13日の衆議院予算委員会で、民主改革の会の山岡達丸議員が簗和生農林水産大臣の衆院選における「シャトルバス送迎」問題を追及した。山岡議員は、出陣式の会場まで有権者を無料でマイクロバス送迎した行為が公職選挙法違反にあたる可能性を指摘。さらに、事前に選挙管理委員会に確認したとする簗農水大臣の午前中の答弁と選管側の説明が食い違っているとして「虚偽答弁ですか」と詰め寄り、委員会室内にヤジが飛び交う一幕があった。
山岡議員が取り上げたのは、2026年1月27日の衆議院選挙公示日、栃木県大田原市で行われた簗農水大臣の出陣式での事案だ。山岡議員は、会場から離れた駐車場に車を止めた人たちに対してマイクロバスを用意し、会場まで無料で運んでいたと指摘。さらに「証言によれば20往復くらいしていた。そして、その支出は陣営が出した選挙運動費用の収支報告書に載せ、2026年では23万5400円ということで計上されている」と述べ、選挙期間中に行われた行為である点を強調した。
その上で、山岡議員は手元の『選挙関係実例判例集』を示し、「候補者が個人演説会を聞いてもらうために有権者をバスで会場まで運ぶことはどうか」という問いに対し、「公職選挙法の第221条の利益供与となる」と明記されていると説明。
埼玉県の選挙管理委員会でも個人演説会に参加してもらうためのバスチャーターは買収罪に該当するとされているとし、「全国統一して、埼玉で許されてないけれども栃木で許されてるということにはならない」と指摘した。
論点となったのは、このバス運行をめぐる選管への事前確認の有無だ。簗農水大臣は13日午前の衆議院予算委員会の質疑で、スタッフがバスを借り上げる前に選管に確認し、会場費の一部として計上する旨の回答を踏まえて処理したと答弁していた。しかし、山岡議員側が栃木県選挙管理委員会へ確認したところ、「問い合わせがあったとの記録は残っていない。担当者にも確認したら、その記憶もない」「やる前に聞かれたら、実例判例集に基づいて“違反になる”と答えるはずです」との回答を得たという。山岡議員は「午前中、『借り上げる前に確認した』とおっしゃいました。これは虚偽答弁ですか」と答弁を求めた。
これに対し簗農水大臣は、「当時の経緯について私なりに確認をしたところ『選管に確認を入れた。照会をかけた』という風なスタッフからの話がありましたので、そのように答弁をいたしました」と釈明した。
山岡議員はさらに、栃木県選管が「起こってしまった後にどう計上をしていいか聞かれたら、『それは会場費に含めるしかないでしょうね』と答えることになると思います。ですがそれは違反ではないという意味で言っているものではありません」と説明していたことも明かし、「つまり公職選挙法違反じゃないですか」と迫った。場内からは「虚偽答弁だよ」などのヤジが飛んだ。
簗農水大臣は、「当時、これを会場費の一部として見なすということ、これについては利益供与や寄付に当たらないと、こういう趣旨で照会をかけて、それを元にこの対応を取ったということでスタッフから報告を受けております」と説明。その上で、「一度出陣式の会場にもうすでに来ていただいた方、その会場まではこんだということではありません。来ていただいた方にそのままお帰りにいただくというわけにはいきませんので、また、夜の時間帯、また寒い時期でもあります。こういう方にご高齢の方、また杖等を使われてる方、こういった方に800メートルという距離を歩いてきていただくということが実際にできない、あるいはそれを強いるということは大変なご負担になる、そういう人道的な観点からそのような対応を取ったということでございます」と述べ、人道的配慮に基づく対応だったと主張した。
北海道選出の山岡議員は「2月の選挙、大変寒さ厳しい中で、私たちだって、お越しいただく方の人道上のことをいろいろ考えて、どうするべきか。私に関して言えば、第一声は室内でやることにしました」と反論。その上で「人道上の配慮があれば公職選挙法違反にならないということになるケースなんでしょうか」と総務省にただした。
答弁に立った総務省自治行政局の島田勝則選挙部長は、「個別の事案について実質的調査権を有しておらず、具体的な事実関係を承知する立場にはありませんので、お答えは差し控えさせていただきます」と前置きした上で、「公職選挙法第221条第1項第1号において、当選を得、または得させる目的などをもって、選挙人または選挙運動者に対し、金銭、物品その他の財産上の利益の供与などをした時における買収罪についての規定がございます。いずれにしても、個別の事案が公職選挙法の規定に該当するか否かについては、個別の事実に即して判断されるべきものと考えております」と述べた。
山岡議員が栃木県選管の見解が合っているか重ねて問うても、島田選挙部長は「具体的にどのようにお答えになったか承知をしておりませんので、お答えは差し控えさせていただきます」と回答。直前のやりとりを無視するような答弁に、委員会室からは「今言ったよ」「それは無責任だよ」とヤジが飛んだ。
山岡議員が「一般論として、選挙期間中に無料でシャトルバスに有権者を乗せ、公道を通って演説会場まで誘導する行為は選挙違反になるのか」と問い直しても、島田選挙部長は「個別の事案について実質的調査権を有しておらず……」と答弁を繰り返し、議場は騒然となった。「個別の事案が公職選挙法の規定に該当するか否かは、個別具体の事実関係に即して判断されるべき」と繰り返す選挙部長に対し、室内からは「言ってるやん今」と激しいヤジが相次いだ。その後、委員長から一般論に該当するかどうか答えるよう促されても、島田選挙部長は「捜査機関により具体的な事実関係の調査が行われ、最終的には司法により判断が行われるものと承知をしております」と述べるにとどまった。
山岡議員は「午前中に『事前に確認をした』というふうにおっしゃった、この部分について選挙管理委員会が明確に否定している。私は虚偽答弁だと思う」と総括。続けて高市早苗総理に対し、「公職選挙法違反の疑いで捜査の対象にもなれば、農林水産政策の推進に集中できる環境でもなくなります。大臣にまつわるこれからの様々な問題への連帯責任も問われる、その状況にあると思います。その覚悟で継続をさせていくんでしょうか」と進退判断を迫った。
高市総理は、報道されている簗大臣の過去の発言について「実に不適切であり、その後の対応も不適切でありましたので、私からは厳しく注意をいたしました」としつつ、シャトルバス問題については「今朝からのやり取り、そして今のご質疑と答弁を聞いても、私には全容が見えません。あたかも現時点で明らかに公職選挙法違反であると私に決めつける権限もございませんし、事実関係全体が見えませんので私が何か今、申し上げるというのは差し控えます」と答弁。「今日また新しい話が出てまいりましたので、全容解明、そしてまた本人からの説明、せっかくこれ予算委員会の場でも説明するチャンスがあるわけですから、しっかりとご質疑もいただき、また本人も誠実に答弁をするべき場面であると考えております」と述べた。
簗農水大臣をめぐっては、自身を支持しなかった自治体の道路予算を「大幅に削った」とする発言や、予算配分への介入をほのめかした問題で批判が相次いでいる。同日午前の予算委員会でも、公明党の中野洋昌議員が高市総理の任命責任を追及し、高市総理が「あれが事実であるとしたら本当に不適切なもので、本当にダサいと思います」と述べる場面があった。参院の野党6党が問責決議案の提出を検討し、疑惑対応のために農林水産省内に“お支えチーム”が結成されるなど波紋が広がる中、選挙期間中の送迎問題という新たな疑惑が浮上したことで、国会での追及はさらに激しさを増している。
(ABEMA NEWS)
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