
サウジアラビアの空港が10日にミサイル攻撃を受けました。犯行表明をしているイエメンの武装組織『フーシ派』の幹部が報道ステーションのインタビューに答え「アメリカが介入しないよう警告する」と発言しました。戦線拡大への懸念が世界中に広がってます。
【画像】フーシ派幹部「米参戦したら必ず報復」サウジの空港攻撃“戦線拡大”か
サウジの空港攻撃 民間人死亡
空港の出発ロビー。多くの巡礼者が飛行機に乗り込もうとする、その時。一瞬にして黒い煙に包まれました。火の手が上がっているのも確認できます。強い衝撃の後に天井が崩落。逃げまどう人々に炎も迫っています。

この攻撃の実行犯であるイエメンの反政府武装組織『フーシ派』の幹部が取材に応じました。

フーシ派幹部 モハメド・アルブハイティ氏
(Q.今回の攻撃の意図は?)
「封鎖には封鎖。敵対行為には敵対行為。我々の空港の攻撃を開始したのはサウジ側だ。これは正当防衛だといえる」
標的となったのは、年間約4000万人が利用するサウジアラビアの首都リヤドにあるキング・ハリド国際空港。300人以上がけがをして、13人が亡くなりました。死亡者の中にはアメリカ人1人も含まれています。

亡くなった女性の親族
「彼女のために、神に無事を祈っていたのに…」
リヤドに暮らす日本人も、危機が自分たちの生活に迫っていることを感じています。

日本のグッズなどを販売 廣田一文さん(38)
「買い物をするモールは静かになっているなと感じる。この2日間で一気に人が減った。リヤドからの脱出手段が今、だいぶ制限されていると感じるので、そこが一番、生活する上で何かあった時に、自分たちがどうするかを考えた時の不安要素かなと」
フーシ派によるこの空港への攻撃は1週間で4回。犠牲者は18人に上ります。

フーシ派幹部 モハメド・アルブハイティ氏
「サウジアラビアは最新の防空システムを有しているが、我々はミサイル開発に成功し、今も進歩し続けている。アメリカやイギリスなどと対峙(たいじ)した時も十分な装備だったが、今はさらに最新鋭のものを有している」
“報復の連鎖”で対立激化
『フーシ派』とは、イランが支援する武装組織で、隣国のサウジアラビアとも衝突を繰り返しています。今年7月以降、紅海のバブエルマンデブ海峡近くの都市で、攻撃の応酬が勃発。この海峡は、アメリカとイランの対立激化でホルムズ海峡が事実上閉鎖する中、紅海側の輸出ルートとして重要性が高まっている場所です。

対決の構図は、イランが軍事的な支援を行うフーシ派と、アメリカが後ろ盾となっているサウジアラビアに。ただ、アメリカはこれまで直接的な介入は避けてきました。しかし…。

アメリカ トランプ大統領
(Q.サウジによる空爆に参加するのか)
「検討する」
(Q.判断はいつ)
「先ほど攻撃を知ったばかりだ。判断は迅速に行う」
アメリカ人も犠牲になった空港への攻撃を受けて、トランプ氏がフーシ派への攻撃に加わる可能性を示唆。この発言に対して、フーシ派の幹部は、即座に強く警告を発します。

フーシ派幹部 モハメド・アルブハイティ氏
「我々はアメリカに介入しないよう警告する。介入があれば、即座に湾岸地域のアメリカ施設を標的にする。アメリカには過去の経験から学ぶよう勧める。我々は正当防衛の権利があり、臆することはない。敵対国には攻勢を仕掛ける。我々はベネズエラやキューバとは違う。我々には平和実現への準備がある。ボールはサウジアラビア側にある」
中間選挙前に米国参戦も
アメリカが、直接介入へと舵を切る可能性はあるのか。フーシ派とアメリカは2025年に停戦が成立しています。

慶応義塾大学 田中浩一郎教授
「フーシ派への攻撃に、アメリカが能動的・主体的に関われば停戦も破られることになり、アメリカに関わる船舶への攻撃がバブエルマンデブ海峡や紅海でも行われることもあり得る」
(Q.アメリカの介入も十分あり得る)
「中間選挙の前、後にかかわらず“アメリカに利益になる”とトランプ大統領が判断すれば、軍部がどう賛成・反対しようと起きるだろう。サウジアラビアに関わる船舶が通れなくなってすでに久しい。これが続けば中東原油、とりわけサウジアラビアの日本への原油供給は再び減るだろう」
サウジの空港攻撃“戦線拡大”か
カイロ支局の松本拓也記者に聞きます。
(Q.フーシ派による、サウジアラビアへの連日の攻撃を、周辺国はどう受け止めていますか)
カイロ支局 松本拓也記者
「今回の攻撃でエジプト国民も1人が犠牲になっているため、エジプト政府は『国際法に対する露骨な違反だ』とフーシ派を厳しく非難しています。今回の攻撃で一番懸念されるのは、原油価格への影響です。紅海でもサウジアラビアとフーシ派による衝突が繰り返されていることから、原油を輸出する多くの船が、バブエルマンデブ海峡を避けて通っている状態です。スエズ運河を通って地中海に抜けた後、喜望峰を回るルートを選ぶ船がありますが、日数は通常の倍になるほか、コストもかかるため、原油価格への影響は少なくありません」

(Q.松本さんはフーシ派の幹部に何度も取材していますが、これまでとの違いは感じましたか)
カイロ支局 松本拓也記者
「サウジアラビアへの敵対心は同じでしたが、民間人に犠牲者が出たことに対しては『事前警告を無視したサウジアラビアの責任だ』という言葉が印象的でした。また、軍事介入を検討するトランプ大統領にも『アメリカがこの争いに参戦すれば、必ず報復する』と語っていて、これまで以上に言葉が強かったと感じました」

(Q.現状はサウジアラビアへの攻撃に留まっていますが、他の湾岸諸国を巻き込むような事態に発展していきますか)
カイロ支局 松本拓也記者
「エジプトやトルコなど、周辺の国が相次いでフーシ派の攻撃を非難する声明を出しています。こうしたことから、サウジの支援に動く国が出てくる可能性はあります。ただ、フーシ派は『サウジアラビアを支援する国は敵とみなす』と度々、警告しているので、表立った支援を打ち出せば、その国にも戦禍が飛び火しかねない状態です。巻き込まれればやけどだけでは済まされないため、周辺国も対応に慎重になっていると言えます」
