14日の衆議院予算委員会で、日本維新の会の阿部圭史議員が質疑に立ち、急速に核戦力を増強する中国の動向や、日本の安全保障・核抑止戦略についてただした。米ロ間の核軍備管理体制が崩壊し、世界が「核の無制限競争の時代」へと移行しつつあるとの危機感のもと、国際政治の冷徹なリアリズムに基づく議論が展開された。
阿部議員はまず、ウクライナ侵略におけるロシアの「核の威嚇」「核の恫喝」に触れつつ、日本の隣国である中国の軍事的脅威に焦点を当てた。中国が大陸間弾道ミサイル(ICBM)のサイロを300カ所以上新設し、2035年には最大2000発の核弾頭保有を目指して米ロに匹敵する核戦力の構築を志向しているとされるデータを提示。中国が不透明な核軍拡に邁進する一方で、唯一の被爆国として核軍縮を掲げる日本の防衛力強化を「新型軍国主義」と非難する中国の姿勢に防衛大臣の認識を問うた。
これに対し、小泉進次郎防衛大臣はシンガポールでのアジア安全保障会議(シャングリラ会合)での肌感覚を交えつつ、中国の主張に「新型軍国主義なるナラティブ(物語)を世界に浸透させようとしているのかもしれないが、そこに共感する人はほとんどいないというのが現状ではないか。核兵器を持っていない、戦略爆撃機も持っていない、そういった国に対していずれも持っている国が『新型軍国主義』という、こういったことに共感をする国がいるのかといえば、今の状況は明らかだと思う」と批判。
さらに「それでもなお次々に新たなナラティブを生み出しながら自国の不透明さは隠し、一方で日本に対しては不名誉、また不当な、そういったことに対して我々は言うべきことは言いつつ、常に対話はオープンであるという姿勢を貫くことが大事だ」と強調した。また、中国が弾道ミサイルを増勢し、南太平洋に向けて潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を発射した事実も挙げ、その透明性の不足と相まって「我が国と国際社会の深刻な懸念事項」であると断じた。
質疑の中盤、阿部議員は「核軍縮と核抑止は対立概念ではない」と主張。「短中期的には『再び日本が核攻撃を受けない』ことを目的とした核抑止を、国家安全保障戦略の中心概念として位置付けるべきではないか」と高市総理に覚悟を迫った。
高市総理は、「米国の拡大抑止を確保しながら、核兵器のない世界という理想に近づけていくための取り組みは決して矛盾するものではない」と強調。
また、同盟国との関係や防衛体制の根幹について、「自らの国は自らで守るという強い意志と努力がなければ、いざという時に同盟国・同志国の信頼と支援を得ることはできない」と明言。「我が国にとっては日米同盟の意義・重要性を十分認識した上で、年末の(国家安全保障戦略など)3文書改定に向けた具体的かつ現実的な検討を加速させる」と強い決意を述べた。
さらに阿部議員は、中国海軍が第2列島線を越えて太平洋へと恒常的に進出している現状を踏まえ、海洋戦略を「近海防衛から外洋拒否へ」と転換すべきだと主張。太平洋防衛を見据え、豪州や韓国と同様に日本も原子力潜水艦の導入を早急に検討すべきではないかと提起した。これに対し高市総理は、太平洋側における自衛隊の情報収集・警戒監視能力が限定的であることを認め、「太平洋側の防衛体制の強化は急務。シーレーンを守るための取り組みを一体的に進めるべく、米国や豪州、韓国を含む同志国の動向や周辺国の軍事活動の活発化を踏まえ、具体的かつ現実的な検討を深める」と応じた。
質疑ではさらに阿部議員が有事において自衛官が戦死した場合を想定し、遺体の身元や死因特定のための「検視・検案・解剖」について、現在解剖を民間委託している現状を指摘。遺族への迅速な返還や任務情報秘匿の観点から、自衛隊内で法医学体制を自己完結させる必要性を訴えた。これに対し木原稔官房長官は「防衛省においても自己完結の重要性は認識しており、自衛隊における検視のあり方について検討を行っていく」と応じた。
(ABEMA NEWS)
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