行楽の秋 介護付きツアー 脳梗塞でも3年ぶり母娘旅 シニア世代も安心の新しい旅の形

行楽の秋 介護付きツアー 脳梗塞でも3年ぶり母娘旅 シニア世代も安心の新しい旅の形
この記事の写真をみる(13枚)

 この3連休は行楽客の姿が各地で見られましたが、今、介護が必要な高齢者向けの新たな旅行サービスが人気となっています。

【画像】坂道などを楽に移動 器具を取り付け人力車のような形の車いす

“介護付き”諦めない旅の形

観光客
「すごくきれいだなと」
観光客
「晴天の青空の下、山の上は紅葉だし神の世界ですね」

 秋晴れとなった3連休、多くの観光客が赤やオレンジに染まった山肌に魅了されていました。

日帰りツアーに参加したのは高齢者5人
拡大する

 秋の旅行需要が高まるなか、愛知県西尾市で秋の日帰りツアーに参加したのは77歳から91歳までの高齢者5人です。

ツアー参加者
「(Q.おいくつですか?)今85歳」
ツアー参加者
「90歳」
ツアー参加者
「一緒、90歳」

 参加者の隣には…。

理学療法士 弓川大地さん
「僕は理学療法士と保健医療学の博士号を持っています」

理学療法士 坂元玲介さん
「理学療法士と旅程管理主任者」

介護付きのツアー
拡大する

 実はこのツアー、看護師や介護福祉士、理学療法士など医療系の国家資格を持つスタッフが同行する介護付きのツアーなんです。

弓川さん
「失礼いたします」
「36度1分」

 ツアー中は体温や血圧を計るなど、こまめに健康状態をチェック。参加者が転ばないように、スタッフが支えながら移動します。

 昼食は、愛知県が有数の産地になっているイチジクを使った会席料理です。ここでも、介護付きツアーならではのポイントが。

介護付きツアーならではのポイントも
拡大する

弓川さん
「とろみが必要な時のとろみ(剤)とかハサミ」

 飲み込みやすくするためのとろみ剤や、食べ物を小さくするためのハサミなどを準備。

ツアー参加者(85)
「大満足でした。おいしかった。こんないろんな料理があるなんてね。イチジクでね」

ツアー参加者(77)
「一年のうちでこういう(ツアーの)時だけ外食は。だからすごく楽しみ」

ツアー参加者(91)
「長生きしますね。91歳だけど食べちゃう。おうちだと完食なんてこんなにたくさん食べないよ」

 食事会場も、バリアフリーか食物アレルギーに対応できるかなど、下見や打ち合わせを経て決めています。

車いすにも工夫

 これまで20回以上参加している常連さんもいました。

山口たよ子さん
拡大する

山口たよ子さん(90)
「一人暮らしで家ばっかりいるとね、話する人もいないし、一度誘われて行ってみたら楽しかったもんだから。旅行あるのを待ち遠しく思っています」

 4年前に心不全を患い、持病の腰の痛みもあるため、長い時間歩くことが難しいといいます。

 参加者が歩き疲れた時のために用意した車いすにもある工夫がありました。

坂元さん
「(地面に)前輪がついているのを、これを使うことで上がるんですよね。こうすると砂利や坂道を楽に(移動)できたり」

器具を取り付け人力車のような形に
拡大する

 車いす前方のフレームに、器具を取り付け人力車のような形に。車いすが引きやすくなり、坂道などを楽に登れるといいます。

山口さん
「気持ちがいいです。楽です」

 今回の日帰りツアーは4カ所を巡り、昼食が付いて料金は1人3万6300円。日帰り旅行の平均単価2万円と比べると割高ですが、介護付きツアーは年間300回以上開催されるほどの人気です。

「何をやるにも丁寧に付き添いしてくださるし、ありがたかったです」

脳梗塞でも…母娘旅行

 介護付きツアーを主催しているのが、愛知県豊田市にあるデイサービス「P-BASE」です。

 ツアーを始めたきっかけは、利用者からのある一言でした。

デイサービス「P-BASE」 坂元玲介代表
拡大する

デイサービス「P-BASE」
坂元玲介代表

「脳出血の後遺症で半身のマヒがある方がみえて、リハビリやってどんな意味があるんだろうねと言われてて。どうせ無理だけど温泉とか行ければいいなとポロッと言われて」

 坂元さんは男性に付き添い、温泉旅行へ。

「その時に泣いて喜んでいただけた。温泉に行ったことをきっかけに、次のリハビリからはかなり意欲的になられて」

 旅行がきっかけで人生が大きく変わることを知り、介護付きツアーの事業を立ち上げました。

個人旅行にも対応
拡大する

 介護付きツアーは、グループ旅行だけでなく個人旅行にも対応しています。

坂元さん
「きょうの体調はどうですか?」
母・澄子さん(92)
「いいです」
坂元さん
「OK」

 石川県で暮らしていた澄子さん。2月に脳梗塞(こうそく)で倒れ、体にマヒが残りました。娘の優美さん(67)が自分の暮らす愛知県に母を呼び、自宅で介護を続けています。

娘・優美さん
「お出かけしたい所いっぱいあるんですけど、私が一緒に行くと私がずっと車いすを押して自分が何も見ることもできず、何もすることもできず。一緒に楽しみたいんですけど、なかなかできなくて」

親子での旅行は3年ぶり
拡大する

 「名古屋観光をしたい」という母の願いをかなえるため、介護付きのツアーを申し込みました。今回、親子での旅行は3年ぶりだといいます。

ケアを受けながら旅行

 この日、名古屋市の最高気温は36℃を超え、熱中症警戒アラートが発表されていました。

坂元さん
「ここで水分取りましょうか」
「これ10秒。冷たいですけど手冷やしましょう」

母・澄子さん
「気持ちいい」

ケアを受けながら名古屋城を堪能
拡大する

 こまめに休憩をとり、脈拍チェックに水分補給、保冷剤で体を冷やすなどケアを受けながら、名古屋城を堪能しました。

母・澄子さん
「素晴らしいね」

娘・優美さん
「堪能できました。普通だったら(車いすを)押すのに必死で(じっくり)見ることはなかった」

 昼食は、母・澄子さんが希望した名古屋めしの代表格、ひつまぶしです。

昼食は母リクエストのひつまぶし
拡大する

娘・優美さん
「おいしかったですか?」
母・澄子さん
「おいしかった」
娘・優美さん
「うなぎを食べたいってことをお伝えしたら、選んでいただいて、ご予約していただきました」

 旅の締めくくりは、愛知の旬の農作物が並ぶ産直市場へ。

坂元さん
「歩いてみます?車いすで見ます?」
母・澄子さん
「歩いてみるか」

リハビリを兼ねて安全な場所は歩くように
拡大する

 リハビリも兼ね、安全に歩けそうな場所は歩くように促します。坂元さんが介助しながらゆっくりと…。

娘・優美さん
「ナスはどうですか?」
母・澄子さん
「ナス?これダメ」
娘・優美さん
「厳しいですね。これはいかがでしょうか?」
母・澄子さん
「これはまだいいな」
坂元さん
「よかった、合格」

 高齢になってから、買い物など外へ出かける機会も減ったという母・澄子さん。

娘・優美さん
「選びますね。しっかりと」
「(Q.こういう姿を見るのは久しぶり?)何年も見てないですね」

坂元さん
「昔の私に戻ってるみたいな、若々しい。(リハビリ時と)また違う表情を買い物の時にみせてくれるので、旅行の時には買い物という時間を入れるようにしています」

 およそ6時間の日程を終え、自宅へ。

坂元さん
「念願の名古屋城はいかがでした?」
母・澄子さん
「良かったです」
坂元さん
「じゃあ、リハビリ頑張ってくださいね。お疲れ様でした」
母・澄子さん
「ありがとうございました」

 個人での日帰りツアーは6万円から10万円。体調管理や移動手段の確保など、個人では限界があり、諦めていた旅行を楽しめると好評です。

諦めていた旅行を楽しめると好評
拡大する

娘・優美さん
「しっかり下見もしてくださって、調べていただけるので、安心して私たちは行こうねって」
「旅行どこに行ってみたいですか?」
母・澄子さん
「歩けるようになったら…富山か」
娘・優美さん
「温泉にも行きたくなったね」

(2026年10月13日放送分より)

この記事の画像一覧
外部リンク
この記事の写真をみる(13枚)
このまま画像を見る
続きは広告を見た後にご覧いただけます
クリックして広告を見る