フーシ派とサウジアラビア 攻撃応酬で“脱ホルムズ”の原油調達に暗雲か

フーシ派とサウジアラビア 攻撃応酬で“脱ホルムズ”の原油調達に暗雲か

“親イラン”武装組織フーシ派とサウジアラビアによる攻撃の応酬が激化し、多くの犠牲者が出ています。緊張が続いている中東情勢。日本の原油調達に影響は?(サタデーステーション10月17日OA)

攻撃の応酬 狙われる「空港」と「石油」

日本時間17日未明、トランプ大統領は記者たちの前でこう宣言しました。

アメリカ・トランプ大統領(米 ワシントン 日本時間17日午前2時ごろ)
「この(イランとの)戦争はもう間もなく終わる。思っているよりすぐです。そして原油価格は急落するでしょう」

そして、中間選挙の遊説先ジョージア州でも。

アメリカ・トランプ大統領(米 ジョージア州 日本時間17日午前6時前)
「我々はイランでも順調です。そして、それはまもなく終わるでしょう」

何度も耳にした、この発言。本当に収束は近いのでしょうか。

一方、中東・イエメン南部にある大統領宮殿では、空高く上る黒煙が。ロイター通信によると15日、弾道ミサイル5発が着弾し、警備員ら5人が死亡しました。攻撃したのは、イエメンの“親イラン”武装組織「フーシ派」。首都サヌアを含め、国民の7割以上が暮らす地域を実効支配しています。攻撃の矛先は、イエメン国内にとどまりません。

サウジアラビアの国営ニュース
「キング・ハリド国際空港が攻撃を受けたと発表しました」

サウジアラビアの首都リヤドの国際空港も連日、標的に。10日には13人が死亡し、300人以上がけがをしました。さらに、その3日後には国営石油会社が攻撃を受け、火災が発生。被害は各地に広がり、10月だけで少なくとも21人が犠牲になっています。一連の攻撃について、フーシ派の幹部は―。

フーシ派幹部 モハメド・アルブハイティ氏(12日取材)
「サウジアラビアの攻撃によって、すでにイエメン各地で女性子どもを含む数十万人もの犠牲者が出ています。そして我々は正当防衛の名のもとで空港を標的にせざるを得なかったのです」

フーシ派のメディアは11日、サウジアラビアの空爆とみられる攻撃により子ども1人が死亡し、6人がけがをしたと報じました。

“脱ホルムズ”に暗雲か 原油価格に影響は?

攻撃の応酬は“脱ホルムズ”を目指す原油の調達にも影響を及ぼします。本来、日本が輸入する原油の約90%が経由していたホルムズ海峡。ところが、イラン情勢の緊迫化で海峡は“事実上の封鎖”となります。そこで、迂回ルートとして注目されたのが、イエメン南西部に位置するバブエルマンデブ海峡でした。しかし…。

フーシ派幹部 モハメド・アルブハイティ氏(先月13日取材)
「我々はバブエルマンデブ海峡に至るまでのイエメンの西側海域をすべて掌握しました」

フーシ派の攻撃の脅威にさらされ、こちらも不安定化。現在は、ホルムズ海峡の南に位置する港を活用するルートや、サウジアラビアを横断する全長1200kmほどのパイプラインで原油を運び、喜望峰を回るルートが使われています。

エネルギー安全保障に詳しい専門家は。

日本エネルギー経済研究所 顧問 小山堅氏
「ホルムズ海峡の封鎖が始まってから、サウジアラビアの代替(輸送)パイプライン、アラブ首長国連邦の代替輸送パイプラインを通しての輸出増加が石油市場の安定に非常に大きな意味を持っていた」

実際に8月の中東からの輸入量は、イラン攻撃の影響が出始めた4月の約2倍と、徐々に回復しています。

ところが9月上旬、フーシ派の関与は不明ですが、サウジアラビア国内のパイプラインが複数回の攻撃を受けて稼働を停止。現在は復旧しているものの、今後も警戒が必要だといいます。

日本エネルギー経済研究所 顧問 小山堅氏
「インフラに対しての攻撃が大きな損傷やダメージを被らすと、『輸送が難しい』『輸送コストがかかる』だけじゃなくて『輸送そのもの』が脅かされる」

こうした中、ニューヨーク原油市場では16日、約1か月ぶりに先物価格が1バレル100ドルを突破しました。この先、攻撃が激化すれば、さらなる価格上昇も懸念されます。

日本エネルギー経済研究所 顧問 小山堅氏
「今少し中東の方に石油(調達)がもう1回戻ってきたが、アメリカ産の石油の調達の方も、もう1度しっかりやり直すようなことが起こってくると思います」

高島彩キャスター:
「中東からの石油調達は回復してきたという話でしたが、ホルムズ海峡付近では、16日もタンカーが炎上したとの情報もあります。いまホルムズ海峡はどんな状況なんでしょう?」

板倉朋希アナウンサー
「ホルムズ海峡ではイランとアメリカ、双方による封鎖状態が続いているんですが、船舶の位置情報データを分析している東京大学大学院の渡邊英徳教授は、『実はホルムズ海峡を通過する船は増えている』と話しています。その裏付けとして渡邊教授が注目したのが、今週オマーン湾で確認された日本企業のタンカーです。そして、このタンカーに石油を運ぶのが(シャトル)船で、イランの攻撃を避けるため位置情報の信号を切った状態でホルムズ海峡を越えて、日本のタンカーと合流。海上で石油を積み替えて、タンカーは日本に向かっていると、渡邊教授はみています。海峡が封鎖されて以降、このタンカーがこの海域で確認されたのは初めてとのことで、安全や採算面に厳しい日本企業のタンカーが現れたことは、『ホルムズ海峡を航行するシャトル船が増えて、石油供給が安定してきた裏付け』になると、渡邊教授は分析しています」

高島彩キャスター:
「柳澤さんは、石油輸送の状況をどうご覧になっていますか?」

ジャーナリスト柳澤秀夫氏
「このところアメリカとイランによる大規模な攻撃、あるいは軍事衝突は伝えられていないですよね。ですから渡邊先生が言うとおり、ホルムズ海峡周辺の船舶の航行は一定の割合で保たれていると言えると思う。一方でホルムズ海峡の代替ルートになっているバブエルマンデブ海峡なんですが、フーシ派は敵対するイエメンの暫定政権、それを支援するサウジアラビアに対する攻撃はしているが、それ以外に広げるような気配がなくて、(海峡を通る船舶の航跡が表示される)マリントラフィック見ても分かる通り、結構たくさんの船が行き来してるんです。フーシ派にしてみると、これ以上に戦線を広げるような動きがあれば別ですが、今のところは安定してると言っていいと思います」

高島彩キャスター:
「フーシ派から攻撃を受けているサウジアラビアは、トランプ大統領に助けを求めているようですが、アメリカの介入はないんでしょうか?」

ジャーナリスト柳澤秀夫氏:
「アメリカは慎重です。もしフーシ派を攻撃してホルムズ海峡の代替ルートになっているバブエルマンデブ海峡の周辺で緊張が高まると、原油価格の高騰は避けられない状況になりかねません。11月3日に予定されているアメリカの中間選挙に悪い影響が出てくる。トランプ大統領はそれだけは避けたいということで、いまのところ静観する構えなんです。ただ、10月27日に総選挙を控えているイスラエルのネタニヤフ首相は劣勢が伝えられていて、自ら緊張を高めて国民の関心をそらすような動きに出るのではないかという一部の見方もあるので、しばらくは目が離せない状況が続きそうです」

高島彩キャスター:
「ネタニヤフ首相が何らかの暴挙にでるのか。アメリカの中間選挙の後、中東情勢がどう動くのか。その辺り引き続き注目していく必要がありそうです」

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