やしてアグエロを獲得した2011年、メッシが最も信頼する男と評される選手の活躍で、44年ぶりのリーグ優勝を果たしています。

デイリー・メール ニック・ハリス記者
「3部リーグの中堅だったチームが、2012年以降は、8回プレミアで優勝し、世界有数の高収益クラブへと変貌した。毎年、平均149億円を選手獲得や給与に費やしてきた。不正なしには賄えなかった金額です」

有罪なら“前代未聞の罰則”
独立委員会の裁定が報じられると、クラブには厳しい追及の目が向けられます。
マンチェスター・シティは、裁定を不服として控訴しましたが、もし、有罪が確定すると、相当なペナルティを課されると予想されています。過去のタイトルのはく奪や、プレミアリーグからの降格につながる勝ち点の減点などです。

デイリー・メール ニック・ハリス記者
「クラブは、複数シーズンにわたって、数百ポイントをはく奪されるかもしれません 。有罪が確定すれば、前代未聞の罰則になるでしょう。2部リーグ降格なら人件費削減のため、多くの選手の放出を余儀なくされます。ハーランド選手のような高額選手が、2部リーグへ行くわけがない」
擁護発言で首相も“炎上”
さらに、この問題は、イギリス政界にも飛び火しています。
イギリス バーナム首相(先月30日)
「マンスール氏らを失うのは本当に心配です」

かつて、マンチェスター市の市長を務めていたバーナム首相が、チームをかばうような発言をしたことで、シティとの癒着を疑われる事態になっています。
マンチェスター・シティは、リーグの調査に虚偽の証拠を提出したことなども問題となっていて、しばらく批判は収まりそうにありません。
イングランド代表のレジェンドはこう提言しました。

元イングランド代表 ゲーリー・リネカー氏
「今こそ潔く過ちを認め『我々が間違っていた。サッカー界のために、罰則を受け入れ、前に進む』と宣言してほしい。いつも苦しむのはファン。悲しいことです」

◆イギリス・ロンドンにいる山野孝之支局長に聞きます。
(Q.問題は、さらに広がりそうですか)
山野孝之支局長
「政界には、すでに飛び火していますし、刑事事件として捜査すべきではないかという声も上がり始めています。今回の容疑ですが、申告されたよりも、大きな報酬が監督や選手に支払われていたというものです。このため、税金や公的な保険についても巨額の未払いがあるという疑惑が出始めています。著名な弁護士事務所によると、当時の監督への報酬だけで、税金についていえば、約2300万ポンド、日本円で約50億円の追徴課税が課せられる可能性があると指摘しています。国会議員の一部からは税務当局に対し、徹底調査が要請されています」

(Q.世界最高峰のリーグで、最強ともいえるチームに起きたことですから、今後、どうなっていくのか心配な一面もありますね)
山野孝之支局長
「そうですね。一言で言えば、イギリス国内には困惑が広がっています。生粋のマンチェスター・シティのファンは『何があっても応援する』と息巻いていますけれども、そのほかの人にとっては違います。サッカーは、イギリスの国技ですし、プレミアリーグは、世界最高峰の評価をもらっています。マンチェスター・シティは、そのトップのチームです。そのチームに、このようなスキャンダルが起きたということで、イギリスそのものの威信にも傷がつくのではないかという困惑が広がっているんです。チームは、今月2日に不服を申し立てました。新たな調査委員会が年末までに立ち上がり、その委員会の調査結果を待って、最終的な処分が決まる予定になっています」
