
衆議院予算委員会で高市早苗総理は、簗和生農水大臣の進退について違法性があれば躊躇(ちゅうちょ)しないと更迭の可能性に言及した。「予算カット」発言の背景、なぜ国交省には問い合わせを巡る記録が残っていないのか。
高市総理の発言に変化?
13日の衆議院予算委員会の質疑で、簗大臣の進退判断を巡って高市総理の発言に変化がみられた。
高市総理は8日の衆議院本会議では、まずは「本人が適切に説明することが重要だ」「とにかく働いて仕事で返せと言っている」と述べ、続投させる方針だった。
ところが、13日の衆議院予算委員会では、公明党の中野洋昌政調会長から「適性を持った人に代わってもらうべきでは」と指摘を受け、「発言が事実であるとしたら本当に不適切でダサいと思う」「行政運営をしていいのかを含めしっかりと考える」と進退に言及した。
簗大臣を巡っては、衆議院選挙の「出陣式」の際に、支援者をシャトルバスで会場まで無料送迎した、公職選挙法違反との指摘も出ている。
13日の予算委員会で簗大臣は、無料送迎の事実関係を認めたうえで、「スタッフが(事前に)選挙管理委員会に確認。その回答を踏まえて会場費の一部として計上したと報告を受けた」と説明していた。
一方、栃木県選挙管理委員会は13日、「報道ステーション」の取材に対して、「問い合わせの有無は記録に残っていない」が、「問い合わせられて『問題がない』と答えることは絶対にない」と回答したという。
13日、高市総理は、利益供与の疑いも指摘されているシャトルバス送迎問題を踏まえ、「違法性があれば、私は躊躇(ちゅうちょ)しない」と述べ、違法なら簗大臣を更迭する考えも示している。
また、高市総理は13日夜、「簗大臣から電話で報告を受ける」と話していて、14日の予算委員会終了後にも簗大臣と面会する可能性があるという。
「選管の見解」を事実上修正
14日午前に行われた衆議院予算委員会では、公明党の伊佐進一議員がシャトルバスの無料送迎について、「栃木県選挙管理委員会の主張と、簗大臣の答弁に齟齬(そご)があるが」と質問した。これに対し簗大臣は、「秘書に確認したところ、収支報告書の作成にあたって、計上の方法について照会をしたのかもしれないと報告を受けた」と説明した。つまり、法的に問題はないとの回答を受けていたとする答弁を事実上、修正する形となった。
また、高市総理は無料シャトルバスについて答弁をした。高市総理は「昨夜、簗大臣と電話で話をした。シャトルバスの件について、選挙管理委員会への問い合わせを含め説明を受けた」としたうえで、「今の(簗大臣の)答弁を聞いても、当局が判断することだから、私自身が確信を持って『違反だ』と申し上げることはできない」と答えている。
こうした事態を受けて、自民党内ではさまざまな声が上がっているという。
ある閣僚経験者は、総理の答弁が変わったことを受けて、「予算委員会が終わったところで(簗大臣は)辞めるんじゃないか。明らかに総理の答弁が危機回避のフェーズに入った」と話している。
また、別の自民党のベテラン議員は「どう考えても一発アウト。即刻クビだ。総理がいつまでも辞めさせないからもう手遅れだ。世論に見放されてしまう」と危機感をあらわにしていたという。
減額の市が抗議決議
簗大臣への抗議決議案が採決された。
国土交通省によると、栃木県那須烏山市は、今年度の道路予算が前年度と比べて26.2%減額された。
14日、市議会が臨時会を開き、簗大臣に対する抗議決議を可決するなど、地元の市議会が大臣の言動に抗議する異例の事態となっている。
そもそも、この「抗議決議」にはどのような意味合いがあるのか。
法政大学大学院・白鳥浩教授によると、「抗議決議」とは議会の意思を表明するものであり、明文化された法的根拠や法的拘束力はないが、住民代表である議会の総意として尊重されるものだという。
地元保守分裂の確執が
「予算カット」発言の背景をみていく。地元選挙区では、保守分裂などの確執があったという。
今年2月の衆議院選挙で、簗氏の選挙区である衆議院栃木3区には、高市総理が応援に入り「私の大事な簗ちゃん」などと演説し、簗氏も「高市総理との太いパイプ」を強調していた。
小選挙区では、自民党籍を持つ無所属の渡辺真太朗氏と自民党公認の簗氏の対決となった。結果として渡辺氏が勝利し、簗氏は比例で復活当選した。
では、今年2月の衆議院選挙で勝敗を左右した要因は何だったのか。そのうちの一つが、那須烏山市と那珂川町における得票差だとみられている。どちらの自治体でも渡辺氏が簗氏を得票数で大きく上回った。
国交省に記録がない理由は?
国土交通省は、簗氏が問い合わせた記録が残っていないと説明している。
国交省の説明では、道路予算の配分額を検討中だった2月中旬、当時、自民党の筆頭副幹事長だった簗氏が、当時の佐々木紀国交副大臣と黒田昌義官房長に、那須烏山市と那珂川町への道路予算の配分額を問い合わせたという。
この時、圧力がなかったのかについて、今月6日の会見で国交省は、「細かいメモがないため、はっきりとは覚えていない」が、「はっきりと覚えていないくらいだから、働きかけや圧力を受けたことはなかったと思う」と報告を受けたと説明している。
なぜメモを残していないのか。13日、井林辰憲国交大臣は、議員からの問い合わせには内閣府の「行政文書の管理に関するガイドライン」を踏まえて記録の要否を判断しているとし、今回のケースは記録が必要ではない事案だったため、「記録は作成されていない」と説明した。
内閣府の行政文書ガイドラインでは、意思決定の過程などを検証できるよう、原則として文書を作成しなければならないとしているが、「事案が軽微なもの」は例外で、記録を残さないことを認めている。
一方、朝日新聞によると、国交省道路局の課長経験者は、「官房長が聞いた話が道路局に伝わっていないことはありえない。官房長が記録を作っていなくても道路局側が作ったはずだ」と話しているという。担当する道路局には記録が残っているのではないかと指摘している。
ただ、この課長経験者は、現在の状況では「(道路局は)ないと言い張るだろう。私でもそうする」と打ち明けたという。
国民民主党・古川元久国対委員長は14日、「簗和生農水大臣が辞任しない限り、政府提出の消費税減税関連法案の審議入りには応じられない」と述べた。
(2026年10月14日放送分より)
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