2審で無罪も…最高裁で逆転有罪 判断分けた争点は?猪苗代湖・ボート事故

2審で無罪も…最高裁で逆転有罪 判断分けた争点は?猪苗代湖・ボート事故
この記事の写真をみる(6枚)

福島県の猪苗代湖で8歳の男の子にボートを衝突させ、業務上過失致死傷の罪が問われていた事故の裁判です。1審では被告人に対して有罪判決。しかし2審では逆転無罪となっていました。16日に行われた最高裁の判断は「2審の無罪を破棄し、1審の有罪を維持」というものになりました。

【画像】2審で無罪も…最高裁で逆転有罪 判断分けた争点は?猪苗代湖・ボート事故

事件6年 最高裁で逆転有罪

事件から6年、3度目の判決です。

最高裁 高須順一裁判長
「原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものと認められる」

最高裁は16日、2審で無罪とした仙台高裁の判断に「違法がある」と指摘。その判決を破棄し、禁錮2年とした1審判決を支持しました。

2020年9月6日、福島県・猪苗代湖。湖面でマリンスポーツの順番を待っていた人たちに、1隻のプレジャーボートが衝突しました。豊田瑛大くん(当時8)が死亡。一緒にいた母親も両足を切断する大けがを負いました。

豊田瑛大くん(当時8)
拡大する

瑛大くんの母親
「死んじゃったのは分かったが、最後に瑛大のことをどうしても抱きしめてあげたいと思って。瑛大には届かなくて、触ることもできなかった」

瑛大くんの母親
拡大する

ボートのプロペラに巻き込まれた瑛大くん。身体の一部は2日後に見つかりました。1年にわたる捜査で逮捕されたのが佐藤剛被告(49)です。

佐藤剛被告
「取り返しのつかないことになったのは申し訳ない。ただ、今でも発見できたかは全く分かりません」

有罪と無罪 判断分けた争点

裁判で争われてきたのは、事故現場の湖面に人がいることを予見できたのか。そして、適切に見張っていれば、被害者らを発見し、事故を回避できたのかです。これまで1審と2審では、判断が真っ向から分かれていました。

1審の福島地裁。事故当時、現場は湖面の利用区分について明確な線引きや周知がされておらず、水上バイクなどが航行していました。こうした状況から「湖上に浮かんでいる人が存在することを想定できるような水域」と認定。さらに、佐藤被告の船と同じような航路を走った別の船が、実際に被害者らを発見して回避していたことや、実況見分も踏まえ、こう指摘しました。

1審判決から
「見張りを厳に行い、安全を確認していれば、衝突を回避することができた」

禁錮2年の実刑判決
拡大する

佐藤被告に禁錮2年の実刑判決を言い渡しました。しかし、2審の仙台高裁は、この判断を覆します。仙台高裁は、実況見分と事故当時では湖面の状況など条件が違うと指摘。さらに、航路や船首によって死角が生じることから、十分に見張っていたとしても、被害者らを確実に発見できたとは認められないとしました。

さらに、現場付近は「人が湖面に浮かんでいることを想定するのは難しかった」と1審判決を破棄、佐藤被告に無罪を言い渡しました。

1審判決を破棄
拡大する

しかし、最高裁が問題視したのは、1審の判決を覆した仙台高裁の判断でした。1審の事実認定が不合理だったことを、十分に示せていないと指摘。航路については、1審が船から撮られた映像や佐藤被告の供述などから認定。一方、仙台高裁は、携帯電話の位置情報に誤差があるにもかかわらず、つなぎ合わせて航路を示唆しているとしました。

最高裁 高須順一裁判長
「このような判断は論理則に反し、是認できない。刑事訴訟法の解釈適用を誤った違法がある」

「今も息子の写真見られず…」

事故から6年。裁判は終結し、禁錮2年という実刑判決は確定します。判決後、亡くなった豊田瑛大くんの両親は。

瑛大くんの父親
「逆転無罪があったので、期待なんか何もできないと思っていたんですが、ようやく分かってくれる人が出てきてくれたことがありがたかったです」

瑛大くんの父親
拡大する

瑛大くんの母親
「区切りと思いたいというのと、区切りと今は思えているんですけど。実際、家に帰って日常を過ごしていると、判決前とは変わらないと思う。本当は瑛大の話とか一緒にしたり、写真見たり、思い出振り返ったりしたい気持ちはたくさんあるんですけど、今でもそれができなくて…」

この記事の画像一覧
外部リンク
この記事の写真をみる(6枚)
このまま画像を見る
続きは広告を見た後にご覧いただけます
クリックして広告を見る