
予算カット発言やシャトルバス無料送迎が問題視されていた簗和生農林水産大臣が14日、辞表を提出しました。内閣改造からわずか1カ月という辞任に簗大臣の地元からも厳しい声が出ています。
高市総理「任命責任を重く受け止める」
14日午後6時半ごろ、官邸に姿を見せた簗大臣。記者からの問い掛けに何も答えることなく、まっすぐ高市総理が待つ執務室へと向かっていきました。約20分後…。
「今ですね、総理に辞表を提出したところです。国会審議にですね、ご迷惑をですね、これ以上おかけするわけにもいきませんし、また農林水産行政にもですね、集中できない状況がですね、これ以上続くということは避けなければいけないと、そのように考えまして、自ら決断をいたしました」
高市総理に辞表を提出したことを明かした簗大臣。その後、記者からの質問に対し、同じような趣旨の話を繰り返しました。
「(Q.辞任が今のタイミングになったのはなぜ?)今総理にお話を、私のほうから辞意をお伝えをしたということでございます」
「(Q.4週間での辞任をどう受け止めるか?)すみません。今辞意をお伝えをしたということでですね、こういった形で皆様にお伝えをさせていただければというふうに思っております」
簗大臣の辞任を受け、地元の有権者はこのように話します。
20代
「世間から結構当たりが強かったんで、恐らく辞めるんじゃないかなとうすうす思っていたんで」
30代
「地元のためになるような政治家の方で、ちゃんとした意見を届けてくれる方が国会議員になるべきだとは思う」
辞表を受け取った高市総理も、取材に応じました。
「私としましても内閣総理大臣として、国会審議はもとより農林水産行政に集中できない状況が続くということは看過できず、今後、消費税・支援金法案や中東情勢への対応、また責任ある積極財政を実現するための予算編成など、重要な課題に一つ一つ答えを出していく必要がありますことから、簗大臣の申し出を受け入れることといたしました」
「(Q.簗大臣から辞表の提出がなければですね、続投させるおつもりでしたか?)それはきょうの夕方会ってですね、新たに報道されたこともございましたので、説明を聞こうと考えておりました。大臣が辞任する事態に至ったことについて、任命責任を重く受け止めております」
高市総理は14日の予算委員会の中で、簗大臣を任命した理由についてこう説明していました。
「私は大臣を選ぶ時に、この内閣をつくる時にですね、政策構築能力、そしてその分野にどれだけの知識を持って、また情熱を持っているか。こういったところを重視いたしました」
大臣が直接作業を依頼も
先月発足した第2次高市改造内閣で、初入閣を果たした簗大臣。
高市総理
「本来は大臣として十分な能力を兼ね備えた人であります。本当に日本の農林水産行政のために活躍をしてほしい。そういう思いで選んだわけでございます」
高市総理が予算委員会でそう語ったのは、14日午後5時すぎ。簗大臣が辞表を提出したのは、この約1時間後でした。
高市政権発足後、不祥事で閣僚が辞任するのは、今回が初めてとなります。
辞任への追い打ちとなったのでしょうか。14日、簗大臣を巡って、新たな疑惑が浮上しました。
国民民主党 村岡敏英議員
「何か疑惑が“買収の疑惑”ということで、電話かけの人に(報酬)払ったというのも出てきました。大臣、どう見解しますか。ひと言お願いします」
簗農水大臣
「お答えいたします。ご指摘のさまざまな件につきまして、真摯に受け止めて、説明をしっかりと尽くしてまいりたいと思っています」
文春オンラインが報じた、電話で投票を呼びかける対価として報酬を支払っていたという運動員買収疑惑。事実なら公職選挙法に抵触する行為です。
元大田原市長
7年前まで簗大臣を支援
千保一夫さん
「ドアがあって、ここを切って(部屋の)中に入って電話をかける。皆自由に出入りして、昼となく夜となく出入りして、電話をかけていた」
簗大臣が初出馬をした時から支え、2019年に支援をやめた元大田原市長の千保さん。電話で投票を呼びかける人たちの姿を、選挙事務所で常に見ていたといいます。
「(Q.電話かける人は何人?)我々(簗陣営)の事務所に出入りしていたのは7~8人くらい。その辺の人に頼んで。知り合いから、知り合いに頼んで。素人ですよ」
千保さんによると、電話は一日に200件ほど掛け、同じ家にも繰り返し電話していたといいます。
「熱心なところに投票するというのが結構ある。ですから、電話するのは(票集めに)有効だと思います」
千保さんが簗大臣を支援していた2017年の衆院選。この時、電話をかける運動員に対して報酬が支払われていたと、文春オンラインは報じています。
当時、報酬が支払われていたとは知らなかったという千保さんは、驚きを隠せません。
「お金を払うことがいけないこと。公職選挙法違反のイロハのイの話。政治家も、政治家の運動に携わったことのある人なら、誰でも初歩的な知識として誰でも知っている。あってはいけないこと」
2年前の衆院選の際、電話で投票を呼び掛ける運動員として活動し、報酬をもらっていたという女性は、このように話します。
「やはりお手伝いをしてもらって、無償というのは申し訳ないという気持ちで、少しだけでも、交通費くらいの気持ちで(お金)出していたんじゃないですかね」
最初は、お茶出しをしていたという女性。その後、電話をかけるようになってから、報酬が出るようになったといいます。
「(Q.お金をもらうことの善しあしは?)ボランティアだと思っていましたから。それでも、後で何かしらのそういうの(お金)がついてきました」
「(Q.お金をもらい領収書を書いて?)そうですね(お金)もらった以上は領収書を書かないと、簗さんの事務所は困るでしょうし」
簗大臣が、直接作業を依頼していた場合もあったといいます。
那須烏山市議会でも…
「予算カット発言」「シャトルバス問題」、そして「運動員買収疑惑」と、3週にわたって問題が発覚した簗大臣。その外堀は埋められていきました。
自民党と連立を組む、日本維新の会・吉村洋文代表は14日、このように述べました。
「簗大臣自身、今までの説明の対応で国民の皆さんに納得されているのか、そういったことも胸に手を当ててよく考えて、出処進退を判断してもらいたい」
野党各党は、簗氏が辞任しない場合は…。
立憲民主党 斎藤嘉隆国対委員長
「簗農水大臣に対する問責決議案を提出することを決めさせていただいた」
一方、「予算カット発言」で名指しされた那須烏山市の市議会でも「簗大臣の発言に強く抗議する決議」が議員13人のうち、12人の賛成で可決されました。
那須烏山市議会 相馬正典議長
「国会等で謝罪をして撤回をしているということです。それはそれで私も真摯に受け止めたいと思いますが、やはり名指しされた私ども(那須烏山市)と、隣町の那珂川町に対して、ひと言いただければありがたい」
今後、簗大臣本人に抗議決議を伝える予定だといい、那須烏山市民に対して、説明責任を果たす機会を早急に設けるべきだとしています。
進退問題について、出席した市議はこのように話します。
那須烏山市議会 大橋誠議員
「政治家ですので、進退についてはご自分で判断されると思います」
農水関係の質問「官僚に」
13日から始まった予算委員会で、簗大臣はたびたび追及を受けました。
公明党 伊佐進一議員
「栃木選管の主張と、大臣の昨日の答弁との間で齟齬(そご)があると、食い違いがあると。しっかり確認をしてほしいということを申し上げました。結果どうだったでしょうか」
簗大臣が衆院選の際に、支援者をシャトルバスで無料送迎した問題について、前日の答弁で、選挙管理委員会に秘書が問い合わせたとしていましたが…。
簗農水大臣
「秘書の当時の対応として、記録は残っていないけれども、収支報告書への計上の方法について照会をしたということが実態かもしれないと。そのように(秘書)本人も今申しておる状況でございます」
選挙管理委員会への問い合わせは、あくまで「収支報告書の計上方法に関するものだったかもしれない」と、答弁を修正。さらには、こんな場面も…。
国民民主党 長友慎治議員
「このあと米国産ばれいしょ(ジャガイモ)の、輸入解禁についてですね、簗大臣に質問したいと思っていたとこなんですが、それは難しいと思っておりますので、このあとの農水の関係する質問は、農水省の方に答えていただきたいと思っております」
農林水産関係の質問について、簗大臣ではなく、農林水産省の官僚にすべての答弁が求められるという場面もありました。
そんな中でも、14日の予算委員会の中で「続投の意思」を示していた簗大臣。
「総理から任命をいただいておりますので、農林水産政策、そして食料安全保障の確保ですね、これをしっかりと進めていくということについてですね、全力で職責を全うしてまいりたいと」
しかしこの発言から約6時間後、高市総理のもとを訪れ、辞表を提出しました。
「(Q.地元への説明の予定はございますでしょうか?)今後ですね、関係者の皆様にですね、大変なご迷惑をおかけしましたので、お詫びをですね、申し上げます」
(2026年10月15日放送分より)
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