
東京都内の医療機関が怒りの告発です。自分のクリニックの名義が使われ、数百人分の病気の診断書を勝手に作成されていたことが番組の取材で分かりました。失業保険をだまし取る巧妙な手口に迫ります。
被害の医師「青天の霹靂」
THE FIRST CLINIC 惟村公郁院長
「これはハローワークから来てる書類の確認です」
「(Q.ハローワーク?)ハローワークとか、東京労働局とかですね」
「(Q.全部、東京ですか?)東京以外からも結構来ています。何十通ですね」
東京・町田の美容整形クリニックに各地の労働局やハローワークから届いた大量の封筒。中を開けると、驚きの内容が書かれていました。
「失業等給付の不正受給調査に係る、医療機関の利用状況について、ご回答いただきたく照会します」
惟村院長のクリニックで作成されたという嘘の病気の診断書が、失業保険の不正受給に利用されている疑いがあり、調査したいという内容でした。
「正直言うと、青天の霹靂(へきれき)。何のことか全く分からなくて、なぜこんな連絡が来るのかなと。えっ?という感じですね」
今年に入ってから、次々に届くようになったという同じような照会。信じられないほど多くの患者の名前が記されていたといいます。
謎1 数百人分の診断書
「1通来たから、1人分というわけではない。1通の中に何人もということもあり、中には10人分とか。人数でいったら、かなりの人数」
「(Q.100人規模?)数百人だと思います」
「(Q.この病院では数百人の診断書を出している?)出していないです」
照会を求められた患者の名前をすべて調べましたが、診断書の作成はおろか、通院記録も確認できませんでした。
何者かに、勝手に診断書を作成されているのでしょうか。惟村院長は労働局に問い合わせると、不可解なことが判明したといいます。
謎2 精神疾患の診断書
「書面を目視で見て、内容はけがとかではなく、心のところ(病気)で失業したことで、給付を受けたと認識しています」
惟村院長は美容整形クリニックの院長。精神疾患かどうかを判断する診察は行っていません。
「(Q.心の病の診断書は書きにくい?)書きにくいですね。普通は書かない。かなり難しい分野ではある。普通は何年も何年も修練を積んで、書くような診断書だと思っている。美容クリニックがさらさらと書くものではないと思います」
謎3 在籍しない医師の署名
ハローワークに提出する書類には、傷病の説明の他に記入した医師の署名が必要です。
「(Q.医師の署名欄は誰の名前?)私の名前ではないことは確か。このクリニックに勤めていないドクターの名前が書いてあった」
「(Q.病院にいない人物?)病院にいない人物ですね」
病院名の部分も見覚えのない印影が押されていたといいます。
「病院名とかは合ってはいたが、ハンコだった。当院で作っていないハンコだった。それもどこから作ったのかなと」
「(Q.診断書を出す時は印鑑を押す?)普段は自分の手書きでやらせていただいています。クリニックの名前とかも手書きで書いている」
「(Q.印鑑が押してあることがおかしい?)そうですね。それは間違いなくおかしいと思う」
惟村院長は数百人分の診断書は、自身のクリニックでは作成していないことを労働局に報告しました。
失業保険の不正受給が発覚した場合、受け取った人は全額返還に加え、その2倍の額の納付が課され、実質「3倍」の返還を命じられるほか、詐欺罪に該当する可能性があります。
誰が不正を?関係者を取材
一体、誰が不正に手を染めているのでしょうか。
番組がこうした不正を見聞きしたことがあるという医療関係者を取材しました。
「診断書1枚で2~3万円もらえるという裏ビジネスがある。紙1枚で何万円だったら、何枚も書こうという医師は結構いる」
近年、SNS上で不正受給を指南する業者が急増しています。
国民生活センターによりますと、「失業保険の申請サポート」に関する相談は2025年度に604件と、4年間で15倍に増加。「メンタルの不調がないのに指定クリニックの受診を指示された」など、不正受給を促すような悪質な事例も寄せられているということです。
さらに、こうした不正受給は2024年度に摘発されたものだけでも3024件、5億5000万円の被害が確認されていたことが厚生労働省への取材で分かりました。
惟村院長はこう話します。
「給付金をもらうということで、国に対しても嘘をついていると思う。正直言うとこういったことは、医者の信用信頼、そういったことがすべて問われるような問題だと考えています。違反した医師・関係者に関しては、厳正な処置をしてもらいたい」
厚労大臣に質問 対策は?
テレビ朝日は相次ぐ不正受給の問題への対策について、上野賢一郎厚生労働大臣に質問しました。
「断じて容認できない。失業給付の申請にあたっては、受給資格の決定をする際に、申請者一人ひとりと職員が面談をして、申請書類に虚偽がないと申告させるなど、真正性の確認を行っている」
「不正受給事案については支給停止や返還命令など行って、悪質な場合は警察に告発するなど厳正に対処している。今後とも取り組みを徹底して、不正受給の防止に努めていきたい」
(「グッド!モーニング」2026年10月21日放送分より)
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